遊園地
「さあ!まずはメリーゴーランドに乗るよ!」
『子供かっ!』
遊園地に着くやいなやメリーゴーランドに走る雪奈はまるで幼い子供のようだ。
「雪奈、紅葉が子供かって言ってるよー」
楽しそうに笑いながら、もみじが俺のツッコミを雪奈に伝える。
そんなやり取りをモノともしない海斗と桜のバカップルも平常運転だ。
「まずはジェットコースターでしょ?」
「私は海斗くんと一緒ならどこでもいいよ。」
「じゃあお化け屋敷行く?」
「か、海斗くんと一緒なら大丈夫…!」
『ラブコメかよ』
もしくは一昔前の少女漫画だ。
「もう、紅葉はいちいちうるさいの!」
もみじにしか聞こえないことをいいことに、思ったことを口走りまくってたらもみじに怒られた。まったく、余計なお世話だ。
『へいへい、すいませんね』
「分かればよろしい!」
「こらもみじ!ゆきなと言う人がありながら紅葉とばかり話すんじゃない!今日はゆきなとデートでしょ!」
少し離れたところから雪奈が叫んでいる。もみじがいるのがよほど嬉しいらしい。
「あのさー雪奈、僕と桜もいるんだけど?もみじと二人の世界に入られても困るからね?」
「海斗。それはあなたと桜だけには言われたくないと思う」
『同感だ』
結局もみじ達は、雪奈の勢いにノせられてメリーゴーランドに向かった。海斗は少し不満そうでメリーゴーランドに乗らなかったが、桜の様子を見て満足そうな顔をしていた。
「可愛いなぁ。あの笑顔が見れるならなんだっていいや」
楽しそうにしている桜が見れるのがよほど嬉しいんだろう。海斗が呟いている。
『ま、楽しそうに笑ってるほうがいい顔してるもんな』
「急に何言い出したの?」
『海斗が桜を見て可愛いとか言ってたから確かになって思った』
「紅葉、桜が好きなの?」
『いやなんでだよ』
もみじも楽しそうだ。それにしても、高校3年生がメリーゴーランドってなんだかシュールだ。もみじの頭の中でしか感覚を掴めてない俺としてはちょっと物足りない。
『…いいなぁ』
「どしたの?」
『いや、少し楽しそうだなと思ってしまっただけだ。お前の機嫌がいいときのクセが出てるしな。しょっちゅう俺に話しかけてくる』
「そういう紅葉も一人言多いよ。つまんないときのクセ」
文字通りずっと一緒にいるから、お互いのクセくらい熟知している。迷惑な話しだ。心が読まれてるみたいで悔しい。なんて二人で話していると、雪奈がやってきた。
「次!ジェットコースター行くよ!」
「うん!これ宙返りだよね!楽しみー!」
もみじの興味はあっという間にそっちに向かってしまった。
『ったく、お前はマイペースだな』
悔しいと思っていたタイミングだけに、なんだか皮肉っぽい言い方になってしまった。
「…ごめんね?私ばかり楽しんで…順番に変わることができたら二人とも楽しめるのにね」
もみじがそう言った瞬間だった。
「…あれ?紅葉?」
海斗が驚いたように俺を見つめていた。もみじと俺が入れ代わったのだ。




