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見難い火傷の子  作者: 清風
142/157

職業狙撃手の矜持

挿絵(By みてみん)

見難い火傷の子142


職業狙撃手の矜持


深淵ダンジョン

第十二エリア

白亜紀エリア


恐竜の時代


※深淵ダンジョン第十二エリア。

貝、魚、両生類、爬虫類、竜脚類、獣脚類、剣竜類、鳥類、哺乳類、海棲爬虫類、無脊椎動物、翼竜、昆虫。

そのすべてが“8倍”の世界。


ティラノ人のゴルゴザウル(ゴルゴサウルス)は、職業狙撃手だった。

最新式の光線銃が主流となった時代にあって、彼はあえて狙撃銃を使い続けている。


どんなに困難な依頼であろうと完遂する。

ただし、依頼料は高額だ。


依頼は、アルバート(アルバートサウルス)からしか受けない。

依頼元の名は極秘。

万一漏れれば、その仕事は破棄扱いとなる。


今回、ゴルゴザウルが狙う相手は、

信頼性共和国、秩序監査機構所属――

秩序監査官、オヴィ(オヴィラプトル)。


タルボ(タルボサウルス)王国を潰した国民は、

ラプトル文明由来の人々だった。

そのため、彼らは共和国の中枢に積極的に採用されていた。

オヴィも、その一人である。


オヴィ本人は善意の恐竜だった。

法と秩序を信じて疑わなかった。

だが結果として、彼は大量の国民に死を招いた。


アルバートは言った。


「奴は、生まれついての悪人じゃない。

 だがな、国民が死んでいくのを、黙って見ていたんだ」


タルボ王国を倒したのは、彼らの祖先だった。

だが、信頼性共和国を終わらせたのも、

同じ血の延長線にある判断だった。


ゴルゴザウルは、依頼を受けた。


オヴィの周囲には、常に要人警護が張り付いていた。

狙撃銃の照準器に映るのは、

いつもオヴィの前に立つ護衛の背中だった。


このエリアでは、

重力も風も通常とは異なる。

高度な計算が要求される。


獲物は巨大。

放たれる一発の弾丸は、

通常エリアなら「砲弾」に匹敵する威力を持つ。


要人警護の陣形に、

わずかな隙間が生じた一瞬。


引き金が引かれた。


弾丸はオヴィを貫き、

その体は崩れ落ちた。


巨獣たちが闊歩する地響きの中で、

狙撃の瞬間だけ、世界は静まり返った。


ゴルゴザウルは、姿を消した。


直後、街の雑踏に紛れるようにして、

号外が打たれる。


――

「オヴィ氏、撃たれる」

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