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二日目、山吹食堂


 てんご様が山吹食堂と呼んでいた場所に到着致しました。

 これより試練の舞台に立つかの如き勇ましき面持ちで、てんご様が山吹食堂の扉を開きます。

「バカみたいな顔で突っ立ってないでさっさと座んな!そっちの嬢ちゃんもね!」

 なんと!

 耳から入り脳内を直接に叩きにくるかの如き怒鳴り声が此方こち達を襲います。

 ああっ!

 てんご様が怒られてしまったのでは御座いませんか!?

 そう、てんご様はいんたーほんの釦を押し忘れていたので御座います!

 それで礼儀知らずだと思われてしまい…


 はて?

 怒鳴りながらも中に招かれていたような…

 いいえ、確かに座ることを促されておりました。

 もしや、今すぐこの場で土下座をしろという意味で御座いましょうか?

 まるで美丈夫にも見えるこの凛々しき女性は、礼儀知らずには殊の外に厳しいのやも知れませぬ。


 おっと、てんご様が座席の方へと歩いていかれます。

 此方こちもどうすれば良いのか分からないので後をついて行きます。


 っと…!

 なんでしょう…

 山吹食堂の中には、外とは全く違う空気が漂っています。

 これはいったい…

 おっと、いけません。

 てんご様の後をしっかりとついて行かねば。


 てんご様が椅子に腰かけました。

 なるほど、椅子にさっさと座りなさいという意味だったので御座いますね。

 先ほどの怒声からどのように判断すれば、椅子に座れば良いと判断できるのか、これは此方こちなどには理解の及ばぬ人知の極みで御座いましょう。

「あっ、向こうに座ってね」

 てんご様の後ろに使えるように立っていた此方こちに、向かいの座席に座るように指し示すてんご様。

 教えて戴いたままに座ります。

「怒鳴ったのが山吹さん、このお店の看板娘。で、奥にいるゴツい人が店長だよ」

 てんご様の知り合いだったようで御座います。

 山吹様と店長様というようです。

「山吹さん、彼女も今日からお昼食べさせてもらって良いですか?」

「親戚の子かい?あんたんとこの親は、またどっか行っちまったのか?」

 しんせきの子というのは神籍の子ということでしょうか。

 一目で此方こちが人に在らざることを見抜かれてしまったのでしょう。

 此方こちはまだまだ人から遠い存在だということで御座いますね。

 あんたの親というのは兆様のことでしょう。

 よく何処かへ行ってしまう御方なのですね。

「夏休みの間は帰ってこないと、手紙に書いてました」

「まったく、きざしの旦那もふざけた野郎だねぇ」

 何となく、てんご様が山吹様を信頼していることが伝わってきます。


「んで、そっちのお嬢ちゃんはなんて名前なんだい?」

 山吹様がてんご様に訊ねます。

 然れど、これは此方こちの問題でもあります故、自身できっちりと答えておきとう御座います。

 てんご様以外と話すのは初めてなので少し緊張します。

 今から喋ろうとしている言葉を脳裏に浮かべます。

 よし、いざ口を開き…


「名前はありません。でも、てんご様が一緒に考えてくださるのです。此方こちは楽しみなのです」


 ふうっと一息吐きまする。

 上手く喋れたでしょうか…


 「そうかい。良い名前になると良いね」

 そう言ってにっこりとされた山吹様。

 そのまま、此方こちの頭を撫で撫でと…


 こ、これはなんとも…

 柔らかな心地にほうっと和んでしまいます。


「テンゴクも大変だろうけど、しっかりやんな。こんな可愛い子をいじめたら承知しないよ」

 なるほど、山吹様にはどこまでも此方こちの味方をしてくれそうな安心感が御座います。

 てんご様が山吹様を信頼するのも納得です。


「頑張ります」

 そう返事をしてくれたてんご様もとても優しくて、なるほど、此方こちも人々の好意に甘えてばかりではいけませんね。

 何か返せるものを見つけようと、そう決意を新たにするのです。


 しかしこの、先ほどから山吹食堂の中の空気がさらに濃く…

 何とも云えぬ刺激的な芳香が漂ってきます…

 これは一体…


「おい!」

 店長様の怒鳴り声がします。

 その声に呼ばれた山吹様が、食堂の奥からお皿を二つ持って帰ってきました。

 この刺激的な芳香の発生源があのお皿にあるのでしょうか?

「ひょっとして今日はアレなの?」

 てんご様が山吹様に訊ねます。

「あぁ、今日はコレだよ」

 おいと呼ばれるだけでお皿を取りに行き、あれやこれやで通じ合うとは…

 たったの二文字にどれほどの情報が込められているのでしょうか?


 そうして、机の上に二枚のお皿が飛び降りてきたかのように勢いよく置かれました。

 そのお皿の上には、得体の知れぬぴかぴかと輝く純白の粒々に、褐色かっしょくの汚泥がかけられた面妖なる物体が乗せられておりました。

 そこから強烈な芳香が湯気に乗って漂って参ります。


 もしや、これが人の世の食事なので御座いましょうか!?



二日目が終わるところまでは書いていこうかなっと思ってます。

台詞の部分はほとんど本編からのコピペなせいもありますがジゴクちゃん視点は妙に書きやすいです。



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