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祖母の一周忌(1)

 十月十四日、祖母の一周忌で親戚一同が我が家に集まった。父が長男なので、葬儀の時も喪主を務めていたし、今回も母と一緒にあれこれ仕切っている。


 秋人と僕も遠くから来た親戚を気持ちよく出迎えるべく、親の手伝いやお坊さんのお出迎えなどを行った。法事が終わると、親戚一同と共に食事をした。ああ、なんか懐かしいな。この感じ…。


 体が大きくなっても、親戚に囲まれると小さな子どもに戻ったような気分になる。親戚の叔父さんや伯母さんよりも体は大きくなったのに、未だにかなわない何かがある。


 子どもの頃はよく集まっていたけど、最近は僕らも大きくなったし、他の従兄弟も大きくなったこともあり、昔のように集まることもなくなった。しかし、この日は久しぶりに一同もあり、話も弾んでいる。


 特に協力隊から帰ってきて半年足らずの秋人は質問攻めにあっていた。彼自身は一年前、祖母の死に目に会えなかったことを、今も負い目に感じているようだ…。


 当時、まだリカルア共和国にいた秋人は祖母の訃報を聞いて、すぐに帰国の手続きや準備をしたらしい。しかし、それでも彼が戻って来られたのは、祖母が亡くなってから十日後のことだった。


 帰ってくるなり、祖母の遺骨を前にして、ただ静かに泣き続けていた。秋人にとって、本当に無念だったに違いない。飛行機で世界は近くなったとは言え、地球の裏側から日本へ帰ってくるには最短で二日はかかる。


 生前、祖母はとても元気だったが、突然の心臓発作により帰らぬ人となった。祖母が亡くなる日まで、ずっと一緒に暮らしていた僕らにとっても、全く予期せぬことであり、受け入れるまでずいぶん時間がかかった。


 大学時代から、ほとんど家を離れていた秋人はなおさらのことだろう…。秋人は気楽でいいなと思ったけど、あの時ばかりは、ずっと地元に残っていて良かったとしみじみ感じた。


 ばあちゃんだけは小さい頃から、僕らの違いを認め受け入れてくれた。両親でさえ、幼い頃は僕らをひとまとめに扱おうとした。そんな時、


「顔と声は同じでも、中身は全く違う人なんよ。だって、もともと一つだったものが、二つに分かれたんだから、それぞれ違って当然だろ?」


と、言っていた。小さい頃から社交的で活発な秋人、一方で内向きで自分の世界に浸りがちな僕…。周りの人はいつも都合良く、どちらかに合わせようとした。ある時は秋人に、またある時は僕に…。それは本当に窮屈だった。


 祖母の言った通り、秋人も僕も全く違う道を歩み、そして今に至っている。しかし、二人とも人と関わることは好きであり、奇しくも二人は学校で教育に関わる道を選んでいる。


 双子だからと言って、何でも一緒にはならないけど…。普通の兄弟と違って、何か特別なつながりを感じずにはいられなかった。

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