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よむシリカ  作者: RiTSRane(ヨメナイ)
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第7章「レイラ、暗黒歴史へ招待される」

 10月末。


 学園周辺がなにやら浮足立っている。10月末日には学園内で仮装(主にお化け)をして敷地内を練り歩く祭りがあるのだ。前文明の頃からある風習で、時期的に農作物の取り入れが終わった頃に催されるため、古代人が豊穣神に作物の恵みを感謝した祭りと解釈されているが、それがどうして百鬼夜行になるのかはわかっていない。


 今年の仮装の特徴は非常にわかりやすい。細長く作った三角帽子を前寄りに被って制服の胸に三角の布を付けた女子生徒が方々に見られる。学園に現れてから3週間ほどしか経っていないが、関係者の努力の甲斐あってシリカは学園に溶け込みつつあった。


「まあ、こうなるな。」

 生物研究室から学園の中庭を見下ろすと、まだ陽は高いが既に気の早い生徒が仮装して繰り出している。定番のリーパーやウィッチに混じって、全体の1割くらいがシリカに仮装しているのが見える。もちろん、レイラが苦手とするピンクの怪物も、相棒の緑の怪物と一緒に。

「この中を本人を連れて寮まで帰るのも、なんというか、妙な感じですわね。」


 レイラ自身も仮装して行列に参加するつもりでいるが、そのためには既に校内にあふれ始めているお化けの中を通ってステラの待つ寮へ帰らなくてはならない。


 今日はシリカの体内に残ったままのヘラの経過を診るため研究室に立ち寄ったのだが、相変わらずヘラはそこに浮かんでいた。角度が変わったような気がするが、気のせいかもしれない。


 先日、校医にシリカを診せに行ったところ、やはり待合室にいた生徒の一部が魔人を怖がって帰ってしまい容態を悪化させてしまった。理事会の判断として安全であることを宣言している以上レイラが責任を問われるようなことは無いのだが、そもそも医者の手に負えるケースではないということでシリカの経過観察は生物教師が行うことになったのだった。


「どうも、なまじ知識があるせいか、私は発想に自由度が足りないな。」

「何ですの急に?」

「あれだよ。」


 シリカに仮装した女子に混じって、同じ仮装の男子が何人か見られる。女装ではなく男版ユニコーンである。

「この前話したように、シリカの父と母、あるいは兄弟がいたとすると、あんな光景もあったのかもしれない。だが記録にある魔人シリカは、すべて同一個体ということもあって女しかいない。教団が作った合成体もそれを倣っているから女のみで、男で再現しようとは誰も考えなかったらしい。」


 他の魔人の目撃例がシリカ以上に少ないこともあって、魔人の存在は確定しているもののその生態などは何一つわかっていない。シリカは他の魔人に比べれば頻繁に出現しているので外見については情報が出そろっている感があるが、レイラのように内部に接触したのは今回が初めてであり、その上あんな結果に終わったので分析はますます混迷を極めていた。


 だが、外見的特徴基準で考えれば増殖の方法ヒトもシリカも同じと考えられ、種には雌雄があるはずだ。見た目通りならシリカは雌であり、学園内の男子と女子に対する態度が明白に違う事から、性別を区別できると考えられる。つまり、シリカの性別がどちらだったとしても、それと対になる性のユニコーン型が居たはずだ。ここまで複雑な生物で単性生殖はありえないだろう。


「そういえば、この子は男子が嫌いみたいでしたわ。」

「ふむ、異性に対する反応は幼児並か、それとも単にユニコーンの性質そのままなのか、或いは見た目が逆転しているのか・・・仮にヒトのような恋をするとして、そういう年頃になるまでこの先何百年かかるのか?」


 シリカが恋をする、ならば相手は同じ魔人であるべきだとレイラは思う。だがシリカが元居た世界がどこかはわからず、自分で帰ろうとする様子も無い。初めて現れた日、召喚門と無関係に出現したのであれば、本人にその意思があれば自由に帰れるという可能性もある。だが今、学園内にいる仮装した生徒達を見てシリカは何を思うのだろうか。同族のいる世界を思い出して帰りたいと願うのだろうか。そうなったとき、自分はどうするだろうか。召喚獣の日常まで心配していては立派な魔術師にはなれないとは思うが、そこを気にしてしまうのはレイラの育ちの良さか。


 だが、召喚した魔獣はできるだけ元の世界へ返すというのが学園の方針でもあり、それを支援するためだけに召喚用宝珠をわざわざ開発している。他にも魔法を教える学校はあるが、召喚魔法にここまでの執着をみせる学校はこの魔法学園くらいのものである。


「先生。」

「ん?」

「シリカも、いつか帰してあげるんですよね?」

「ん・・・ああ、学園の基本方針ではそうなるね。ただ、その世界の手掛かりが無くて、本人も帰ろうという意思を見せないという問題はあるが。」


 シリカの世界がどこにあるとしても、送り返すのは自分の仕事だろう。召喚したのが自分だからというのはあるが、もし帰る道を見失っているのならなんとか手助けしたい、そう考えてしまうレイラだった。


 ただ、騎馬戦の時ウルフィン召喚が成功せず、二度目に投げた針は注いだ魔力に対してそれほど深くに届いた感じではなかった。三か月にわたって召喚魔法ばかり練習していたおかげで、そこら辺の勘も磨かれていた。だが、実際に召喚されたのは深い領域に住むといわれる魔人だった。この矛盾はなんなのだろうか。


「せっかく懐いてきたところで帰還させなくてはならないのは辛いかもしれないが、それは当分先の話だよ。それに、召喚の成否に依らず、長時間接触し続けていればそれなりに縁は濃くなる。召喚魔法の基本として、縁のできた魔獣は再召喚されやすいというしね。」


「帰ったならまた呼び出せばいい話ですわね。では今日の所は・・・」

「あの中を通って帰る?」

「はい。」

 中庭では仮装した生徒が何かの出し物の準備を始めていた。軽食の出店も並び始めている。


 あの中、と言ったが、本当に中庭を通ろうものならそのまま祀り上げられかねない。レイラは校舎の裏から出て外壁沿いを回って寮へ帰ることにした。


 校舎端の階段を目指して普段通らない廊下を進んでいると、前方から人影が現れた。シリカに仮装した女子が二人と、魔導士志望者なのか、ベルトなどに宝珠をたくさん付けた男子。ただ、三人ともマントと頭陀袋を身に着けていて冒険者のようないで立ちだ。他の生徒が魔人服の再現をしているのと差別化を図った独自設定なのだろうか。


「ん・・・」

 珍しくシリカが手を伸ばした。女子の方が気になっているようだ。だが三人は急いでいるらしく、軽く会釈をしながら早足で去って行った。そのうち一人がこちらへ向かって手を振ったようだったが、廊下は薄暗かったもののその仮装が細部までこだわった作りなのがわかった。服装は全然違ったが、ボール紙の帽子で済まされそうな角は本物のような模様があり、つま先には蹄のようなものを付けている上に歩く音までそっくりだった。


「あっ」

 行き過ぎてから男子が呼びかけてきた。かなり渋い声だがもしかして教師だったか?

「そこのあなた、そっちへ行くと・・・」

「すみません、急いでおりますので。」

 反射的にそう返すと、レイラはシリカの手を引いてさっさと階段を下りて行った。


 逢魔が時の階段は黒いモヤモヤした物が浮かんでいるように見える。学校の階段に怪談が多いのはこのモヤモヤが主な原因だろう。鼻をつく腐敗臭が漂ってきた。試験片の捨て場が近いのか?薬品臭と合わさってなかなかに刺激のある臭いになっている。


「くっ。」

 思わず手を離して鼻を押さえてしまったが、足元もなにかヌメヌメしているようでレイラは足を滑らせ、しかしギリギリのところで転倒を回避した。


「うっ・・・ちょっとここ、臭いわねッ。」

 さっきの男子が警告してくれたのはこのことか。


 風の魔法を使って換気を試みるが、学園で習った魔法は物を浮かせるなど対象の状態に作用するものか自分から目標へ向けて何かを投射するものばかりだ。換気なら風を吹かせれば良いと思いがちだが、部屋などの空間の空気を突風を起こさず外気と入れ替える操作というのは、実はなかなかに複雑で繊細な制御が必要、つまりレイラはあまり得意ではない。そこで咄嗟に前方から自分へ向けて風を吹かせようとしたのだが、これは制御自体はかなり単純化されているものの、感覚的には普段習っている魔法と逆の事をするため使い慣れていないと結構難しい。


 もう少しで通用口だ。外に出ればこの空気もマシになるだろう。だが、通路が妙に暗い。出口は明かりに照らされて浮かびあがって見えるが、足元がおぼつかないので壁に手を突くと

「いっ・・・」

 壁がじめじめしていて冷たい。多くは無いが毎日何人かは使う出入口がこれほどの湿度とは、この一角は一体どれだけの間換気をしていないのか?


「ちょっとシリカ!足元に気を付けて、滑るわ。」

 返事がない。


「シリカ?足元滑るわよ!」

 通用口に続く廊下が階段になっていた。記憶にないが・・・

「!よっ・・・しょ」

 ドアが開けたまま・・・いや、ドアが無い。



「おお・・・」

「おお・・」


 出口を囲むように集まった人々から感嘆の声が上がった。

「な・・・なんですの?」


「魔神様じゃ、魔神様が降臨なさった!」

「三剣様じゃぁ!」

「魔神さまぁ!」


 驚いたレイラが後ろを振り向くが、壁のような石積みがあるだけで魔神など影も形も無い。

 通用口の外は巨石を積み上げた祭壇になっていた。いつの間にこんな大工事をしたのだろうか。しかも正面には護摩のように木を組んだ焚火が燃えており、その向こうに人が何人もひれ伏している。実家で両親が謁見する時ですらこんな光景は見たことが無い。しかも集まっている人々の身なりは一様に粗末で、丈も様々な貫頭衣と足袋のみ。今どきこんな恰好の人がいるのか?。


 この状況は異常だったが、追い詰められているというわけではない。レイラの頭脳は混乱していたがせいぜい通常運転でこの状況を打開する一言など出てこなかった。

「えぇと・・・これは?」


 レイラがあっけにとられて立ちすくんでいると

「・・・」

「はっ!」

 一番偉そうな老人に促されて、左右に並んだ男たちがドラムを叩き始める。集まった群衆が左右に分かれ、その奥から男たちが輿を担いで入ってきた。何かの植物の葉や花などで飾り付けられた輿の上、巨大な葉の真ん中に一人の少女が正座していた。


「えっ?!何よこれ。」

 レイラの立っている場所は他より一段高く舞台になっていた。レイラが出てきた通路はその真ん中にある。護摩が焚かれているのはステージより下、客席最前列といったところか。運ばれてきた輿は舞台上へ上がり、レイラの正面で降ろされた。担ぎ手の男たちが下がると、先ほどの長老的な老人が上がってきた。


 長老は輿の前まで進みレイラと向かい合う形で跪くと、少女を仰向けに寝かせた。少女は貫頭衣すら来ておらず、裸の体に赤い塗料で丸や矩形の紋様を描かれていた。一方で、耳や首などには磨き上げた細長い石や貝殻で作った装飾品を誰よりもたくさん身に着けていた。


 レイラはこれに近いものを実家で見たことがある。宴席の出し物だったが、生きたままの魚を職人がその場で解体し提供するのだ。レイラは立場上それを正面から見ていなければならなかったが、身を切り刻まれながら口をパクパクさせる魚が衝撃的で、そばにいたステラの手をずっと握って正気を保っていた。


 長老的な老人が短刀を取り出した。


 ああ、やはりこれはそういう事なのだ。

 ただ、突っ込みどころがひとつある。それのおかげで今のレイラはステラがいなくても冷静だった。

「何をしているんですの?」


 冷たく、良く通るレイラの声に、老人をはじめそこに集った全員が凍り付いた。ドラムの演奏も止まり、落とした撥がカランカランと転がった。


「こ・・・これは・・・」

 何か魔神の機嫌を損ねてしまったのだろうか、長老たる老人は狼狽えた。だがレイラの目は老人を見ておらず、生贄の少女を見下ろして

「ここで何をしているんですの?シリカ!」


 誰が仕組んだのか、これはシリカも巻き込んで祭礼の出し物の一つのようだ。大掛かりで手が込んでいるが、生贄役がシリカの時点で筋書きが崩壊している。

 慌てて老人が場を取り繕おうとする。

「は・・・何を、と申されましても・・・生贄、で・・・ございますが?」

「あなたには訊いておりませんわ!シリカですわよ、シ・リ・カ!」

 レイラの剣幕に圧されながらもなんとか答えを吐き出す。

「は、はあ・・・シリカで、ございます。」


(なんですのこの薄汚れたご老人は・・・そもそもこんな人どこから?)

 その時になって初めて、レイラは相手の顔をちゃんと見た。頭に何か被っていると思っていたのは尖った耳と頭頂部の角・・・老人だし男性だったが、シリカに仮装している!?

 改めて周囲を見回すと、そこにいたのは老若男女、皆シリカだった。それもどう見ても学生の仮装ではない。年齢の幅が広すぎたし、皆一様にやせ細って、怪我人も何人かいる。まるでシリカの惑星だ。


「えぇ・・・と・・・」

 目の前の生贄の少女は見知ったシリカのはずだが、よく見るとうっすら肋骨が浮き、色々なところが明らかに細かったり小さかったりする。

「ちょっとあなた、お名前は?」

 本人ならまともな答えが返ってくるはずがない。

「く・・・クリスタと、申します。」

 声が震えていたがはっきりそう聞こえた。



 結局、生贄の儀式は中止され、その場は魔神レイラを囲んで宴となった。

「大したものはお出しできませんが。」

 長老の言う通り、出された食事は木の実や果物が主で、肉類は無く魚のみ。それも味付けはかなり薄い。食料に難儀しているようだ。

「いいえ、お構いなく。ところでここはどこなんですの?あなた方は?」


 長老が言うにはこの一族、シリカ族は絶滅しつつあった。

 世界はヒトの興した帝国が支配しており、ヒトを頂点とする思想によりエルフ、ドワーフなど他種族を亜人、獣の特徴を持つものは獣人として差別されていた。そしておおよそ100年前、帝国は歴史上最凶の政策を打ち出した。獣人排除政策である。亜人と違って獣人はヒトの文化と相容れないという理由で帝国議会に議案が提出され、ヒト族しかいない議会は特に議論もせぬままだらだらと可決してしまったのだ。この法に従ってあらゆる獣人が投獄され、毎日のように処刑されていた。


(帝国?獣人排除??そんな政策をとっている国がありましたかしら?それに帝国といえば西方大陸のハイサイト帝国?現皇帝は賢帝で知られるロベルト帝、その上元老院には獣人の議員もいたはず。シリカ族も聞いたことがありませんわ。)


「その、帝国というのはどちらの帝国ですの?」

「この中央大陸に帝国といえば一つしかありません。エドモンズ帝国です。」

「エドモンズぅ?!」


 レイラでもその名は知っている。かつて中央大陸に存在した大帝国。初代皇帝・・・初代・・・名前は忘れてしまったが初代皇帝は高潔な理想を掲げた名君であった、と、教科書には書いてあった。強力な皇帝の存在によって政情は安定し、長く平和な時代が続いたが、代を重ねるにつれ建国の理想は歪み極端な格差社会を生んだ。中央は腐敗が蔓延し議会は機能せず、最期は民衆の蜂起によって倒れたくらいの事ならなんとか覚えている。


 つまり、現存しない帝国である。

 獣人排除政策もその帝政時代に実際にあったが、労働力不足を理由にすぐに廃止されたとかなんとか。


 夢でもとびきり大掛かりな仕掛けというのでもない、レイラが立っているべき場所は石舞台ではなく生物学科校舎の裏庭で、後ろは石積みではなく校舎のはずだが、現状はそのどちらでもない。そして今の話が本当ならば、階段を下りた先は大昔の暗黒時代だったということだ。


 この場所はどこかの森の中だろう。魔法学園の周囲は不毛地帯で、今感じている空気とは肌触りが全然違う。時代というのが勘違いだったとしても、少なくとも学園から遠く離れた場所なのは間違いない。


 シリカややこしいですわねは元々数が多くなかったが、帝国の手が迫った住処を離れこの森に隠れ住んでいた。しかし帝国は森に魔獣を放ち、シリカ族を根絶やしにしようとしている。シリカ族の強さはせいぜい人並みで、魔法は使えるものの強くは無かった。更に、そもそも角の部分は別の生物で共生体だった。


「共生体?」

「これでございます。」

 長老が前髪を上げて角の付け根を見せた。そこにはシリカと違って明確な継ぎ目があって、周囲には木の根のような盛り上がりがある。継ぎ目の隙間からはなにか黒い点が覗いている。


「我らの種族は元は海のそばに住むエルフでしたが、この・・・」

 長老の角が少し浮き上がって、わずかだが角の中身を見せた。

「シーラ貝に寄生されてこのような姿に。」

「それ、貝でしたの?!」

「フォッフォッフォ・・・角のように見えますよの。」


 そういえば角の根元から見える黒い点は目、根のように見えるのは触腕だ。見えやすいように端を持ち上げて、まるで貝が自己紹介をしているようだ。

「ですがこの貝に寄生されたものはそれ以来病気もせず、大層な傷もこの触腕が届けば治ってしまうもので、敢えて取ることはせず、共に生きることにしたのです。」


 言われてみると、子供の角は細くて小さいが、大人になると大きくなり、老人になるとまた小さくなるようだ。新生児は普通にエルフが生まれるらしい。

「それではシリカという名前も。」

「はい、海沿いに住むことから海エルフ族などと呼ばれておりましたが、シーラ貝を着けているからとシーラクランという新種族に変えられまして、それがなまってシリカ族、となったようです。」

 なんと紛らわしい、魔人シリカとはまったく別物ではないか。


「ところで、さっき私を見てその、魔人とかおっしゃってましたけど・・・」


 長老は改めてレイラに向かって座り直した。他の者たちも食事の手を止める。

「我らの種族は帝国の迫害を受け絶滅の危機にあります。魚介を食すせいで同じ仲間であるはずのエルフからも疎まれ、今やこの森にわずかな生き残りが隠れ住むのみ。」


 この場にいる、せいぜい百人かそこらが、たったこれだけが全部?

「帝国軍が森に放った魔獣に追い立てられ、ここから逃げ出すこともできません。どうか魔神様のお力で、我らを導いていただきたく・・・」

「ち、ちょっとまってくださいな、私は魔人じゃなくてただのヒトですわよ?」

「何をおっしゃいます、その金色の髪、剣を象った二条の髪束と丸い耳朶、藁にも縋る気持ちで召喚の祈りを捧げましたがあなたはまさしく伝説の魔神、三剣様に間違いございません!」


 ステラが毎朝整えてくれる縦ロールの髪を剣の形だと思い込んでいるのか。

「これはそういう物ではありませんし、そもそも二本しか無いのに三剣ってなんですの?」

「伝説に依れば、第三の剣はその心の中に、と。」

「何かしらその都合の良い伝説!?」


 だが、今この場の最強戦力は初歩とはいえ魔法を無尽蔵に使えるレイラと言えよう。森に放たれている魔獣の数や種類によっては本当に救世主になれるかもしれなくもない。しかし


「今のお話ですと皆さんはエルフ族なんでしょう?それがどうして獣人排除に。」

「はい、シーラ貝を着けている我々は貝に体を乗っ取られていると言われまして、いくら説明しても聞き入れられず、子供も同じエルフとは認められない、と。」

 せめて裁判にでもかけられれば弁明の機会もあったのだが、帝国は有無を言わせなかった。シリカ族の集落に軍を送り込み、一人も捕らえることなくその場で殺戮し始めたのである。


「でも、そのシーラ貝の力があれば軍隊相手でも戦って勝てたのではありませんこと?」

「シーラ貝の治癒力は確かにすごいのですが、戦の場で使うには少々時間がかかりまして、治るより先に殺されてしまいます。腕の一本くらい切り落とされても元通りにできるのですが、首を落とされてはそこで終いですからな。」

 なるほど、共生による恩恵も万能ではないようだ。


「そんなすごい治癒力聞いたこともありませんわ。でも共生というなら、貝の方にはどんなメリットがありまして?」

「これでございます。」

 長老が中央の皿から黒い木の実を一つ摘まんだ。ナイフで割ると中には白くてやわらかい身が入っている。

「シーラ貝はこの実が無いと子孫を作れないのです。偶に川に落ちて流れて来るのを待って河口に集まっていたらしいのですが、我々なら簡単に実を集められますし、他にも我らが食べた物の味や養分を共有できるようで。」

 共生が無かったら貝の方が先に絶滅しそうな話だ。


「それで寄生って、気の遠くなる話ですわね。」

「まあ、魔力も吸われるので強力な魔法はほとんど使えなくなってしまいましたが、何より健康に生きられるのと・・・」

 長老が内緒話でもするように顔を寄せ、レイラも耳を寄せる。

「実は、この貝は宿主の記憶を保存できますのじゃ。」


 驚いて長老の頭を見ると、そこに張り付いている貝は細く、短くなっていたが殻自体はピカピカで、

「宿主が年老いてくるとこうして殻が小さくなって、私が死ぬと次の若い宿主に移りますのじゃ。」


 そういえば、赤ん坊以外にも小さな子供には貝を着けていない者が居る。

 更にこの記憶能力のおかげでシリカ族には年代記のようなものが存在せず、魔神の伝説など古い言い伝えは口伝で伝えられてきたものなのだそうだ。シーラ貝のおかげで相当古い記憶も鮮明に残っているが、最も古い長老の記憶でもただ”伝説”としかわからないらしい。だが、

「それって」

「実質永遠の命、ですな。」


 帝国は永遠の命の秘密を狙って、いや、それならやることが逆だ。秘密を知ろうとしているのにこんな無差別な殺戮をしていたら何もかも台無しにしてしまう。

「そう、理由は逆なのです。」

「逆とおっしゃいますと?」

「帝国としては永遠に生きていられては困るのですよ。」


 帝国内にも正常な神経(レイラ基準で)の人物はいるようで、亜人、獣人に対する差別政策廃止の動きがあるらしい。だが、廃止後の保障問題を盾に現政策の維持を唱える声が根強く、折衷案として出されたのが

「迫害の歴史を記憶している我々を根絶やしにして、記憶そのものをこの世から消滅させる。その後、”恩赦”として差別政策を撤廃する。」


「でも、いま生きている獣人たちは自分の体験は覚えているのでしょう?」

「はい、もちろん。ですから帝国は、当時政策に賛成した議員の子孫をこれ見よがしに処刑するでしょう。その首を晒して、獣人たちにはそれで溜飲を下げろというつもりでしょうな。」

 確かに、誰かが責任を取らなくてはならない。だが、当の立案者も票を投じた議員も既に亡く、立法に関わっていない子孫を皆殺しというのでは新たな禍根を生むだけではないか。暗黒の歴史を塗りつぶしてなかったことにしても、その塗りつぶし自体が次の暗黒を生んでいては、暗黒を暗黒で塗りつぶす無限のイタチごっこでしかない。


「ところが先日、ここに旅人がやってきました。」

「?」

「ヒトの男が一人とシリカ族の女が二人の三人組でしたが・・・」

 なんだか最近見たような組み合わせだ。


「その連れの女二人、一人は子供でしたが、この二人がめっぽう強くて、我々を取り囲んでいた魔獣の群れを一蹴するとここまで導いてくれたのです。」

「あの人達、魔獣を素手で倒していたんです。男の人の方は強力な魔法も使っていました。」

 間近でそれを見たというクリスタも話に加わってきた。流石にもう生贄の化粧は落として、他の仲間と同じ服を着ていた。だが首飾りをしているところを見ると、やはり特別な地位にあるのだろう。

「ヒトの男の方が弱く見えるくらいに、魔法はヒトの方が強いみたいでしたけど。」


 シーラ貝に魔力を吸われて魔法の力が弱まっている、とはいえ、元はエルフ族である。魔法でヒトの方が強かったと認めるのは並大抵の事ではないだろう。逆に、シーラ貝には身体能力を強化する効果もあるのだろうか、身体を使った戦いでヒトの男より強いとは、恐るべしシリカ族の少女。


「その子供というのがこの子にそっくりで、我々を助けたのもそれで見捨てられなかったのだと言っておりました。」


 レイラが見てもクリスタはシリカ(魔人の方だが)によく似ている。シリカを少し細身にして胸をちょっと小さくして、

(あ、ちょっとステラにも似ているかも)

 そう思うとこの子は滅茶滅茶かわいい。ただ、目の輝きというか、置かれた境遇のせいか、クリスタの瞳には年相応の輝きが無く愁いを帯びて見える。


 普通のエルフ以上の長命種族なら、もしかすると

「はい、私は今年で184歳です。」

80歳くらいかと予想していたが倍以上とは。ヒトの感覚でいうと13か14、その目で仲間たちが殺されていくのを見たのであれば・・・彼女の家族が一向に姿を見せないのも、そういうことなのだろう。


 ちなみにシリカの目は、まあ、輝いてはいるがアホの子という感じだ。あの目で見られるとつい笑顔を返したくなる、そんな感じで短期間に学園に溶け込んでいったのだ。


 だが、旅人の話をするときのクリスタはちょっと興奮気味だ。彼らの出現が彼女に希望をもたらしたとかか?


「その三人組というのはこう、マントを着て?」

「はい、三人同じようなマントを羽織って」

「何処から来たんですの?」

「わかりません、夢中で逃げ回っていたらいつの間にか・・・」


 長老も今になって気が付いたようだった。

「そういえば今まで考えもしませんでしたが、彼らは我々の背後、追手と反対方向から現れた気が・・・そうだ、それで彼らが現れた方へ導かれてここへ辿り着いたのです。」


 とすると、その旅人はこの祭壇からレイラのように転移で出てきたのかもしれない。


「今、その方たちはどちらに?」

「祭壇の奥を調べると言って、昼前から中へ入ったきり戻りません。」


 やはり廊下ですれ違ったあの三人に間違いない。彼らはここから来たのだ。男が声をかけてきたのはつまり、転移魔法が発動中という警告だったのだ。あの時立ち止まっていれば・・・


「その祭壇、調べてみる必要がありますわね。」

「我々も一度奥へ入りましたが行き止まりでした。なのに彼らは消え、誰もいないはずの祭壇からあなたが現れた。」

「もしかすると脱出のヒントがあるかもしれませんわね。」


 祭壇の裏にある洞窟。マント姿の三人がここに入り、レイラが出てきた。

 未来の魔法学園につながる転移門を彼らが作り、レイラはそれを逆向きに辿ってここへ出てきてしまったのだろうか。しかしそんなことが?魔法学園に入学する少し前、実家で術者と他数人が西方帝国ハイサイトまで転移するのを見たことはあるが、術者が同行するから人の移動も可能なのであって、門そのものを踏んだくらいでは転移は起きない。まして時間を超えるなど聞いたことが無い。ならばレイラはどうして転移してしまったのか?それこそあのときのステラのように、こちら側で誰かに召喚されたとしか・・・


(召喚の儀式!)

 祭壇で護摩を焚き、長老が祈祷していた。生贄も用意してあった。周到な準備をしたエルフであれば、ヒトを召喚するくらいはできるだろう。そしてレイラを見た時に発した一言。

(・・・つまりこの方が思い描いた魔神がまさに私だったということ?)

 そこのところ長老を追及したくもあったが、レイラはもう一つの事も気になっていた。


「あの男子、魔石装飾の付いたベルトが見えましたけど、本職の魔導士だったという事かしら。」


 二人のシリカ族のどちらかという可能性もあるが、わざわざそんなものを身に着けているからにはあの男子が転移門を起動した魔導士なのだろう。三人で移動できたところを見るとかなり高位にちがいない。

 一方レイラの転移はシリカ族たちが手間のかかる準備をして魔神召喚を行った結果と考えていいだろう。使役魔法を受けた覚えはないし生贄を拒否したから隷属契約も多分成立していないが、シリカ族をこの窮地から救うことができれば、召喚魔法の構造上レイラは魔法学園へ戻されるにちがいない。しかし、それこそが難題だった。現状、シリカ族は完全に追い詰められていて、レイラ一人の力で突破できるとは到底思えない。


「それにしてもこの臭い、どうにかなりませんの?」

「蝙蝠が巣に使っていたのでしょうな。」

 レイラと長老は祭壇裏の洞窟に潜ってみたが、中はいくつかに分岐しておりどれもほどなく行き止まりになっていた。


「風の魔法を使いますわ。もう少し調べるにもこの臭いが気になって。」

「はい・・・はて、これは?」

 言うが早いかレイラは魔法で風を起こし換気を始めた。奥の壁から風が吹くようにしたのだが、その直後、行き止まりの壁にうっすら魔法陣が現れた。消滅した直後の転移門のそばで魔法を使うと魔力が干渉を起こしてこのような現象が起こることがあるが・・・


「ちょっと見せてください・・・やはり転移魔法のようですわね。」

 はっきりではないが、魔法陣が見て取れる。


「これが転移魔法なら、私が通った門がまだ残っていたのかも・・・いえ、そうに違いありませんわ、まだ痕跡が反応するというのは常識外れの魔力強度ですわね・・・そのマントの旅人というのはいったい何者ですの?」

「さあ、ただ旅人としか名乗りませんでしたし、我々も深く追求しなかったもので。」

「女二人はクリスタそっくりだったのですわよね?」

「はい、まるで親子か姉妹のように。」

「親子ですか・・・」


 ここにシリカがいたらどうなっていただろうか。角が全然ちがうから同じ種族ではないのだろうが、顔が似ている者が四人いるというのはなかなか珍しいことだ。


「ひとまず戻りましょうか。」

「そうですな。」


 だが、祭壇の出口に近づくにつれ、外の喧騒が聞こえてきた。祭りや宴会の類ではない、これは・・・

「長老!魔獣の群れが!!」


 こんなに早く?!これではシリカ族の脱出口を探すどころではない。

「と、とにかく防戦を!子供とお年寄りは・・・洞窟へ避難!」

 レイラはつい叫んでしまったが、これは本来長老の仕事だ。だが、長老も無言で頷いていた。実際、そこ以外に逃げる場所はもうない。


「長老はここに居てください。私は様子を見てきます。」

 レイラも本来なら逃げる組なのだが、祀り上げられて黙ってもいられないのはそういう性格なのだ。だが、最前線まではほんの100メートル前後しかなく、祭壇からでも襲撃者の姿が見える。銀色の体、下へ広がった体型、銀灰熊か?防戦するシリカ族の男たちの武器は主に弓や槍だが、わずかに魔法を使える者が火球を打ち込んでいる。


 銀灰熊は俊敏ではないが大きな体で突進されると破壊力はすさまじく、防御のために数人で固まっているとたちまち跳ね飛ばされてしまう。更にこの熊は火を恐れない。弱い火球では足止めにもならないどころか、却って興奮させて手が付けられなくなっていた。


 一方、女子供の避難は洞窟の入り口が狭く、クリスタと長老が誘導しているがなかなか進まなかった。中はそれなりの広さがあったが最終的に行き止まりで、外に出ている者が全滅して中に火でも放たれれば一巻の終わりである。どうにか突破口を見つけて包囲を抜けないと。


「火球よ「火球よ「球よ「うよ「よ「よ「よ」

 立て続けに呪文を唱えるとレイラの手にした杖の先から火球が数珠つなぎになった、柱が放たれた。一発の威力が弱くても、これだけ連続で当てられれば皮膚が耐えたとしても息と一緒に吸い込んで肺を焼かれる。たちまち窒息した銀灰熊が倒れた。

「おお、三剣様っ!」

「違いましてよ!でも、今だけその名で呼んでいただいてよろしくてよ。」


 次の目標へ向けて火柱を放つ。もっと強力な魔法を一発当てた方が効率が良いのだが、レイラはそれを覚えていない。それでも工夫して成果を上げていた。そして、こんな使い方ができるのはレイラならではだった。だが、シリカ族の戦士たちも数人で火球を当てることでレイラの火柱に近い戦果を上げ始めた。即興にしては見事な連携だ。


 五、六・・・十頭前後は倒しただろうか、まだ銀灰熊は残っていたが、それ以上襲ってこない。こういうところで統率が取れているということは、どこからか術師が見ていて操っているのだろう。急に味方が減ったので警戒しているのかもしれないが、こちらもレイラはともかく戦士たちの魔力がもたない。


「敵が動く前に、負傷した人を後方へ下げて。残った人で三人組を作って、立て直すのよ。」

 申し訳ないがレイラは適当に言っているに過ぎない。熊に対してシリカ族の動きは悪く、本来の隊長が居るのかもしれないが、皆魔神を当てにし過ぎではないだろうか。


 更に残念だが相手の方が戦術では上に違いない。この沈黙も何かの前兆の様で不気味だ。一見有利そうなシリカ族は、圧倒的な敵を戦法でもって各個撃破して戦線を支えているだけで、数で押して来られたらどこかの守りが崩れるのは確実だ・・・永遠とも思える何秒かが過ぎ、銀灰熊は森の中に消えて行った。


「お見事でした、魔神様。」

「いえ・・・避難した皆さんは?」

「無事ですが、先が行き止まりなのでまた攻めてこられると・・・」

 さっき洞窟の奥にあった転移門、あれは多分魔法学園に通じていた物だ。今魔力を注ぎ込めばレイラと一緒に一人か二人は通れるかもしれない。しかしレイラの魔力は飽くまで総量が多いのであって、一度に放出できる量は多くない。

 学園へ到達するのに十分な魔力強度を出せなければ、どこだかわからない世界に転移して今度こそ帰れなくなる。それに残されたシリカ族はどうなるのか。


 わずか十分かそこらの戦いでシリカ族の残り少ない戦士たちは傷つき、立ち上がれない者もいる。シーラ貝の力でいずれ回復するだろうが、次の襲撃までに間に合うだろうか。


「そうだわ、次の襲撃に備えて・・・」


「きゃあーーーッ!」

「うわぁっ・・・」


 振り向くと先ほど撤退した銀灰熊が再び間近に迫っていた。

 レイラはしょせん学生で、まだ子供である。魔力がどれだけ多くても、未来の知恵があろうとも・・・一旦退いておいて相手が油断したところへ再度攻め込む。最初の襲撃の後すぐに見張りを立てなかったのが決定的だった。レイラが戦闘の素人であることを見抜かれまんまと付け込まれたのだ。


「そんな、もう来るなんて・・・っ。」

 シリカ族の戦士たちは先の防衛による疲労からほとんど回復できておらず、レイラが再び前線に出て応戦する。帝国軍は炎対策を何もしていなかったが、シリカ族の戦力がほぼレイラのみと見て取ると攻撃を集中してきた。


 レイラの魔法では一体ずつしか対処できない。

「火球よ!火球よッ」

 自分の油断が最悪の状況を招いたと感じ憔悴した状態では流れるような詠唱が出来ず、炎の柱は団子上に分散する。先頭の一頭は抑えたが、後続にたちまち押し込まれ戦線は崩壊した。


「がはっ!・・・」

 無防備なレイラの背を爪の一撃が捉えた。学園制服の防御力が衝撃を緩和したがダメージをゼロにはできず、レイラは怪我こそしなかったものの地面に叩きつけられ激しく咳込んだ。


 立ち上がろうるするレイラは更に絶望的な光景を見た。

 先ほどの攻撃が止んだタイミングで祭壇の奥に避難していた人達が外に出ようとして、今また奥へ戻れと言われたものの既に外へ出てしまった集団が中へ入れず祭壇は大混乱だった。そして数頭の銀灰熊が祭壇へ迫っている。


(ああ・・・)

 立てて並べた積み木をなぎ倒すように、銀灰熊は祭壇を守る戦士を蹂躙した。

 確かにレイラは油断していたが、その責任を彼女に問うのは酷という物だ。彼女ではなく、それは本来長老や戦士たちの役目だ。だが、彼らも満足に戦える状態ではなく、見張りが居ようと居まいと、いずれこうなる運命だった。


 シリカ族の全滅は時間の問題だった。


(せめて、盾役が・・・)

 盾役・・・唐突にディーンの事を思い浮かべる。あの大きな背中は安心感があるというか、頼りがいがあるというのはあんな背中の事を言うのだろうか。一度弱気になると徹底的に弱くなるのはレイラの弱点だ。


 だが敵はそんな事情を気にしてはくれない。ようやく立ち上がったレイラに再び銀灰熊の爪が襲いかかった。だが、振り下ろされた爪はレイラでなく、割って入ったシリカ族の少女の腹を裂いた。


「・・・クリスタッ!?」

「え?」


 避難誘導をしていたクリスタが不意に名前を呼ばれて振り返ると、丁度起き上がったレイラと、自分と同じくらいの少女が倍以上の背丈がある銀灰熊に素手で挑んでいるのが見えた。


 服を裂かれた少女はよろけながらも振り下ろされた銀灰熊の腕を掴み、そのまま無造作にひねって地面に叩きつけた。

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