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幕間 楊謹進

やっぱあの決闘は納得できなかったので、この幕間を書きました。

林晶から見れば楽勝だった試合なので、あまり複雑化するのもなんだし、思い切って視点を変えてみる。

楊謹進の過去も含めて、彼の視点で紡ぐ物語。

態度の急変も少しは納得がいくものになった……かもしれない(無責任

俺は楊謹進。

このクソみたい世界のどこにでもいる、ゴミクズの一人だ。

親は知らない、割りと普通の話だ。

修士にとって情など一霊石の価値もない。

修為が違えば寿命も違う、下の世代の死を見取るのも当たり前、いちいち情にほだされたら話にならない。

一時の快楽を求めたのか、それとも噂の交合による修行——双修の法か。

望まない命が生まれてくるのは別に珍しい話じゃない。

ちゃんと産んでくれただけでもマシな方だ。

胎児さえも煉化し、自身の霊力を高める邪法もあると聞く。

ともかく、俺はこの悠舟城ゆうしゅうじょうに捨てられた。


そしてゴミクズの男に拾われて、自分で「稼げる」まで面倒を見てもらって、立派なゴミクズになった。

もちろん男が俺を生かしたのは善行などではない。

ただ都合のいい手駒が欲しかっただけだ。

幼少から徹底的に躾けて、絶対逆らえないように。

そして自分の代わりに汚い「稼ぎ」をさせて、得たモノはすべて取り上げる。

よくある話だ、俺の他にもたくさんいる。


あの日も、いいカモを見つけた。

一目見ればわかる、あれは外から来た者。

きらきらした目できょろきょろして、えらいはしゃぎようだ。

身なりからして、相当のボンボンに違いない。

いいカモだ。


「こんにちわ、お兄さん、悠舟城ははじめてですか? よければ僕を案内役として雇ってください、きっと役に立って見せます」

子供の笑顔は武器になる、警戒心を解くには有効だ。

そして真っ当な商売と見せかけて、隙を見て金になるモノを「拝借」する。

あるいは、ヤれると判断つけば、「狩場」まで誘導し、「仲間」たちと一緒に身包みを全部剥がす。

こういうボンボンは出身がいいだけあって、俺たちが束になっても敵わない実力を持ってる可能性の方が高いから、後者の方は無理だ。

しかし実力があっても、世間知らずで愚か、それに自信過剰のやつが多い。

実にいいカモだ。


「ふむ、確かに案内がいた方がいい、しかし君……」

ボンボンは言葉を渋る。

慣れた反応だ、もちろん対応も。

「こう見えてもここで生まれ育ったから、土地勘には自信があります!」

子供らしい、舐められたことに対して適度な不満と、自信いっぱいの自慢を演じる。

「もし満足できなかったら料金を払わなくてもいい、試しに雇ってください! ちなみに料金は一時辰二霊石、大人よりずっと安いよ」

上目遣いで、懇願するように。

「そ、そうなのか? じゃ君に頼むかな」

かかった、今回は随分とちょろいね。

「はい! よろしくお願いします!」

とっておきの笑顔を見せる。

金はたっぷりとって貰うがな、勝手に。


そしてボンボンは最初の目的地を指示する。

「まずは市場か、霊材の店まで案内してくれ。師弟に頼まれたモノを先に買わないとね」

師弟。

なるほど、どこかの門派の弟子か。

その身なりからして、門内でもかなり地位の高い弟子に違いない。

やっぱ「狩り」は諦めた方がいい。

年は俺とそんなに離れてはいないようだが、門派の正式弟子じゃ俺たちの手には負えない。

「それならこちらへどうぞ」

俺は案内をはじめて、路線を考えながら手が出しやすい場所を検討する。


予想以上の収穫だ。

俺は胸の中にしまい込んだ簡札かんさつを握り締める。

ちらっとしか見れないが、なにかの心法しんぽうだ。

心法は修真の基礎、必要不可欠なものだ。

その品質によって、修練の早さと上限などが決まる。

門派の、しかも正式弟子の心法、そこら中に売ってるようなゴミとはわけが違う。

この量だ、少なくとも築基までの分はある。

これさえあれば、俺も……。


「やあ、本当助かったよ、先の失礼は詫びよう、すまなかった」

突然な声に、思わずドキッとした。

馬鹿野郎、なに浮かれてんだ。

まだ完全に成功したわけじゃないぞ、こいつを出来るだけ早く、うまくまかないと。

もし気付かれたら終わりだ。

俺じゃ絶対歯が立たない。

「い、いいえ、とんでもないです! 役に立ったならなによりです」

精一杯の愛想笑いをして、興奮した心を沈ませる。

買い物を済ませて、いくつの名所を巡った後、ボンボンは上機嫌で俺を褒める。

「君の働きは実に見事だったよ、これなら相場に見合ったの料金を払ってもいいよ、君の言う大人料金ね」

「そんな、それは受け取れません! これでも信用がもっとの商売ですから、ちゃんと決めたとおりにしないと」

余計な真似はしない、今は疑われずにこいつと別れることが最優先だ。

さっさと金を払って帰れ。

「そうか? 君がそう言うなら無理強いはしないが……」


「きゃああああああああああああ————————!!」

ちっ!

俺は心の中で舌打ちをした。

ボンボンは叫び声を聞いた瞬間、俺の視界から消えた。

手を出す機会を作るために「狩場」の近くまで誘導したのが仇になってしまった。

くそ、最悪のタイミングだ!

誰かが「狩り」しているなんて思わなかった。

どうする? このままずらかるか?

いや、だめだ。

ゴミクズでも、あいつらは同じ釜の飯を食ってる仲間だ。

なにも知らないままあのボンボンに楯突いたら……

クソ! クソ!

簡札を握り締めて、俺は「狩場」を目指して走り出した。


俺が辿りつけた時、すでに事は終わっていた。

そこら中に倒れてるのは俺の予想通り、仲間たちだ。

そしてボンボンは当然のように被害者と思われる女を介抱している。

とりあいず殺す気はないようだ、最悪の結末は回避した。

「お、お兄さん、大丈夫ですか?」

俺は心配する風を装ってボンボンに近付く。

「ああ、問題ない」

ボンボンはなにもなかったように答える。

彼にとっては、その程度のことだろう。

「よかった、早くここから離れよう、ここは無法者たちが集まる所だから。お兄さんなら大丈夫と思いますが、面倒ごとは少ない方がいいでしょ?」

ボンボンはふと俺の方に振り向く。

「君とはここでお別れした方がいいんじゃないかな? 手加減はしたが、さすがに無傷ってわけじゃないからね」

真っ直ぐに俺を見て言う。

「な、なんのことですか? 僕は別に……」

まさか見抜かれた? なぜだ?

ヘマをした覚えはない、カマをかけてるだけか?

「そういうのはいいから、僕もこれ以上なにかする気はないよ」

慌てて言い訳を探す俺を見て、ボンボンは笑いを浮かべる。

底が見えない恐ろしさを感じた。

最初から手を出すべき相手じゃなかった。

「先ほど言った通り、君の働きは見事だった、相応の対価は払う」

ボンボンは俺の方に寄ってくる。

逃げるか?

いや、無理だ。

目も追えない速さでここまで来たやつから逃げられるわけない。

クソ! あとちょっとだったのに!

恨むぞお前ら!

地べたに伸びてるクズ共を睨んで、俺は観念して簡札を取り出す。

「ぬ、盗んだのはこれだけだ、報酬はいらないからもう許してくれ……ください」

全面降伏を選ぶ。

手放すには惜しすぎる代物だが、命あっての物種だ。

「潔いね、これは禁制が施されていてね、そもそも君が持っていったとしてもどうにもできないよ」

ボンボンは簡札を受け取って、キランと一筋の光が走る。

「そのまま逃げて仲間を見捨てることを選ばない君に敬意を表して、選択肢をあげよう」

左手で小さい袋を取り出す。

「正当の報酬分の霊石を受け取るか、それとも……」

そして右手でまた簡札を俺に突き出し、空の方を一目見る。

「そうね、二時辰だけ、これを読むか」

あいも変わらず、底の知れない笑顔がそこにあった。


あの二時辰のおかけで、俺の人生は変わった。

俺を拾った男、一生抗えないと思っていた相手。

たったの二年で立場をぐるっと変わった。

実に呆気なかった。

さらに一年経って、二時辰で覚えた心法の限界が来た。

我ながらよくこんなに覚えたものだ、必死だったからかもしれない。

だがもうこの先はない。

俺に残される道は他の心法を探すか、それとも……


玉霊派。

ここら辺じゃそれなりに有名だったが、それでも桂州全体で見れば弱小の方だ。

あんな人がいる門派が弱小?

俺もこの三年、見識がそれなりに広まった。

修為も高くなって、それなりの門派からの勧誘も受けた。

あの人みたいなのは見たことなかった。

俺よりいくつ年上だろうけど、若い方だ。

あの底知れない恐ろしさ、本人は無自覚だろうけど、俺にはわかる。

ずっとあの男に抑圧されて生きてきた俺だからわかる。

絶対逆らってはいけない相手。

三年を経っても、その恐ろしさはかわ……いや、増していた。

「やあ、君か。来るとは思ったが、僕の予想よりずっと早かったし、修為の方も予想外だ」

三年前のあの日を彷彿させる笑顔を俺に見せた。

「ようこそ玉霊派へ、僕は梁解乱、一応四十七代弟子の一番弟子だ、よろしく」

こうして、俺は玉霊派の門をくぐった。


門派に入り、修為は順調に上がっていく。

俺の後も結構な数の弟子が入り、四十七代弟子は三十人余りになった。

後から入ってきた弟子は資質がいい人ばかりだったから、修為の上昇も早い。

どんどん幼少時からここにいた師兄たちを追い越していく。

そしてそんな人たちに敬意を払うことを疑問に持つようになった。

大師兄はそういうことに疎くて、弟子みんなを等しく信じてる彼は水面下の醜い争いなど考えもしなかったんだろう。

そして俺が築基したことで、水面下だった争いに火をつけた。

俺は担ぎ上げられ、後から入ってきた弟子たちは露骨に低修為の師兄たちを舐めるようになった。

俺も黙認した。

大師兄は贔屓しない、この二年でよくわかった。

だから争いが激化しても、頭を抱えて両方を諭すだけ。

その態度が逆効果にしかならないことも知らずに。

やがて俺ら後から入ってきた者たちは『外来組』と呼ばれ、元からいたやつは『養縁組』と呼ぶようになった。


そんな状況が続いて、四十七代弟子のほとんどが築基した。

さらに後から入ってきた数人と、一人の例外を除いて。

林晶。

あいつはなんなんだ。

養縁組の中でも一際異質なやつだった。

序列は三番、大師兄と二師姐の後。

王長老に拾われた子らしい、同じ孤児でもやつは恵まれた方だ。

何年も煉気に留まったまま突破できず、修士としてはゴミと言ってもいい。

なのに養縁組の誰もが彼の言うことを聞く。

あの大師兄さえも、彼にだけは違う態度を取っている。

なぜだ?


一目惚れだった。

忘れるはずはない、あれは入門して三年目。

新しく入ってきた師妹がいると聞いて、外来組は男ばかりだったから、珍しくて見に行った。

一目惚れって本当にあると知った。

修士は情にほだされてはいけない、誰よりも知っていたはずなのに。

この感情を抑え込めるものじゃないと、瞬時にわかった。

胡鈴師妹、可愛い名前だ。

そして翌日、嬉しそうに林晶と手を繋いでいる彼女を見かけた。

なぜだなぜだなぜだなぜだ!

また林晶、なんなんだあいつは!


あの後外来組を総動員して調べさせ、いくつかわかったことがある。

胡鈴師妹も幼少からここで育った一人だった。

故あって正式入門をここまで伸ばしたらしい、その原因はまだわからない。

ここに入って一度も見たことがない、それは確かだ。

なにより気に入らなかったのは、彼女を門派に連れて来たのは林晶だったということだ。

道理であの懐き様。

ただのゴミの分際で、クソ!


はは、林晶のやつ、築基突破に挑戦しようと、霊力を暴走させて瀕死したらしい。

いい気味だ、しばらく飯がうまくなりそう。

ゴミはゴミらしく、人目に触れず引っ込んでいればいいものを。

外来組の何人を連れて、嘲笑いに行こうと、やつの部屋まで来た。

「帰りたまえ、今日のここは君たちが来るべき場所じゃない」

笑顔ではない大師兄が、そこにいた。

初めてだ、こんな攻撃的な大師兄を見たのは。

俺たちは何も、何一つ声が出せなかった。

震えながら撤退していく中、俺は悔しさに押されて振り向く。

ちょうどその時、大師兄は門を開いて中に入る所だった。

俺が最後に見たのは、門の中で、横たわる林晶の手を握って号泣する胡鈴師妹の姿だった。


ようやく、ようやくこの日が来た。

あれからより一層修練に励んだ。

剣修の道を選んだ、これが一番強いと思ったから。

任務をたくさんこなして、八品の霊剣を手に入れた。

未だに大師兄に敵う気が全然しないが、規格外の彼を除けば、四十七代弟子のトップまで登りつめた。

そして今日、ようやく林晶と決闘できる。

自分でもわかってる、例え勝っても、胡鈴師妹が俺の方に向く可能性はないんだろう。

それでも、諦めることはできない。

林晶、お前さえいなければ。

いっそこいつを殺して……そんなこと、門派が許すわけない。

クソ!


試合場で林晶と対峙して、自然と挑発の言葉が口からこぼれる。

「逃げなかったことだけは……」

「お前に褒められても一霊石にもならない。そしてお前には今からでも遅くないから、さっさと尻尾巻いた方がいいと忠告してやるよ、別に笑わないから」

なん、だと?

「……くっ」

ただのゴミの分際で。

未だに築基すらなれないゴミの分際で。

この俺を?

「ふん、手も口ほど動けるといいね」

シィィィッン——!!

愛剣を抜く、もはや言葉など無用だ。

殺してやる。


「ふむ、準備はいいな?」

王長老が確認を取る。

「では、始め!」

開始の声がした瞬間、俺は飛び出した。

この一閃で終わらせる!

煉気には到底見えない速度で切り出した剣は一瞬で距離を詰め、やつに届く……

「やれやれ、そんなんじゃ当たらないよ、速度があっても狙いがみえみえなんだよ」

そして空を切った。

かわされた? 馬鹿な!

悠々と走りながらやつはぺらぺらと喋り出す。

「それと、足元には注意を払っておけ、転ぶぞ」

足元?

霊力の異様を感じた時、すでに遅かった。

俺は咄嗟に全力で地面に向かって剣気をぶっ放す。

なんとか爆発の衝撃を相殺したが、ぷしゅーと噴出す煙に囲まれる。

ええい、鬱陶しいことばかり!

霊力を探り、狙いを定める。

「玉霊剣第二式——風巻西山ふうけんせいざん!」

煙ごと吹き飛ばしてやる!

「ほら、プレゼントだ」

やつはなにかをこっちに投げ込んだ

ピキッ——

「ああぁぁあぁあぁああああーーーッ!」

煙の暗い視界の中で突然光が爆発した。

目がやられた、クソ!

まずいと考えた途端、俺は壁と激突した。


即座に剣を手放して、周囲で旋回させる。

激突のダメージは大したことないが、目がまだ回復してない。

今は耐えるべきだ。

…………

……

追撃が来ない? なぜだ?

目は既に回復した。

一番の好機を逃して、やつはなにをしていた?

距離をとっている? なんのために?

心を落ち着かせる。

これまでのことを振り返る。

全部やつの掌で踊らされているように思えた。

冷静になれ、力だけで潰せる相手じゃない。

長いこと強者でいられたため、俺は弱かった時の戦い方を忘れた。

いや、やつの戦いは俺の知る戦いではなかった。

あの余裕はなんなんだ?

なぜさっきは追撃しなかった?


考えてもきりがない、とりあいず試してみるか。

「切り裂け!」

剣をやつの方に飛ばせる。

御剣術は剣修の基本で、主な遠距離攻撃手段だ。

プシャァアア——

おかしな音が響いて、やつは突然加速する。

当然剣は避けられた。

「手元がお留守だぞ、ほらお返しだ」

そして何かを投げてきた。

さっきのよりずっと大きい。

「改良したばかりで俺も威力がどれくらいか知らないから、うまく避けろよ」

余計なお世話だ、言われなくともわかる。

アレはまずいと勘が騒ぐ。

「くっ」

集中集中集中!

霊識すべて御剣に集中、剣を呼び戻すついてに途中でアレを切る!

バアアアァァッン!!

くっ、耐えろ!

呼び戻した剣を盾に爆風を凌ぐ。


「はぁー、はぁー」

あの距離でこの威力、もし途中で止めなかったら。

冷や汗が止まらない。

こんな霊器、聞いたこともない。

ただの煉気期修士が持っていていいものなのか?

こんなぽんぽん使ってもいいものなのか?

ははは、何年も、何年も苦労して修練に励み、ここまで登り詰めたのに。

こんなに差があるのか?

林晶の方を見る。

なにを企んでいるのか全然わからないが、まだ走り回ってる。

俺の方が修為ずっと高いのに、俺の方が先にバテてる。

霊力も残り少ない、剣式二三発打てるかどうか。

それで勝てるのか?

強者を気取っても、所詮俺は弱者のままだ。

認めよう、修為が低くても、林晶の方がずっと強い。


「……林師兄」

その言葉が口から出た時、気持ちがすっと軽くなった気がする。

「あなたに不敬な態度を取ったこと、謝ります」

大師兄に出会う前の自分を思い出す。

林晶はこんな俺を信じられないような目で見てくる。

当然か。

自分でも笑ってしまう。

「修練があまりにも順調で、少し……いや、かなり調子に乗った」

認めよう、弱者である自分を、そして。

「もうあなたを侮ることはありません、自分の今の全力を持ってお相手します」

もう一度上を目指そう。


完全にはまだ程遠い、習い始めた術を使う。

飛行術だ。

彼がなにをしようと走り回っているのかは分からないが、なにか仕掛けてるのは間違いない。

これ以上この試合場にいるのは危険だと勘が告げてくる。

二三発など悠長なことを言ってられない、余分な霊力を飛行に回す。

この一発にすべてを賭ける。

霊力を煉化し、剣に注ぎ、法を成す。

「では、参る! 玉霊剣第三式——玉蓮散華!」

一振り、二振り、……八振り。

長いようで、実際は一瞬のこと。

これが今の俺の、精一杯だ。

剣式を完成した俺は地上の方を見る。

「なっ!」

煙が散り、試合場丸ごと使って描いた巨大な法陣が姿を現す。

俺の剣気が地上に届くより先に。

「死にはしないが重傷になりたくないなら全力で防げよ」

火柱が登って来た。


まだ足りないというのか。

ははは。

凄まじい勢いで剣気を飲み込み、真っ直ぐ向かってくる火柱を見て、俺は奇妙な境地に踏み入れた。

まるであの二時辰の時のようだった。

習っている玉霊剣が脳内によぎる。

「玉霊剣第五式——雲天一剣!」

飛行に回していた霊力を切って、体は勝手にその技を捻り出す。

そして火柱に突っ込んだ時、俺は既に意識をなくした。

本編の方も、まあ、ガンバッテカクヨ!

そろそろ門派での生活や紹介も終わり、外に出る話になります。

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