イム村の現状
「実は、一週間ほど前にこの村が魔物に襲撃されたんです。」
「魔物?昨日の林檎のことか?
それなら生憎だが俺たち完全に役立たずだぞ。」
「いえ、襲ってきたのはガリンゴではなくスライムです。」
「スライム?」
「はい。こう青くてぷるぷるした魔物です。」
フィーヤさんはそう言いながら身振り手振りで
スライムの形を教えてくれる。
どうやら丸っこい感じのようだ。
「どうしてこの村が?
そもそも結界が張ってあったんじゃ。」
「この村が襲われた原因はおそらく私たちが
スライムの子を殺めてしまったからだと思います。」
「なぜそんなことに?」
「ひと月ほど前、村の狩人が狩りをしている時に
獲物の前に一匹の小さなスライムが
躍り出てきて獲物を逃がしてしまったのです。
近年村で不作が続き食料に飢えていた折にです。
ですから彼も獲物を獲るためスライムを蹴散らしたそうです。
今までも何度も邪魔されたから彼も怒り心頭だったのでしょう。」
「なるほど。」
「それと結界の内側に入ってこれた理由ですが、
おそらくは結界に耐性のある種がいるのだと考えられます。
殆どは入ってこれませんでしたから。」
「てことはまた襲われるんじゃ?」
「その可能性は極めて低いかと思います。
この村はもう襲う価値なんてないでしょうから。」
「なぜそう言い切れるんだ?」
「だって、この村の大人の男の人は、ほとんど殺されたんだから。
それに、女の人を軒並み連れ去られたのよ・・・。」
そういって彼女は泣き出した。
どうやらスライムに両親を奪われたようだ。
(無神経だったかな・・・)
村長がフィーヤさんの頭を撫でながら話しだした。
「この村の名を、イム村といったじゃろ。
あれはな、儂らのご先祖様がこの森に冒険に来て、
昔から大量に繁殖していたスライムに囲まれ逃げれんなってな。
そこでここに住まざるを得んなってな。
皮肉を込めて、スラ『イム』と『忌む』をかけてつけたそうじゃ。」
「そんないきさつが・・・。」
「どうか頼む。
娘たちを救いもう一度この村に平和をもたらすため、
我々に力を貸してくれないだろうか。
どうかお願いじゃ。」




