君に幸あれ
世界が終わり、新たな人類が世界を作り直した。
この世界では「力」がすべて、金も女も家も車も…
力ある者に磁石のように引き寄せられる。
俺の名前は”ステロ・マック”みんなからはステロって呼ばれる。
スモークタウン出身の孤独な16歳だ…
孤独は別に嫌いじゃない…学校も行かなくていいから自由に時間を使える。
夕方…壊れかけたビルの中からランタンの光が一つ、また一つと増えていく。
普通の16歳ならもう帰る時間だ…でも俺は違う。
ここからが俺の楽しい時間なんだ…
長袖を着たくなるほどの寒さのはずなのに
ここに来るといつも熱くなれる…
ここは"スモークタウン地下闘技場"。
血と汗…時には大きな金も動く素晴らしい場所だ。
「おい!ロスはどこにいるんだよ!!」
スモークタウンB地区を支配している"ウルフ”のボス
マクロスは焦りながら怒鳴った。
「ボス!ロスがロスが!」
仲間から出たロスという名前に安心したのも束の間…
「ロスが!瀕死の重傷で病院に運ばれました!」
マクロスは膝から崩れ落ち、地面のコンクリートを強く叩いた。
マクロスの部下は一言も喋ることができない…それもそのはずだ。
今回行われる戦いはスモークタウンA地区"レッドフェイス”と
”ウルフ”がお互いの大事な施設を賭けて戦う…負けれない試合なのだ。
「ロスは安全な家に泊まらせたはずだぞ!!監視カメラはどうなってる!?
映像があれば奴らの不正を暴けるだろう!?」
部下の一人”ミラージョ”が申し訳なさそうに口を開く
「ロスは…彼女の家で発見されました。ボス」
マクロスはポケットに手を入れタバコを探す
その手は少し震えていた
「あいつ…アホなんじゃねぇのか?俺は言ったぞ…試合の直前は危険だってな…
これだからバカな部下は嫌なんだ!俺の話を全く聞かねぇ!!」
数秒後、マクロスの手には空っぽになったタバコの箱が握られていた。
「ちきしょぉぉおおお!」
マクロスは何度も壁を殴る…
壁に赤い色が見えた瞬間、部下がマクロスを止める
「ボス!ま、まだ戦える奴はいますよ!」
マクロスは部下の顔面に肘打ちを食らわせる
「バカ言ってんじゃねぇよ!うちにロス以上に強ぇ奴がいるのか!?
相手はナメた奴ださねぇんだぞ!?」
一秒、二秒…その一瞬一瞬がもったいなく感じる瞬間だった…
もう無理かもしれない…そう思った瞬間
「ボ、ボス!あいつ!観客席にいるあいつ見てくださいよ!」
ミラージョがそう言って指を指す
マクロスはゆっくりと顔を上げる
「あのガキがなんなんだ?」
「前話したの覚えてます?俺が開いた小さい大会で一度も負けずに
全員ボコボコしたガキの話ですよ!それがまさにあいつなんですって!」
マクロスは下を向いたままミラージョに質問した
「ロスと比べてどっちが強い?」
ミラージョは少し考え…小声で答えた
「ボス…口止めされてたんで言わなかったんですけど…」
部屋にある時計の針がカチッっと音を鳴らす
「あのガキに負けたんすよ…ロスさんは」




