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ねこの手、貸します。 冬  作者: 白月 仄
にゃん二章 クリスマスシーズン!
11/12

にのよん

 翌、日曜日。基本、『にゃんてSHOP(ここ)』に来てから日曜は『ねこカフェ』のバイトだ。なので、俺は朝から『ねこカフェ』の店員として接客に勤しむ。

 休日は平日と異なり、『ねこカフェ』本来の業務の割合が増える。

 ──そんなこんなで昼過ぎ。

 先に昼食休憩に入った日立さんとの入れ替わりで、俺は昼食休憩を取るために居住区の方へ。

 テキトーにインスタント食品と自由に使っていい食材で作った昼食を食べていると、

「『──よう、小僧。お前、現在いま一人か?』」

 詩音さんが飼ってるペンギンのギーペが話し掛けてきた。このペンギン、『代声機だいせいき』という脳波を読み取って音声を発する機械を用いてヒトの言葉を操る、特異進化個体という突然変異種だ。

「見ての通り一人だが、何か用か?」

 俺は昼飯の残りを平らげると、話を聞く意思があるとギーペの方へ体を向ける。

「『そうか。なら、単刀直入に言うぞ。あの“自称タイムトラベラー”の事で、小僧に手伝いを頼みたい』」

 “自称タイムトラベラー”──今月のはじめに突然やって来た『時尾翔子』という少女のことか。そういや、『にゃんてSHOP』に居候しているが、今日まで食事の時にくらいしか顔を合わせてないな……。

「手伝い? なんで俺が?」

「『“なんで”って、小僧、お前『調査員』だろ?』」

「──!? は? 『調査員』って、なんのだ?」

「『ハッ、恍けようとしても無駄だ。小僧が“国の密命を受けた『調査員』”って、調べは付いてるんだぜ。』」

 ギーペの眼光は鋭く、俺の眼の奧を覗いてくる。

「──フッ、バレちゃしょうがない。如何にも俺は“国の密命を受けた『調査員』”だ、と言うとでも思ったかっ?! 俺は只の一般人だ!」

「『んな事は、百も承知! 揶揄からかっただけだ。』」

「──ッ。」

 ──このペンギンはっ!

「『ま、おフザケはこれくらいにして話を戻すが、マジで“自称タイムトラベラー”のことで小僧に手伝ってほしい。この通りだ。ちなみに、頼み事の日時は来週の日曜──詰まりはクリスマス当日だ。』」

 姿勢を正したギーペは人間のように頭を垂れてきた。

「……なんで、俺なんだ? 他にも頼める人はいるだろう? ……例えば、詩音さんとかさ……」

「『ぶっちゃけ、歌のにぃちゃんは歌手活動のクリスマスイベントなんかで忙しいからな、暇を持て余してる小僧に声を掛けたのだ。』」

「──おい。俺だって、クリスマス当日には予定なんかあったりするんだぞ!」

「『そうなのか? だが、どうせ、今日のように夜からだろ?』」

「……な!? なんで、知ってる?!」

「『恋人つがいがいるヒトどもはクリスマスを“聖夜ではなく性夜”と言ってるそうじゃないか。故に、安易に想像できる。』」

「…………さいですか……」

 たまに変な知識あるよな、ギーペって……。

「……んで、その頼み事の内容は?」

「『あー、なに、小僧は只の人数合わせだ。ま、見届け人ってところだ。』」

「…………あ、そ。」

 なんだ、ただの人数合わせか。ま、確かにクリスマス当日は夜まで暇なのでいいか。

「わかった、その頼み事、受けてもいいぞ。」

「『お、サンキューな小僧!』」

 そう言うと、ギーペは台所から去っていったのだった。



 ──夕刻。

 店長の音恋さんや日立さんよりも早く上がらせてもらい、俺は彼女との待ち合わせ場所に。

 自動運転の公共バスに揺られ、辿り着いたのは『清美グランドパーク』の入口前。

 バスを降りると、既に彼女がグランドパーク入口付近で待っていた。

「よお! 待たせたな。」

「私もさっき着いたところよ♪」

 古臭いメロドラマのようなやり取りをして、俺たちは二人並んでグランドパークの中へ。


 遊泳施設『マイムランド』はグランドパーク入口からは近く、徒歩十分程で到着。

 俺と彼女は『マイムランド』に入り受付カウンターで受付した後、スタッフに連れられて到着したのは通常のレジャープールがあるエリアとは隔絶されたプライベートエリア。

 プライベートエリアは周囲を観葉植物で覆われており、通常のエリアで遊ぶ客たちの声が遠くに聞こえる。そして、プライベートエリアは通常は何人かのスタッフが居るらしいのだが“クリスマスキャンペーン”中は利用客だけ──詰まりは俺と彼女だけ。ちなみに“もしも”の時の為にスタッフを呼び出すブザーボタンを渡されている。

 案内してくれたスタッフも立ち去り、彼女と二人きり。

「……」

「……」

 無言で見詰め合う俺たち。

 一体どれくらい見詰め合っていただろうか……。

「……ほ、ほら、早く水着に着替えよか。」

「……あ、ああ、そうだな。」

 プライベートエリアは更衣室も通常のエリアとは別。しかも、個室もあったりとさすがプレミアム価格のプライベートエリアだ。

 水着に着替え、プライベートエリアのプールエリアに戻る。彼女はまだ戻ってないようで、俺は手持ち無沙汰にプライベートエリアのプールを見てみる。

 まずはオーソドックスな円形プール。深さは大人の腰くらいで子どもでも遊びやすそうなプールだ。

 次もまたオーソドックスな長方形の競泳目的のプール。その次は、ジャグジーが付いたプール。その他にもスライダーや滝があったりと、規模は小さいが通常のエリアに負けず劣らずの種類のプールがプライベートエリアにもあった。

「お・ま・た・せ♪」

 背中越しに聞こえてきた彼女の声に振り返ると、そこには昨日に皆と遊んだ時よりも艶やかな水着に身を包んだ彼女の姿が──!

「──エヘヘ……、どうかな? 頑張って、かなり大人なの選んでみたんだけど……」

「ありきたりな言葉になるが、スゴく似合ってて綺麗だ♪」

「本当! 嬉しい♪」

「んじゃ、愉しむか!」

「うん♪」

 俺は彼女の手を取るとプールへと誘う。



 ──てさ、ここからはマジでプライベートだから、覗き見は遠慮願おう。



 ──プツン。────






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