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第六話.フランチェスカ

「なんですか、この。魔物ってのは!」


 無数の触手の伸びる二メール超の巨大なラフレシアから逃げながらフランチェスカは叫ぶ。


「まったく、冗談じゃないですよ。こ……」

 と、そこまで言ったところである。無数の触手がフランチェスカの体を貫く。


「んな……」

 ずるりと触手は抜け落ち、どろどろと鮮血を滝のように流しながら、どさりと地面に降る。


「の……」

 消え去りそうな視線でフランチェスカはラフレシアを見る。


「……呪われろ(エリ・エマク・サバクタニ)!」

 そして、つぶやく。瞬間である。ラフレシアがはじけ飛んだのである。


「なにしたの、今」

「い、痛いです。まったく……」


 と、言いながらよろよろとフランチェスカは立ち上がる。体中に空いた無数の穴はすでに塞がっていた。


「自身に受けたダメージを相手に返す、呪いです。私はあの魔物の攻撃で一度死んでますから、まあ、あっちも殺せますよ」


 フランチェスカの心臓は『賢者の石』だ。


『賢者の石』とは、魔法使いにとっては無限に供給されるエネルギー媒体を指す言葉だが、それは実は『石』ではない。それは生命体の心臓を指す。かつていかれたマッドな魔術師がその生命体の心臓を抜き取り石化して永遠に保管しようとしたという逸話から『賢者の石』と呼ばれているのだ。


 賢者の石を手に入れたら不死になれるというのも間違っていて、賢者の石それそのものが、無限の命をさす。その霊力が尽きぬ限りその体は永遠を奏でる。ステータス表示でフランチェスカのHPが半分ばぐったような数値になっているのはそのためだ。彼女の正確な生命力は数値化できない。


「と、つくづくバケモノだな、貴様は」

「アシュリーだって、人のこと言えないでしょう」


「ま、たしかに、便利なもんだ」

 そう言って拳に視線を落とした少女はフフッと笑いながら赤い髪を揺らす。


 その瞬間、無数のラフレシアが二人を囲むように現れる。


「戦い方にももう慣れた。拳にこの力をまとわせる」

 魔力と言う概念。


 わずかに淡くアシュリーの拳が光る。



「ほら、硬度が増す!」

 そして、砕く。襲い掛かってきたラフレシアの触手をいとも簡単に砕いていく。


「スピードも、だ」

 そして四方から襲い掛かる触手を交わしながらラフレシアの懐に入り込む。


「つぶれろっ!」

 拳に力と魔力をすべて乗せる! 威力は二乗三乗に跳ね上がる。


 つまり、その本体が砕け散る!


「なんでも壊せるだろ、これ。コンクリートだって、戦車だって」


「すごいですね。魔力をこのような使い方に。もともとファイターとして無敵の才能を誇っていたところに契約によってそれが上乗せさせれた結果、これほどまでの力になったのか。アシュリーさん、もう地球に戻っても敵なしじゃないですか?」


 呪いを周囲のラフレシアに指定しながらフランチェスカは微笑む。


「言ってろ」

 ラフレシアを蹴散らしながらアシュリーもほほ笑む。


「貴様には勝てんだろ」


「それがわかるだけで、すごいですよ。というかアタシはだれにも負けません。もしアタシに勝てる人間がいるとしたら、それは」

 ただ一人……。


「……」

 そして、最後の一体がはじけ飛ぶ。


「ふん。自分がいかに井の中の蛙だったか思い知らされる。が、あたしは高みに上るぜ」


『レベルが上がりました。→レベル53』

「やっと50の大台か」


「アタシもです。これで51」


「魔王ってのはどんだけつえーんだろうな。もういけんじゃね?」

「いやいや。このレベルで挑むのは浅はかかと思いますよ」


「つうかおまえ、死なねえんだから偵察して調べてこいよ」


「ちょ。死なないわけじゃないんですよ。霊力が尽きない限りはってはなしで、命のストックって言いますか。何度も死ぬと、本当に死んじゃうんですよ。世の中には一度の攻撃で何個もの命を屠るみたいな存在もいますしね。アタシも死にたくはないですよ」


 それに、二人だけではだめだ。


「もっと仲間を集めないと」

「仲間だ、あ? 俺たち二人いりゃーなんとでもなるだろ」


「いえ……」

 そうしてフランチェスカは目を閉じる。自分に勝てる可能性のある唯一の存在。


「玉依優亜と合流してからです」


 

フランチェスカ

レベル51

HP23450

MP1556

力80

魔力701

早さ99

対魔470

対物28

運の良さ23

カリスマ124


アシュリー

レベル53

HP208

MP11

力385

魔力103

早さ225

対魔20

対物119

運の良さ31

カリスマ98


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