(あそこが)一寸法師
※無記名様の割烹よりネタを頂きました、ありがとうございます。(許可済)
◇◇◇マークまで無記名様の割烹のネタをほぼそのまま掲載しています。◇◇◇マーク以降を、私で書かせて頂きました。
大変、下世話なお話です。
「貴男の小さすぎるわ。感じない」
男にとって、最も言われたくない言葉だろう…… 女性に否定されてしまった。
言われた男の名は一寸法師……。周囲にアレの小ささから、揶揄されていた。
一寸法師は努力した。スクワットなど下半身を鍛えればいいと聞けば、スクワットに勤しみ、PC筋肉を鍛えればいいと聞けば、必死に肛門を締め続けた。
また、活力を呼び覚ます素晴らしい食べ物、あるいはクスリが在ると聞けば、必至に働きそれらを摂取した。
だが、なんの役にも立たなかった。どれほど鍛えて、勃っても、一寸からせいぜい二寸に届くくらいにしかならなかった。
周囲は彼の美貌と、鍛え上げられた筋肉を称賛し、その嗜好の男が求めた。結果、財を成した。しかし、一寸法師は絶望するばかりだった。
そんな中、在る噂を聞いた。
「女が快楽がために求める鬼の住む島――そこには"打ち出の小槌"なる活力源が在る」――と。
一寸法師は天啓を得た思いだった。
(そうか、オレがコレまで鍛えたのは、鬼と戦って"打ち出の小槌"を得るためだったのだ)
◇◇◇
一寸法師は一夜のうちに準備を整え、鬼の住む島へ颯爽と旅だった。打ち出の小槌を頂き、一尺法師となるために。シモは一寸といえど、心は一尺。やはり男として生れたからには、女を満足させたかった。
「やぁやぁ、鬼よ。打ち出の小槌をよこしたまえ。それには性の活力と性の秘密が詰まっておると聞いておる」
「我を呼ぶとは不敬な人間よ。貴様のような美丈夫、打ち出の小槌など無用の小物であろう」
どこからか声が聞こえてくるが、鬼の姿はどこにも見当たらない。これは妖術の類いかと一寸法師は身構えた。
「ここじゃ、お主の足下よ。残念だったな、美丈夫よ」
足下を見ると、三寸ほどの小さく可憐な鬼が佇んでいるではないか。
「なんと小さき可憐な鬼か! しかし、オレの夢がために情けはかけぬ。男の性を司る打ち出の小槌をよこしたまえ」
「ムダじゃムダ。我は呪いにかけられて、打ち出の小槌も力を失っておる。我の呪いを解けねば、打ち出の小槌はただの小槌。竿置きにもならぬ代物よ」
「ほう、小さき鬼よ。その呪いとはなんぞ。話によっては力になろうぞ」
「我と交わり、我を満足させる事じゃ。人間には我の呪いは解けぬ。人間のソレは、我の小さき体には入らぬからな。はーっはっはっ! 中々のイケメンで、その鍛えられた体! さぞの傑物持ちであろう! 残念じゃったな! さあ、大人しくかえりたまえよ」
何という事であろうか。俺の二つ名は一寸法師。
この可憐な小さき鬼なら、シモは一寸が良い。一寸のコイツも報われる。
オレは衣服に手をかけた。
「ところでコイツを見てくれ、コイツをどう思う?」
「すごく……、小さいです……」
可憐な小さき鬼は顔を赤らめ、小さな手で顔を隠している。指の隙間は大きく開いていた。何と可愛らしいのだろう。
「さぁ、可憐で小さき鬼よ。呪いを解いてさしあげよう」
…………♡
オレと可憐な小さな鬼は一晩を明かした。何と相性の良い体だろうか。女を満たしたのは生涯で初めてだ。オレはこの子鬼のために一寸で生まれてきたのだ! 惚れてしまった。
「素晴らしき夜じゃった! 鬼たる我も満足じゃ。何と情熱的な夜であっただろう。打ち出の小槌も力を取り戻しておる。さぁ、今こそ小槌の力を見せようぞ」
可憐で小さき鬼が打ち出の小槌を取り出し、鬼自身とオレを叩いたではないか。すると鬼はみるみると成長し、美しき鬼となった。大変グラマラスッ。
何と美しい。これがこの鬼の真の姿ッ! やっぱり結婚したい!
そんな彼女を見たオレの息子は、むくむくと大きくなり、ついには一尺をこえんとす。
何と御立派である。
「おお、なんと素晴らしい。オレの求めていたそのものだ」
「大きくなぁれ。なんての。お主のソレ、素晴らしいのぅ? 儂の力も取り戻した。そしてお主は我好み、良い男じゃ。呪いを解いてもらった恩は返さんとのぅ」
こうして一寸法師は一尺法師へと進化を遂げました。
そして二人は結婚して、末永く幸せに暮らしましたとさ。
後に、仲睦まじい一尺法師と鬼嫁の事を、世間はこう噂した。
「鬼に金棒ね」
めでたしめでたし
※一寸=3.03cm
一尺=30.3cm
一円玉の直径が2cmです。
一尺法師、やべぇな(尊敬)