入れ替わった!!
結局その日は入れ代わることなく平和に終わる。桜が「セーラー紅葉くん見たかったな」とか言っていたが、そんなのは知ったこっちゃない。
『そんなもん見たって得はないだろうが』
ただ、なんでそんなに見たいのかは気になったので聞いてみる。
「桜、紅葉がなんでそんなに見たいんだーって聞いてる」
もちろん俺の声は桜には聞こえないので、変わりにもみじに聞いてもらう。
「だって可愛いもんねぇ」
俺は二度とセーラー紅葉くんをお披露目したくない。
「待って桜。そんなに紅葉がいいの…?」
「海斗こそ待って。女装姿の話しだからね?」
『女装してるわけじゃねぇぞ!?』
しかし、俺の盛大なツッコミは届かない。こういうときに相手に声が聞こえないのはとても歯痒いものだ。そして海斗はそんな雪奈の言うことを無視して嫉妬を続けている。
「紅葉の女装ばかりに目がいくの嫌だからね?」
「何言ってるの?海斗くんが1番に決まってるでしょ?」
「違うよ桜!もみじが1番に決まってるでしょ!?」
「雪奈もおかしいからね!?」
『お前はレズかって言ってやれ』
雪奈は多分、本物のレズじゃないかと思う。
それから二日がたった休日。こんな体質じゃ部活なんかやってられないから、たいてい暇だ。でも、いつ入れ代わるか分からない状態で出掛けるのも面倒なため、俺ともみじはあまり出掛けない。が、この日は雪奈と買い物に行くと言っていた。
『俺の私服忘れんなよ!』
「えー、荷物になるから嫌だ」
『俺が出掛けるときはお前のスカートやらブラジャーやら入れてやってるんだが!?』
「それはそれ、これはこれ♪」
『ふざけんなぁぁぁぁ!』
ー出掛ける前の騒動が終わり、雪奈と落ち合う。
「もーみじっ!」
「もー!毎回会う度に抱き着かないでよっ」
『もう諦めろもみじ。何言っても無駄だ』
会えない時の寂しさだがなんだか知らないが、雪奈はいつもこうだ。
「じゃあ行こっか♪」
『そういえばどこ行くんだ?』
「雪奈、紅葉がどこ行くの?って」
「紅葉はバカですねぇもみじさん」
「そうですねぇ雪奈さん」
なぜ馬鹿にされたのかと考える間もなく、2人は同時に言い放った。
「「女の買い物に予定なんかないよーっ!」」
初耳である。嫌な予感しかしいとは、まさにこのことだ。
「もみじ!これどーお?」
「雪奈にはこっちかな、あ!あのスカート可愛くない!?」
『お前ら俺になんの恨みがあるんだ』
服屋である。しかもレディースしか売ってない場所だ。こんなとこに入るのは、俺に対する嫌がらせなのだろうか。
「恨みはないから黙っててよ。ほら、雪奈にはこっちの方が似合うと思わない?」
『俺に求めるな。あと一応言っとくと俺はあっちのほうが似合うと思う』
「雪奈!紅葉があっちのほうがいいって!!」
『余計なこと言うな!お前の見立てだと言えばいいだろうが!』
「照れるな紅葉」
『照れてねぇ!』
無視された。すると雪奈がさらにとんでもない状況に俺を巻き込みにきた。
「もみじー!このブラすっごいオシャレー!」
『俺のこと忘れてるだろ!?』
しかしもみじはよほど気に入ったのか、目を光らせている。これは…嫌な予感が…。
「…試着する!!」
もみじがノリノリだ。
『落ち着け!今入れ代わったら俺は死ぬぞ!』
「黙ってて紅葉!」
ダメだ、こうなったらもみじは止められない。祈るしかない。
そしてもみじが試着室で下着姿になった瞬間-。
「なんでこうなるんだよ畜生!!」
-俺は人生最大の試練に立ち向かうことになった。




