伊邪那岐命
やあこの"物語"を読んでいる諸君。俺は学校に向かっている。
登校ってやつだな。
ってあれ....?
「起」が無かったことになってないか?
2話目になったら自動的にリセットされるのか...ふむ、じゃあこれを「起」にしちまうか。
学校に着いた。
「よう!ステ!」
「うるせえ、カス」
いつものように朝の挨拶を交わす。
「ステ!今日このクラスに転校生が来るらしいぞ!」
なに...?
転校生...まさに「起」じゃないか...
四コマ漫画だと1コマ目が2つあるみたいなもんだぞ...
これは"禁忌"ではないか?
「ステ、お前..."気付いた"な?」
「は...?」
冷や汗が止まらない。俺は彼の次の言葉を待った...
「お前は"物語"を"書"いていい存在じゃないんだよ。操り人形みたいなものさ、ただ起きる"現実"に流れるように生きればそれで"物語"が出来上がるんだ。なのにお前は...。」
「......」
俺は後悔した...言葉が出ない。
「"物語"を"書"くのは"神"だ!話に異物が混ざるとどうなると思う?この"世界"が崩壊する!自分の目で確かめるんだな...この"世界"の終焉りを....。」
俺は泣いた...この涙は禁忌を犯したからではない。
"俺はただの登場人物、それ以外の何者でもない"という事実に泣いたのだ。
俺は崩れ去る"世界"を眺めながら散った。