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さすがに風呂場の異様さにみんな黙る…


「…これ、ひとりかくれんぼだよな?」

風呂場を覗く敦が浴槽の中を確認している。…さすがに触れたりはしてないが。


「多分…?俺も詳しくないけど…こっくりさん的なやつだっけ」

「まあ似たようなもんだとは思うけど」

「…サイトにはそんなの書いてなかったけどなあ?」

人形じゃなくて出てきたのが縫い目がほつれたぬいぐるみで美羽ちゃんは

首を傾げる。


「もうよくね?なんか鳥肌止まんねえし…」

「何言ってんだよ、光輝!目的は人形だからな!」


…なんでこの友人はこの状況で笑えるのだろうか…

とりあえず風呂場から出る、そして美羽ちゃんが次は二階だねっ!と

可愛い笑顔で笑った。

…誰かこのバカップルを止めてくれ…


美羽ちゃんを先頭にして階段を上る。

三人の会話を聞きながら階段を上るが一階と二階の空気感がまるで違う。

三人は気にも留めていない様子。


(…俺の気にしすぎか?)


美和ちゃんが臆せず二階に上がってすぐ右のドアを開ける。


「ここもトイレだったぁ」

ぱたんと扉を閉めて今度はトイレの向かい側扉を敦が開けた。


「うわ!」

開けた瞬間に敦の驚いた声が響く。

その様子を見て美羽ちゃんも部屋を覗いてうわぁ…と声を出している。


とりあえず敦と美羽ちゃんが中に入っていくので俺と小野さんもそれに続く。

…部屋の中は埋め尽くさんとする大量の人形だった。


「…人形だらけじゃねーか…」

「そういう心スポだからなあ…」

それにしても人形の種類は多様だなあと人形をまじまじとみる敦。


日本人形、雛人形…所謂ドールと言われる物まである。

置けるところに置きましたと言わんばかりに人形で溢れているこの部屋は

見るからに異質だった。


「…これも人形か?」

ちらほらと人形の間に紙でできたものや木でできた人型のものまで紛れている。


「あっ光輝先輩触んない方がいいですよ~」

そういうの、のぞちゃんに怒られますよと付け加えられる。


…確かにこういう所のものを軽率に触れるのはよくないな。

触れそうになった手をすぐ引っ込めた。


敦と美羽ちゃんはこの異様な部屋でも探索を続けている…

メンタルが鋼すぎる…


小野さんは俺の隣で紙でできている人形を凝視していた。

こわいですねぇ~なんて気持ちの籠ってないセリフ付きで。


「クローゼット空いてる~」

見ちゃう?なんて少し楽し気な美羽ちゃんが半開きのクローゼットを指さす。


「一応探索しとくか~」

「なんかアイテム落ちてるかもねえ」

…なんでこの二人は始終ホラゲー感覚なのだろうか…

いや、逆にその方が楽しめるのか…?異様な部屋から現実逃避している間に二人は

半開きのクローゼットを開ける。


「「あ」」


二人同時で声をあげる、仲いいなちくしょう。

全開にしたクローゼット中には透明なコップが一つ転がっていた。


「ほんとにアイテム落ちてた~」

「結構こういうのがキーアイテムだったりするんだよなー!」

「…服とかはないんだな…?」

「えー?こんなとこにコップだけ落ちてるの変じゃないですかぁ?」


クローゼットの中身についてやんやと四人で騒ぐ。

がらんとしたそこそこ広いクローゼットにはコップだけが落ちていて

他に異変はなさそうだった。まあ、そもそもこの部屋自体が異変しかないんだが。


「まあ、他になさそうだし奥の部屋も見とくか~」

そういうと敦は美羽ちゃんの手を引き先に行ってしまう。


「お前らが懐中電灯持ってんだから先に進むなよ!」

こんな人形だらけの部屋で真っ暗にされたらたまったもんじゃない。


咄嗟に小野さんの腕を掴み俺も敦たちを追う。

小野さんが小さく驚く声が聞こえたがそれよりも今は光を失うわけにはいかない、

普通に怖いから。


所狭しと人形が置かれていた部屋から出て廊下から左側の部屋は

扉が開けっ放しになっていて入らなくても部屋に何もないのが伺える。


敦と美羽ちゃんはその隣…右側の部屋の扉の前に立っていた。


「…何してんの?」

さっきまでどんどん進んでいった二人がなぜか部屋の前で立っていることに疑問を覚える。


「いや~、さすがにこれはまずいかなあって」

そう言って美羽ちゃんが指を指した先は扉にお札が貼られている。


「如何にもって感じじゃん…さすがにもう引き返して帰ろうぜ、この部屋で最後みたいだし」

人形はみたんだしさあ…と言ってる最中に小野さんが割り込んでくる。


「せっかくなんですし見ましょうよお、こんなの飾りですって」

「…こういうのはスルーした方がいいんだよ」

「西村さんが怖いだけでしょぉ?敦先輩どう思いますう?」


…おっと小野さん…敦に話を振るか?


「俺もみーちゃんの言う通りやめといた方がいいと思うけど」


えー…?!と不満げに声を出して彼女は間を開けて扉を開けた。


「「「あ」」」


小野さんが開けた部屋からはひんやりとした空気が流れてくる。

中の部屋は先ほどのではないが部屋半分くらいは人形が置かれていた。


「ほら、さっきの部屋とそんな変わんないじゃん~?」

「お札が貼ってあるのが問題なんだよ…」


女子二人の言い合いを眺める男二人。


「…いいのかよ、止めなくて」

「大丈夫大丈夫、女子なんてあんなもんだって」


むっとした小野さんがつかつかと部屋に入ってく


「大体これだってお化け屋敷の人形とかと変わんないじゃん」

紙だし!といって近くにあった人型の紙を手にもつ。


「…ほんとにやめなって。」

今までなだめてたような美羽ちゃんの声色が少し変わる。

隣で敦がさすがにやばいかもって呟く。


「みーたんも落ち着いて、なっ??」

「…ほら、もう見たんだし帰ろうぜ、とりあえず。」


俺と敦が間に入る。

女子二人の間には嫌な空気が流れている。


まあ、ほら帰ろう、な!っと俺はやっと帰れる安心感で敦から懐中電灯を受け取り

一番最初に階段を降りていく。



…一階に降りた俺たちは玄関に向かっていこうとして電話の前を横切った瞬間、

電話が鳴った。


俺たちは顔を合わせる。電話は鳴り止まない。


ぷるるるるる…


「無視して帰ろう」

美羽ちゃんが真剣な顔をして言うし俺はこんなところで鳴る受話器など取りたくはない。


そのまま歩みを進めようとしたとき、ガチャッという音と共にコール音が消えて

俺と敦と美羽ちゃんが同時に後ろに振り返る。


そこには受話器を取り耳に当てている小野さんがいた。

電話越しになにか言われたのだろうか小さく声を出して受話器を落とした。


その瞬間、二階の階段の方から人間が降りてくるような音がする。

この場に四人はもう揃っているしほかに人がいないことは探索済みなのでわかる。



ドンドンドンドン…



「とりあえず出よう!?」

そういって美羽ちゃんは敦の手を引く。

俺は放心状態で立っている小野さんの腕を掴み、無理やり家から出た。



なんとか最初に車を停めたとこに戻り車に乗り込む。

鼓動がとても速い。走って車まできたというのもあるのかもしれないが…


最後の電話とあの足音は何だったんだろうか…


「…大丈夫?小野さん…」

隣を見ると青ざめてぶつぶつと何かを言っている


明らかに大丈夫ではなさそうだ。

美羽ちゃんがため息を吐いてのぞちゃんに怒られる~…と嘆いていた。


そんなこんなで少し怖い目に合ったが俺たちは心スポから帰るのだった。






「っていうことがありました…」

反省してます、みたいな顔をして前回のファミレスで美羽ちゃんが望ちゃんに

報告している。


望ちゃんが分かりやすく頭を抱える。


「…なんでそんな馬鹿なの、あの人」


いつもより言葉の棘が鋭い。

かなりお怒りのようだ。


「美羽も危ないならすぐ帰ってきてっていったよね?!」

と美羽ちゃんを叱る望ちゃんは本当に姉みたいに見える。


「途中まではほんとに薄気味悪いくらいだったんだよ!」

それはほんとだから!ただ小野さんがあんなに話聞かないとは思わなくて…と下を向く。


賑やかなファミレスの中で毎回のことながら不釣り合いな会話が繰り広げられている。


「まあ、ぱっと見三人には特に何もなさそうだから…」

だからと言って安心はできないしもうそういうとこ行かないでよねと望ちゃんが

美羽ちゃんと隣で一緒に反省していた敦に釘をさす。





……それからしばらくして小野さんが大学に来なくなったと望ちゃんから

聞かされたのはいつもの律のお清めスプレーを渡す会という名のだべり会だった。







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