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偶然の出来事…?

 そして、夏休み。

 遊園地に行く約束をしてから夏休みになるまでの日々は、なんだかあっという間だった。雪奈達も部活を引退し、どこかのんびりしたように見える。

 ただ、一つ問題があった。

『紅葉ー、いよいよ明日だね』

「…そうだな」

 ここ三日間『紅葉』が続いてるせいか、もみじの元気がない。恨みっこなしとは言ったものの、やはり行きたくてたまらないのだろう。

『今のとこ三日間紅葉だからなぁ…ずるいぞっ!』

「心配すんな、お土産くらいお前のぶんも買ってやる」

 もみじは明るく振る舞っているが、正直とても分かりやすい。だから俺は無駄だとわかっていても、寝る前に明日は『もみじ』になるよう、心の中で祈ってみた。


「おは…あっ!!」

『やっと起きたかもみじ。あと30分で家を出ないと間に合わねぇぞ』

「そんなことより!変わってる!?」

『見れば分かるだろ。ったく、俺の楽しみ取りやがって』

「…ごめんね?」

『そんな満面の笑みで言われてもな。ま、いいから俺の財布から5000円くらい抜いといてくれ!前のレディースショップのときの約束守らなきゃ。遊園地で昼飯奢るってやつな』

「はーい♪」

 変わってることに気づいたもみじは本当に嬉しそうだった。もともと俺よりもみじのほうが行きたがってたし、これで全てよしだ。ただし-。

『お前今度こそ俺の服忘れんなよ!!』

 -これだけは言っておかなきゃな。

「もう、忘れるわけ…」

『お前もう何十回も忘れてるだろ!?いいからそこのシャツを詰めるんだ!あと短パン!って下着を入れろよ!?なにそれだけで出かけようとしてんだ!!』

 とりあえず、もみじのテンションが上がるといろんなことを忘れるクセをどうにかしたい。


「行ってきます!!」

『行ってきます』

 嵐のような準備をやり終え、5回ほど忘れ物チェックをした(させた)あと、もみじはとても嬉しそうに家を出た。もしこれが漫画だったら、キラキラオーラが出てるんじゃないかと思うほどだ。

「雪奈!おはよう!」

「あっ!もみじ!!おはよーーー!」

『声でけぇよお前ら!』

 もみじは遊園地に行けること、雪奈はもみじに会えたことをそれぞれ喜んでいるせいか、やたらと声のでかい挨拶だ。しかし当然のように俺のツッコミは無視(どうせ雪奈には聞こえないし)された。

「聞いてよ雪奈!今朝だよ今朝!今朝入れ代わったばかりなの!」

「なら多分、今日はずっともみじだね」

「あっ、海斗!桜!おはよう!!」

「「おはよう!」」

『きれいにハモったな』

 っていうか、家の方向が全然違うのに待ち合わせ場所に一緒に来るこのバカップルはなんなのだろう。

「もみじちゃん、嬉しそう」

「そうなの!聞いてよ桜!今朝偶然入れ代われたんだよ!昨日の夜は諦めてたもん!」

「それさっきも聞いてたって。よっぽど嬉しいんだね」

 桜が笑いながら答えた。その会話を聞きながら、俺は少し考えこんでしまった。本当に偶然なんだろうか?

『俺が祈った次の日に入れ代わるなんて…いくらなんでも強運過ぎるような…』

「ん?どしたの?」

 急にぶつぶつ言ってた俺が気になったのか、もみじが話しかけてきた。

『ん?いや、なんでもねぇよ』

「紅葉がどうかしたの?」

 そんなもみじの様子を見て、今度は海斗が質問をする。

「なんかね、紅葉が何かを考えてたみたい」

「本当に偶然なのかなー、とか思ってるんじゃない?」

『海斗って時々怖いくらい鋭いよな…もみじ、正解だけど考えるのやめたって言っといて』

 偶然かどうかはまた後で考えればいい。俺はとりあえずその考えを置いといて、コイツらが遊園地ではしゃぐのを見て楽しむことにした。

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