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双子のさし飲み(4)

 それにしても実に有意義な時間だった。わずか二時間足らずであったが、秋人と普段語れないようなことまで語ることができたのは本当によかった。


 このまま、家に帰るのがもったいなく思えて、もう一軒行くことにした。行く途中、さっきのお礼に今度は秋人がおごると言い出した。


 それではわざわざ「教員採用試験の合格祝い」に秋人を連れて行った意味がないと思い、思わず一瞬ためらう…。しかし、彼が「婚約祝いだよ」と笑いながら言うので受けることにした。


「穂高、合格祝いにガンプラ作ってよ!」


「何だよ。薮から棒に…」


 秋人が急に変なことを言い出すので、僕は思わず飲んでいたカシスソーダを吹き出しそうになった。


「いや、なんか急に子どもの頃を思い出してさ。子どもの頃、よくプラモを買ってもらったけど、俺はいつも途中で投げ出すけど、穂高はいつもきっちり作り上げていたよ。そして、俺の分まで仕上げていたからね…。懐かしいなぁ。お前、手先は器用だよな…」


 ああ、子どもの頃を思い出していたのか…。確かに、こどもの頃から秋人は手先が不器用であった。それは今も変わらない…。しかし、人付き合いに関しては秋人がいつも上手にこなす。それを僕はいつも歯がゆく思っていた。


「いや、ただ一人でコツコツ作業するのが、好きなだけだし…。秋人は物怖じせずに誰でも話をかけられるし、怖いもの知らずでよく探検とかしてたよ。あれ、すげぇよな…。俺は引っ込み思案でいつも内向きだからな…」


 秋人はジントニックを、僕はカシスソーダを飲みながら、鹿大近くの小さなバーで二次会をしていた。この店も僕の知り合いから紹介してもらった店である。


 さっきと違って、子どもの頃のことを二人で思い出している。穂高が急にガンダムのプラモデルの話を始めたからだ。


 何もプラモデルに限らず、僕は一人で何かを作るのが好きだ。自分の世界に浸れることほど幸せなことはない。それは今も変わらない。


 一方で秋人は一人でいるよりも、みんなでサッカーとか野球をするのが好きだし、探検ごっこをやってはよく迷子になっていた。


 秋人は小さい頃から見知らぬ世界を探検しては楽しんでいた。よく迷子になるから親によく怒られていたのに、それでも秋人は探検をやめなかった。そして、今や日本を飛び出すまでになった。

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