表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔が差す幻想  作者: いんでぃ87
2/4

赤髪の少年と緑の穂

「なんだよ今日もまたゲロってんのか?」


息を整えていた僕に赤髪の少年が近寄る。

その手にはゴブリンの血で緑に染まった小剣が握られていた。


「うっtぷ」


えずきつつ俺は少年にいつもと変わらない返事を返す。


「...うん、やっぱり僕にはモンスター討伐は向いてないんだよ…」



モンスター。

この世界には人間のほかにモンスターと呼ばれる異形の生物がいる。

そこに倒れているゴブリンはその代表格だ。


モンスターは人を襲い、人を喰らう。

モンスターと人族は相容れない存在であり、人は生きるために奴らを殺す。

それは当然の事で、殺さなければいずれこちらが殺されるのだから。



でもさぁ、俺は生きてきて死んできて生物を殺したことなんてほとんど無かった訳で…

ここの世界の奴らはトンボの羽根をむしる位の感覚でゴブリンとかぶち殺すんだよ。

あ、トンボのモンスターは別にいるらしい…3メートル位のが。


ゴブリンって見た目緑色のチビで禿げの角の生えた猿顔のしわくちゃなおっさんなんだよ?

そんなもん殺して平気な訳無いじゃんか。

生理的に無理だって!

肉に槍が刺さっていく感覚は、不快なんて言葉じゃ言い表せないぐらいに気持ちが悪い。

そりゃあ吐きもするってもんだ。



「いい加減馴れろって、俺たちももうすぐ成人の儀式受けるんだからさ?

大人になってもゲーゲーやってちゃみんなに笑われるぜ」


「でもダメなんだよ、どうしても…」


「…はぁ、お前訓練の時は平気なのに何でモンスター相手だとゲロっちまうんだよ?」


「いや、僕だって努力してラビットなら倒しても戻さなくはなったんだよ?まあ、解体の時はやっぱりえずくけど…」


「自慢することかよ!」



この世界…名前があるのかは分からないけど、俺の住んでいるラフタ村では14歳で成人と見られるようになる。

成人になれば男は自動的に村の自警団に入ってモンスターと戦う事になる。

あ、俺は地区の消防団には入ってました。

自動的にというか圧力外交を受けて入らざるを得なかっただけなんだが…



でだ、村の男の子は12歳から自警団のおっさん達に戦いの訓練をうけるんだ。

主に剣と槍、あと弓の使い方だな。

まあ俺も同世代の子供と一緒に訓練を受けて頑張っていたらしい…というか優等生で期待の新星的ポジションだったようだ。


ちなみに今日は週に一度のゴブリン討伐訓練だ。

自警団のおっさんの監督の元、時間内でどれだけゴブリンを討伐できるかといった内容だ。

俺は何とか1匹討伐した後は、ずっと地面に虹をかけていた訳だが...



今あきれつつも背中をさすってくれてる赤髪の少年は、俺と同い年で幼なじみのリットだ。

ごめんありがたいんだけど、できればその剣しまうか拭うかしてください…



「ほら、お前の槍。ったくモンスター倒すたび武器手放してどうすんだよ?いつか死ぬぞ」


「ありがと…もう大丈夫っpうt!」




…穂先にホルモン付いてたよ緑の。









評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ