ある妖精の物語・旅立ち
文章の内容は変えず文章を読みやすく変更しました。
僕は妖精だ。
妖精と言っても少し前まで見習い妖精だっ
た。
妖精は見習い妖精から10年後にやっと妖
精として扱ってもらえる。
それまで学校で勉強するわけだ。
何を勉強するか人間の世界についてだ。
そして妖精の国から人間の世界に行けるよ
うになる。
妖精がするのは人間に対する奉仕活動だ。
例えば料理をやって後片付けをせずに人間
が寝てしまった場合人間の代わりに後片付
けをする。
人間が酒を飲んで家に帰って靴を履いたま
ま寝ていても靴を脱がせて服を下着にして
ベッドに寝かせる。
人間が道端で看板を抱いて寝てる時は起こ
さないようにそっと立ち去る。
人間の女が店の前に置いてある人形に抱き
着いて寝ていても見て見ぬふりをして立ち
去る。
そう僕達妖精は人間が家にいる時にしか助
けない。
例えば路地で寝てるなら布団をかけるわけ
にもいかない。
その布団はどこから持ってくるかもわから
ない。
そこまで妖精はできるわけではない。
勝手に布団を出すわけにもいかない。
そんな事をすれば大変な事になる。
必ず家の中限定だ。
妖精の掟第一条。
妖精は家にいる人間を助けるべし。ただし
家にいない人間は無視するべし。
そして万が一見られた場合だが僕ら妖精は
小さなおじさんに変身する。
すると人間は頭を振って考える。
その間に隠れるわけだ。
妖精の掟第二条。
妖精は決して人間に見られるべからず。も
しも見られる時あらば小さなおじさんとな
るべし。
こういう事も学校で教わる。
何故人間に奉仕するのかそれは奉仕してポ
イントがたまると階級があがるからだ。
階級があがれば妖精のメスと結婚できる。
妖精のオスは上のメスとは結婚できない。
だから頑張って階級を上げるのだ。
見習いから次でも結婚できない。
さらに階級が上がってやっと結婚できるわ
けだ。
もちろん相手に断られたら終わりだ。
だが僕の冒険は始まったばかりだ。
頑張らないともちろんメスも階級の上を目
指す。
そして僕は妖精の国から人間の世界へ旅立
つそれが今日だ。
僕には仲のいい妖精がいた。
学友と言うべきかこの妖精も今日旅立つ。
妖精は孤独だ。
もう会う事はないだろう。
それぞれが別々に旅立つ。
どこへ行くかはわからない。
そうやって僕達は旅だつのだ。
いよいよ僕の番だ。
妖精は妖精砲台から砲弾となって撃ちださ
れる。
これは小説の読みすぎだ。
だが最初はそう思っていた。
妖精もそういうのが好きなのだ。
なのでそんな話がどうするかそれはベテラ
ンの妖精に力によって飛ばされるのだ。
どこへ飛ばされるかはランダムだ。
そうやって飛ばされて今はもう一週間だ。
色々な人間に会った。
会ったと言っても見つかったわけじゃない。
決して存在をさとられてはいけない。
だがどこを自分の場所にするかは決めてな
い。
それは縄張りもあるからだ。
そんな時だ。
山の中で声が聞こえた。
たまたま山を飛んでいた。
助けてってこれは無視できない。
とりあえず確認しないと。
妖精の掟第三条。
妖精は助けを呼ぶ人間あらば確認するべし。
もし家にいるならば助けるべし。
ただしもし本当に死にかけてた場合は水ぐ
らいは与えてもいい。
そう妖精の存在を知られてはいけないのだ。
周りを見たがどうやら山にある小屋から聞
こえてるみたいだ。
小屋なら家扱いなので助ける事ができる。
僕は家に入った。
すると奥に大きな壺があるのがわかった。
ここから声が聞こえる。
まさか入って出られなくなったのかだがこ
の大きさなら考えられる。
様子を見てると誰かいるの。
あなたは誰って聞いてきたので名乗ってし
まった。
突然僕は煙に包まれて壺の中に閉じ込めら
れた。
外では声が聞こえた。
「助かったわ。悪く思わないでね。そこか
ら出たいならあなたも誰か探してちょうだ
い。さようなら」
冷たい声だった。
人間だ。
その後声は聞こえなくなった。
すると壺の中では声が。
「俺は壺にやどるものだ。おまえを辱めて
やる」
そう言って僕にとんでもない事をしてきた。
僕は叫んだ。
「助けてって」
だか妖精の声に反応する者はいなかった。
そしてそれから何十年も僕は壺に閉じ込め
られる事になる。
そうやってしまったのだ。
まさかこんな所でつまづくとは悔しいが僕
の冒険はここで終わってしまった。




