表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

影の中の少女

作者: ちまちゃん

ゆっくり読んでくださいね!

薄暗い部屋の片隅、古い窓から差し込む月光が、

埃まみれの床に淡い影を落としていた。

部屋の中には静寂しかなく、その静けさを切り裂くように、かすかな足音が響いた。


少女が現れた。白いワンピースを着て、裸足で歩くその姿は、月明かりに照らされて幽霊のように見えた。

彼女は部屋の中央に立ち止まり、小さな声で囁いた。



「お母さん、どこにいるの?」


答えはない。

ただ、闇が彼女の声を飲み込むだけだった。


少女は部屋の隅にある古い鏡に目を向けた。

鏡は曇っていて、何も映し出していないように見えたが、彼女はそれに向かって歩き出した。

「ねぇ、教えて。お母さんはどこ?」


すると鏡の中に、ぼんやりと人影が浮かび上がった。

それは彼女の母親の姿だった。

母親は微笑みながら手を差し出している。

少女は手を伸ばし、触れようとした。


しかし、鏡の表面に触れた瞬間、母親の姿は消えた。

代わりに鏡の中には、恐ろしいほど無表情の少女が映っていた。彼女自身だった。


「私はここにいるのに…どうして一人なの?」少女はそう呟きながら、鏡の中の自分をじっと見つめた。


その時、部屋の空気が急に重くなった。

冷たい風が彼女の髪を乱し、背後の扉が音もなく閉まった。

そして少女は気づいた――自分がこの部屋から一生出られないことに。


鏡は再び曇り、少女の姿を消した。

ただ静寂だけが部屋を支配していた。

読んで頂きありがとうございました


よかったら他のも読んでくださいね


ありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ