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やり直した令嬢は幸せを摑まえる。あばずれ?言いたければ言わせておけばよいのです  作者: 鏑木うりこ


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第6話 狙って来たわね

「お嬢様、夜会のお誘いのお手紙が来ておりますが……」

「今度からは伯爵以下の夜会は基本的に出ないわ。持って来なくていいわよ」

「はいっ!! 」


 ルシーが嬉しそうに選別して手紙を置いていく。私は今まで参加していた夜会のことを思い出していた。




「私、アネモネと一緒に夜会に出たいわ!」

「え? でもダリアは公爵主催の夜会の招待状を持っていて?」

「……ないわ……だから、アネモネが私も行ける夜会に来てくれればいいのよ!」

「そう……?」


 私はそうやってダリアも出ることができる子爵家の夜会や、伯爵家の夜会に良く出席していた。


「アネモネが行くなら私もついて行こうかな?」

「ありがとう……ナルク様」


 そうやって一緒に出掛けたのに、ナルクはすぐさまいなくなる。ついでいダリアもいなくなって私は顔見知りも少ない夜会で壁際でつまらない時間ばかりを過ごす。考えてみればその時にナルクから贈られたドレスも大したことないものばかりだった気がする。確かに高位貴族の夜会じゃないから豪華すぎるドレスは浮いてしまうかもしれないけれど、私には極力お金をかけたくなかったんだろうなと今ではわかってしまった。

 そうやって私を一人放置してナルクはダリアとの逢瀬を楽しんだり、低位貴族の令嬢と親しくなって行ったんだろう。何かあった時にデニス侯爵家、ひいては私の家のウィンフィールド公爵家の威を借りて不都合を封じ込めようと格下の令嬢に手を出していたんだ。



「汚いわ……」


 目覚めてから一度もナルクに会っていない。会いたくないのが一番だけれど、屋敷の皆にもナルクやダリアを通さないように言ってある。以前はそれが普通だと思っていたけれど、良く考えたら酷い話が目白押しだった。過去の私はなんて馬鹿だったんだろう、と頭を抱えているとメイドの一人が慌てて部屋にやって来た。


「お、お嬢様……あの、デニス侯爵令息がいらっしゃいました! 」

「来訪の予定はなかったわよね? 突然来るなんてなんて礼儀知らずなの……追い返して」

「それがマリクス子爵令嬢も一緒で無理やり入り込み……エントランスで泣き喚いているのです」

「……仕方がないわ、私が対応するしかないようね」


 ダリアだって貴族令嬢の端くれ。メイドや執事達では強い態度で出ることはできない……仕方がなく読んでいた本を閉じ椅子から立ち上がった。



「アネモネ! 話がある!」


 声高に我が家のエントランスホールでナルクが騒いている。横にダリアを抱き寄せて……一体何をしているのかしら? あなたの婚約者はまだ私なのよ? 一応未婚の令嬢であるダリアとの距離ははしたない程近すぎるのではないかしら。私の後ろから付き従ってくれた執事のハンネスに声をかけた。


「ハンネス、お父様は今日はお出かけだったわね」

「その通りでございます、お嬢様。本日は城の方へお出かけで、早めにご帰宅なさるそうですが現在は留守でございます」

「そこを狙ってきたのかしら」


 ハンネスにそう確認して、ため息をつく。うがった見方をしてしまうが、違うとは言い切れない。多分まだデニス家に婚約解消の話は届いていないだろうに一体何を訴えたくて突然やってきたのだろう……まあ間違いなくダリアがナルクに泣きついたんだろう。私が冷たく当たるからなんとかして、って。二人の前に果敢にも立ちはだかり、これ以上奥へ進ませまいと頑張っていた執事見習の後ろから声をかける。ここからは私が対応しなくてはならない。

 

「ナルク様。突然いらっしゃって大声で何をなさっているのです? 大切なお話ならお伺いいたしますが、意味のないものでしたら早急にお帰り下さいませ。私にも予定というものがございますので」

「アネモネ、君はダリア嬢に冷たく当たっているらしいな? ダリア嬢は君の友達で、私の知り合いでもある。何故そんなことをするんだ! 以前と同じように仲良くしてあげたまえ」


 やっぱりそんな事だった。貴族女性は人前で涙を見せてはいけない、これはマナーの一つに入る。それなのにダリアはナルクの胸に顔を埋めて泣いている……ように見える。以前の私ならこんなことをいって駆け寄ったに違いない。


「ダリア、どうしたの? 何があったの? 私にできることがあったら教えて」


 今思えばどうしてそんなことをしたのか分からない……それが普通だと錯覚していた。でも今は違う、この人達に媚びへつらうなんて絶対に嫌だ。


「冷たくなど当たっておりませんわ。ごく普通の知人として接しています、とても心外な言い分で私は傷つきました……ハンネス、ルシー……お客様をお見送りして。私は部屋へ戻ります」

「はい、お嬢様」

「わかりました、お嬢様、誰かお嬢様のお部屋に冷たいタオルをお持ちして。ご気分が悪いらしいので」


 別に気分が悪い訳じゃないけれど、大袈裟に言ってくれるルシーの提案に乗ることにした。




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