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穂高、美弥の家に行く

 このままではいけない。僕は急いで鹿児島中央銀行へ駆けつけて、ATMで五万円下ろした。それから、鹿児島中央駅横のアミュプラザにある某宝石店へ向かった。


 そこで一番安い指輪を買ってから、車で美弥の家へ向かった。家の前に着くと、これまで何度もここへ来ていると言うのに、心臓がバクバク鳴る。ベルを押すと美弥が出て来た。


「穂高、どうしたの? 急に来るなんて…」


「だって、美弥が電話にもメールにも出てくれないから…」


「そりゃ、あんなことがあればね…」


「この前は、本当にごめんなさい!」


 僕は美弥の家の玄関で深々と頭を下げた。もし、許してもらえないなら、そのまま土下座をする勢いでいる。それを見て、奥から美弥の母がチラチラ見てくるのが見えた。美弥の母も何となく分かっているのかもしれない…。


「ちょっと、こんな所で止めてよ。他の人に見られるでしょう? ちょっと、車で待ってて。準備をしてくるから…」


 言われるがまま、僕は車の中に戻った。さすがにあの状況で家に閉じこもるようなことはしないだろう。美弥の母が玄関を様子見してくれて本当に良かった。


 それから五分ほどして、美弥が車に乗り込んできた。とりあえず、車を動かした。


「久々にアミュランに乗らないか?」


 車に乗り込んでからも、美弥はまだツンツンとしている。どうしたものだろうか…。許してもらえるまで、謝るしかない…。さすがに車を運転中に土下座はできないが、心の中では何度でも土下座をしていた。


「この前は本当に悪かった…。美弥の言う通り、僕は自分のことしか考えてなかった。美弥のためと言いながら、美弥に僕のエゴを押し付けていただけだった。あれから、本当に大切なモノは何なのか、真剣に考えた…。僕にとって、美弥よりも大切なモノなんかないことに、ようやく気付いた…」


 左サイドミラー越しに見える美弥の表情がようやく和らいできた。僕はホッとする。これでやっと、次に進める。


「私こそ、ごめんなさい…。穂高が別に結婚したくない訳ではないことは、分かっているのに…。最近、周りの人がどんどん結婚していくから、変に焦ってた…。そして、知らないうちに、穂高を追い込んでいた。本当は私から謝らないといけないと…ずっと思ってた。でも、なんか変に意地になってさ…。危うく、本当に大切なモノを失う所だったよ…」


 よし、第一段階終了。このまま、次に取りかかろう!

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