なんでも部じゃなくて、ヘンテコ部じゃない?
市立紅山高等学校。
一見普通の市立学校だが、変わった部活が存在する。
「早く行かなきゃ!部活遅れちゃうよ〜」
カーディガンからはみ出ただらしないシャツ。ちゃんと履けていない上履き。乱れた桃色のパッツン前髪。
先生や委員会の人達から何か言われている。
廊下を走っているからだろうか。身だしなみがだらしないからだろうか。
1年4組の教室から離れた、北校舎の教室の前でぴたりと足を止める。そして、ドアの前で深呼吸。ドアを開け、
「こんにちはー!」
「紗緒ちゃ〜ん。元気なのはいいけど、廊下は走っちゃ駄目だよ〜?」
「あっ葉野先輩!許してくださいよ〜お陰で部活の出席には間に合ったし!」
16時を指す時計を指さしているのは、
1年4組、1月18日生まれ、夏川沙緒。鎖骨に切りそろえられた所々跳ねている桃色の髪、くりくりした蒼色の瞳、彼女の童顔によく合う青いカーディガン。
「えへへ〜」
見渡す限り、2年、3年、2年、3年。
そう、今年入部した1年生は彼女だけ。
顧問はその事実を知り、多少驚いた。
だが、直ぐに、ああ、なるほどという
微笑を浮かべ彼女にその理由を説明する。
「この部活はちょっと変わってるからね......。」