表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

救世主、海斗

「すみません、失礼します」

 悪魔(店員)の声が俺を襲う。これはもう警察行きだなと覚悟を決めることにしたそのとき。

「紅葉!似合いそうな服持ってきたよ!!ってあれ?なにかあったんですか?」

 雪奈が大量の服を抱えてやってきたらしい。カーテン越しだから分からないけど、雪奈の性格を考えると間違いなくそうだろう。

「こちらのお客様のお知り合いですか?先ほどこちらのお客様が突然叫ばれまして…なにかあったのかと。それで仕方ないのでカーテンを開けようと…」

 話しかけてきた雪奈に店員が説明する。

「あぁ!それはですね、もみじが紅葉に入れ代わったんですよ!」

 おそらく、店員は雪奈が何を言ってるのかまったく分からなかっただろう。一瞬の空白。その時だ。

「桜のためならどこだって行くけど、さすがに恥ずかしいなぁ」

「それでも着いてきてくれる海斗くんは優しいよね。って雪奈ちゃん?奇遇だね。なんか店員さんが固まってるけどどうしたの?」

「もみじが紅葉になったの!」

『雪奈ってやっぱどっか抜けてるよね…』

 思わずもみじが呟いていた。しかしこれは助かるかも知れない。桜と海斗なら、この状況を見破れるのだから。

「あぁ…店員さん、大丈夫ですよ。僕ら、この人の友達なんですけど、今学校でやるレク?みたいな企画にピッタリの衣装探してまして。多分いいのが見つかったんだと思います。こいつ、テンション上がると周り見えなくなるんで」

 相変わらず、普段からは想像もつかない大人っぷりを発揮してがあっという間に事態を納めてしまった。俺はそんな海斗を見て、今度なんか奢ろうかと真剣に思った。


「じゃあ、夏休みに遊園地二人分よろしくね!」

 服屋に現れた救世主に「何か奢るぞ」と言ったらとんでもないことを言われた。

「あのな海斗。大人でも躊躇う金額を高校生に求めんじゃねぇよ」

「それにしても海斗くんはさすがだね。惚れ直しちゃった!」

「ありがと桜!嬉しいよ!」

『ホント桜って冷静にバカップルだよね。普段はそんなキャラじゃないのに』

「同感だ」

 これがツンデレってやつなんだろうか。いや、クーデレかな?

「紅葉!ゆきなにもなんか奢ってよ!ゆきなも頑張ったでしょ?」

「お前は周りを混乱させただけだろうが!」

『いっそ全員分の遊園地チケット奢ればよくない?』

「もみじ、その場合はお前の貯金も使うからな」

『冗談だってば!』

「で…結局夏休みの遊園地は紅葉の奢りでいいの?」

「いいわけねぇだろ海斗!!いくらすると思ってんだ!」

 冗談で言ってるのか本気で言ってるのか分からないのが恐ろしい。俺はコイツが来てくれて助かったと思うと同時に、コイツに助けてもらうと代償が恐ろしいと言うことを一度で学習した。全く、酷い救世主だ。

「でもでもっ!遊園地には行きたいよね!」

「そうだね、雪奈ちゃん。私もそれは思う。みんなで行こうよ」

「紅葉の奢りで?」

「しつこいぞ海斗…。まぁ、行くのはいいけど。どうするもみじ?」

 俺は頭の中のもみじに問いかける。ずっと一緒にいるんだから、コイツが遊園地とかに興味があるなんて分かりきっているが、この体質だ。一応許可を取るのが当たり前だろう。

『行きたい!けど…いいの?』

「それはお互い様だろ。その代わり俺が行く場合でもお前が行く場合でも恨みっこなしだ」

『ありがと!』

 こうして、俺達の夏休みの予定が一つ決まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ