裏路地
玄関を出ると外の日差しがとても強いことに苛立ちをを覚える。
今日は、とても天気がいいらしくカーテンから太陽の光が漏れていたことが納得できるほどの晴天だった。
電柱にはスズメなどがいて、チュンチュンと、何やら他の鳥たちと会話しているみたいだ。
平和な朝だ。
今日も何事もなく学校を終えて早く家に帰りたい。
学校に向かうため、いつもの通学路を歩いていると顔から頬に汗の雫が垂れていた。
「あっちぃーな〜」
顔の汗を制服の袖で拭く。
こんな平和な日がいつまでも続けばいいのになー
世間では、ノーマルやらエスパーやら色々と言われているが、俺からしたら同じ人間だ。
しかし、世間の目は違う。
エスパーは、元々は人間だったのだが、今や別の生き物そう思ってるのだろう。 そう思われても仕方がないけどね...
俺みたいな争いなんてどうでもいいエスパーもいれば、自分を強く他人に見せたいのだろう
力を法律などを一切気にせず喧嘩ばかり...
そんなエスパーもいる。
どうして自分をそんな風に見せたいのだろう?
当分俺にはわかることはないだろう。
よく、街中を車で暴走する奴らや、大人になっても悪さばかりする連中も同じだ。
遅れて来た反抗期かな?
まだ体が大きくなっても、反抗期が抜けないのかな? おかしなやつらだ。
「はぁ〜」
深くため息をつく。
こんな日には、気分転換がてらにいつもと違う道を使ってみよう!
そう思った俺は、いつもの通学路を離れ裏道を使って見ることにした。
裏道を少し歩いたところで何やら二人の男が一人の男を囲うように立っていた。
「ん?何だあれ?」
まだ距離が遠くて何を話しているか全くわからない何やら怯えているそぶりをしているように感じた
俺はスタスタと歩きながら近づいて見ることにした。 少し近づくと怒鳴り声が聞こえるような気がした。
「おい!テメェー早く金だせよ!」
そう言ってヤンキーが胸ぐらを掴んでいた。
「ごめんなさい! お金持ってないです」
胸ぐらを掴まれていた男の子が怯えながらか細い声で言う。
「はぁ?殺すぞテメェ」
今にも胸ぐらを掴まれている男の子が殴られそうだったので急いで止めに入る。
「おい! そこまでにしとけ!」
頭をボリボリ掻きながら俺はヤンキーたちに忠告する。
「はぁ?誰だテメェーは?」
「もう一人カモが増えたわい! こいつからも金取ろうぜ」
「おう!そうだな!」
男たちは何やら俺からも金を取ろうとしているらしい。
怖い怖い!
胸ぐらを掴まれていた、男の子の方を見るとまだ微かに震えている。
身長は163センチってところだろうな
髪型は短く制服をちゃんと着こなしている。
とても頭の良さそうな子だな〜と感じたのが第一印象だ。
俺とは正反対だな
「おい!テメーもそこに並べや!」
ヤンキーの一人が指を指す。
「はいはい〜」
俺はヤンキーの指さされていたところに気だるそうに歩いて行く
ちょうど胸ぐらを掴まれていた男の子の横に一緒にヤンキーを見つめる形で並ぶことになる。
これはかなり怒ってらっしゃるな。 ヤンキーの顔にはかなり眉間にシワが入っていて気合い十分だ
「オメェいい度胸してんじゃねぇーか?」
「俺らがここら辺の有名な不良グループて知っての挑発か?」
俺の真横の壁を蹴るヤンキーたち
「はぁ〜」 深くため息をつくと周りをキョロキョロと見渡す。
おし!カメラも警察もいないな!これじゃー俺が悪いことしてるみたいだな
「おい!早く学校いかねぇーと遅刻になっちまうじゃねぇか」
「はぁ?今の状況わかって言ってんのか?」
「こいつもしかして頭おかしくなったんじゃね」
ヤンキー達は、ゲラゲラと楽しそうに笑っている
「おい、そこのお前俺から少し離れな!」
隣にいた男の子にささやく
男の子はアイコンタクトをし、俺の隣から少しずつ離れていく。
「おい、おい、お前逃げんじゃねぇぞ!」
ヤンキーの一人がちょうどいい位置に散らばった
今だ!
「おい!早くそこどけよ」
少し苛立ちの込めた口調でそう言うと、俺は徐々に体に力を入れていき火を体にまとわせていく。
「あっつ!」
ヤンキーは素早く俺から距離をとる
状況が理解できていないのポカーンと口を少し開けて俺の方を見る。
「て、テメェーエスパーか?」
「はぁ?ふざけんなよ!お前」
ヤンキー達はかなり混乱しているらしいこれは好都合だ。
「早いうちに逃げた方がいいぜぇ、火傷してもしらねぇーぞ」
手のひらに火を出すとそれをヤンキー達に見せるように火をどんどん出していく。
「こいつやべぇーて」
「まさかエスパーだとは思わなかった」
「逃げるぞ!」
ヤンキー達は全力疾走で裏路地を走って言った。
やれやれ能力を見せる前からそうしてくれよ。
頭をボリボリと書いていると、絡まれていた男の子がか細い声で話をかけてきた。
「あ、ありがとうこざいます」
「おう!全然いいよ! えーと、君もこんな人気がいない道を使うのは控えた方がいいよ」
一応裏路地にはさっきの様なおかしな連中もチラホラといたりするので忠告をしておいた。
「加藤ひろきです! はい、ありがとうございます」
男の子は俺に自己紹介をするとニコニコと俺の方を見つめてくる。 やれやれ本当にわかっているのだろうか。
「この裏路地から出るまで送っていくよ」
さっきのヤンキーたちがまた俺が離れている間に戻ってきても厄介だ。 人が多い通りならさっきのようなカツアゲもしないだろう。
「ありがとうございます」
加藤は嬉しそうに俺の横につく
「まさかエスパーさんだったとは思いませんでしたよ!」
「ああ、俺も能力は使いたくなかったんだけどこれは緊急事態だったからしょうがないな」
「Banで能力を使っているところを見られたら法律的にアウトですもんね」
加藤は、苦笑いをしながら答える
「ところで何で、絡まれたりしたんだ?」
少し気になった俺は加藤に問いかける。
「あいつらも人相は悪いけど変なことしない限り襲ってこないだろう」
するとさっきまでの笑顔は消えてしまい
加藤はダンマリしている。
「ん?」
不思議そうに見ていると突然加藤の足が止まり出す。
「どうしたんだ?」
「ああ、アレ僕が仕掛けたんですよ」
さっきまでの明るい口調は加藤から消えていた。
「はぁ?」
俺は不意にも声を上げてしまった。
加藤は不気味な笑みをこぼしながら俺の方を指差す
「まさかこんなにも、うまくいくとは...あいつらも(ヤンキー達)たまには役に立つな」
「ごめんお前が何言ってるか全くわからないや」
笑顔でそう言い加藤に近づくと俺の腹をめがけてパンチが飛んできた。
急いで後ろに避ける
「おいおい!お前何してんだよ!」
「ええ、これを避けるとは能力だけに頼ってる連中とは君は違うね」
「おい!冗談だろ!?」
「真面目さ! 」
加藤は俺に近づきどんどんパンチやキックを俺めがけて飛ばしてくる。
こいつ何か格闘技を習っているのか? 明らかに動きが素人ではなく、キックボクサーの様な動きだ。
「くそ!!」俺は必死に避けるも加藤の右ローキックが俺の膝めがけてもろに入る
「クッ!!!」
何だこの痛み
俺も多少は喧嘩もしてきたがこんな痛いキックは初めてだ。
まるでコンクリートや金属バットで足を殴られたような痛みだ。 この小さな体からこんな力があるだと。
キックを食らった俺は、急いで加藤から距離を取る。
「お前格闘技かなんかやってんのか? こんな小さな体からこんなパワー出るなんて普通じゃありえないぞ!」
「多少はね...」
そう短く俺の質問から答えると加藤は容赦なく俺から攻撃を仕掛けてくる
くそ!!
俺は一気に体から火をまとわせる。
「それって制服とか焼けないのー?」
加藤は少し俺を小馬鹿にしたような感じで俺に問いかける。
「焼けねぇーよ、髪の毛もな」
「へぇー不思議だね」
加藤の攻撃は止まった。
さすがに火をまとってる俺の体にパンチなどを入れることはできないのだろう。
俺はさっき疑問に感じていたことを加藤に問いかける
「お前ヤンキーを手配したのか?」
「そうだよ!」
「何で?何のために?」
加藤は不気味な笑みを浮かべて手を顎に添える。
「うーん? 暇つぶし?」
「お前みたいな野郎は初めてだ。」
「お?やる気になった?」
加藤はウキウキとこちらを見ている。
ふざけた野郎だ。完璧にイカれている。
俺は手のひらに球状にした火を見せる。
「それをどうするんだい?」
「お前にこれを打ち込む」
俺はそう言ったが本当に当たる気ははない、こんなのまともに食らったらおお火傷してもおかしくない。
加藤の顔の横をめがけて思いっきり球状にした火を放つ。
加藤は不気味な笑みを浮かべている。
「おい!こいつ避けないのか?」
もちろん当たるかはないが加藤の様子がおかしすぎる。
「なんだよ。口だけじゃん当たるきないのかよ」
加藤は俺の投げた方向に顔を向ける。
「は?」
一瞬の出来事に戸惑う。 こいつ正気か?
もろに俺の攻撃を食らった加藤はバーンと、いう
嫌な音を響かせながらどんどんと加藤の体を火が覆い尽くす。
「まずい」
俺の能力は火を操り、体から火を出したり留めたり操る事ができるが燃え移った火を操ることはできない。
加藤は、メラメラと燃えている
急いで消火器を探さなくては
俺はすぐに探そうとパニックになるが、加藤は不気味な笑みを声に出して笑っている。
俺は目を疑ってしまった。
加藤を覆い尽くしていた火は次第に消えてしまったのだ
「これは面白い能力だね?」
状況が理解できない。
「お前?どうやって」
「簡単なことさ」
加藤は笑っている。
「お前エスパーか? 俺の火が効かないなんて何の能力だよ!」