通知表を書くのは大変!
七月二二日の教員採用試験まで後十日足らずとなった。僕は翌日の通知表所見提出期限を控えて、大急ぎで所見を書いている。
いつも、こうならないように早めに始めているはずなのに…。またしても、試験勉強がはかどらなくなった。授業記録などの書き込みを見ながら、それぞれの子どもにふさわしいコメントを書き込んでいく。これが終わらないと試験勉強どころではない…。
七月に入ってから計画的に授業を終わらせて、学期末テストもきちんとこなしているはずなのに…。採点がうまく追いつかない。しかし、そんなこともいってられないので、気合いで採点を終わらせて、成績処理も淡々と進めていく。
一方、秋人は土曜参観以降、一日も早く教壇に立ちたいと言う思いを強めたようで、毎日必死になって勉強している。冗談抜きでたまには入れ替わってみたいものである。
僕らは顔も声も同じだから、一日ぐらいならごまかせそうな気がするけど…。よし、秋人に頼んでみようっと…って何考えているんだ!
くだらないことを考える暇があったら、少しでも早く所見を仕上げないと…。どうにかこうにかして、日付が変わる頃に何とか終わらせることができた。
所見提出後、校長・教頭の点検を受けたものが戻ってきた。手直しは数えるほどしかなくて本当によかった。後は成績を入れるだけである。
もう成績は出してあるので、授業記録に書いてあるものを通知表に書き写して、担任印を押すだけだ。それが終われば、最終点検を受けて、校長印が押されたものが手元に返ってくる。
それを二〇日の終業式で渡すこととなる。昼間は目の前に児童がいるので、試験のことは考えないようにしないといけない。しかし、さすがに今年はやばいと思ったので、学期末は一学期の復習と称して、練習プリントやドリルをさせることもあった。問題のない範囲で、教員採用試験の勉強を進める。もちろん、夜は全力で追い込みをかける。
とうとう、二〇日の終業式が終わった。翌日は仕事の合間に校長や教頭から最後の面接指導を受ける。臨時教員は教育委員会で指導主事の経験もある管理職から、直接の面接指導が受けられる。これは数少ない臨時教員の特権だろう。
これまで何回か休みの日に特別指導を受けた。そして、運命の教員採用試験の日を迎えた。この日は結局、明け方まで眠れなかった。