嫌な予感
本日二話投稿です。
こちらは二話目です。
俺は、ブラックウルフの鳴き声に違和感を感じた。
威嚇ではなく、まるで怯えを含んだかのような
そんな弱々しさを感じたのだ。
もしそうならば、レベル20は必要だと言う
魔物が怯えるほどのナニかが俺たちの
すぐ近くにいると言うことだ。
クゥーン
「あれ?」
「あの子もしかして・・・。」
みんなも違和感に気がついたようだ。
ブワッ ヒューー
その瞬間、強い風が吹き付けた、ような気がした。
強い力が、危険なまでの殺意という奴が
すぐ側まで近づいている・・・。
「みんな一旦帰った方が良さそうだ。
おい!そこの狼も逃げるぞ!」
クゥーン(ガクガク、ブルブル)
どうやら恐怖で動けないらしい。
(ここで見捨てたら寝覚めが悪い、
あっー!もう!)
「みんなは先に行け!」
「おにいちゃんは?!」
「俺はあそこの狼を連れて行く。」
そういいながら、俺は走り出していた。
この時には、自分が危険に曝されることなんか
気にかけていなかった。ただ、あの狼が
心配でその一心で動いていた。
後から考えたら、震え上がるほど恐ろしいことだ。
クゥーン?
「ちょっと我慢してくれよ。」
俺はそういって狼を抱きかかえた。
狼だから大きいかと思っていたが、
体はまだ未発達の子供のような感じがした。
「おにいちゃん!後ろ!早く逃げて!」
「なに?」
声に驚いて反射的に振り返った。
そこには真っ黒な艶消しの巨大な狼が
餌を喰らう前のような姿勢ですぐ側にいた。
ほんの数メートルした離れていないのに
気が付くことが出来なかった。
さっきとは違って殺気を殺して近づいたのだろう。
心の声がないと俺は今頃死んでいたかもしれない。
「マズいな・・・。」
俺は少しずつ街の方に後退りしながら
相手の様子を見た。
相手もまだ出方を窺っているようだ。
まあ、どうやって殺すかを
考えているだけかもしれないが。
俺もこの狼と一緒で、
少しずつ恐怖に支配されていった。




