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おはよう…と言いたいところだが
月曜日。
多くの学生が憂鬱にはなる朝、自室のベッドで俺、霧島優はすやすやと寝息を立てて寝ていた。自宅が学校に近く、比較的時間に余裕があるとはいえ、そろそろ起きなければ遅刻してしまうだろう。
ーーードンドンドンドン!
誰か階段を勢い良く上る音がする。おそらく俺の部屋を目指しているのだろう。
ーーーバン!
予想通り、そいつは俺の部屋のドアを思いっきり開けた。
ーーーガァンガァンガァン!
鉄と鉄がぶつかり合う音がする。耳元でこんな音を聞かされれば誰だって目が覚めてしまうだろう。
「ゆーちゃーん!おーきーてー!」
極めつけはこの大声である。
「おはよう…と言いたいところだが、こういうことは真にやれっていつも言ってるだろ?結奈」
俺を無理矢理起こしたのは幼馴染の藍川結奈。ショートカットが特徴的でボーイッシュな女の子だ。高校の制服の上にエプロンを付けて、手にはフライパンとお玉を持ってる。
そう。これは『朝に起こしに来る幼馴染ヒロインイベント』である。
しかし、本来このイベントに遭遇するべきなのは俺ではない。
もう1人の幼馴染、青龍院真だ。