だって僕は。
偽善者になりました。
君がそう言った時、言葉の意味が分からなかった。それってどういうこと?とりあえず僕は聞き返した。
本当は何もしなければよかった。でもいい人ならそうするだろう、そう思ったから行動した。君は淡々と答えた。
だからきっと、私の行動はただの偽善行為で、むしろよくないことだったように思うの、と。
いい人ならそうする、そう思ってやったならいいことじゃないかな。僕は言った。でも、君に納得した様子はない。
私自身、どうしてこんなことをしてしまったのか、よく分からないの。君は眉間に皺を寄せた。何もしなければよかった、それしか考えられないの。
何が正解か、分からないまま動いてもいいんじゃないの。僕は君に言った。
だって僕は。
そこまで言って僕は思わず俯いた。
何?君が小首を傾げた。
だって僕は、君がすること全て、正解としか思えないから。
なんて、心からそう思っているけど、ここでそう言っても君は信じないだろう。
だから僕は、君の頭を撫でるしかなかった。