表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姫様は僕に教えない。  作者: まおう えむ
1/4

プロローグ

ここはオルダ村、豊かな国エルドバーニ王国のほんの西外れにある小さな村だ。

先日16歳になった僕は、育ちのこの村で日々畑仕事をしていた。

基本この国では16歳を迎えると、なにかしら職業に就くことが原則とされていて、僕にとってこの仕事は楽しいし、きちんとした収入も得られる、まさに至高の生活なのだ。


そして今日もいつも通り仕事に励んでいたのだが……


「おーい、アルフィー!なんか物凄い手紙が届いてるぞ〜」


父さんが額に汗を滲ませながら走ってきた。

一通の手紙を手にしている。


「僕に手紙?珍しい」


僕は手紙を受け取ると、まじまじと見つめて確認する。

それは、到底ただの紙なんて言えない、明らかに高級な素材……嫌な予感がする。


「開けてみろよ。ただならぬ手紙、俺も気になるぞ」


父さんに急かさせるがまま、開封する。

中から出てきた折り目ひとつない、またもや高級な紙。

文字が並んでいて、上から目を通していく。


「えーと……果たし状。アルフィー・ベケット殿。この度、あなたはエルドバーニ王国の姫殿下であるエレナ・ミルフォード様のお世話係として選ばれました……は?なんのいたずらだろう」


「イタズラにしちゃあ出来過ぎてるだろ。続き読んでみろよ」


「もちましては、明日の13時にこの手紙をもって王城まできたるべし」


書いたやつ絶対頭悪いんだろう……ってことは理解できた。

言ってることめちゃくちゃだし。


「これ絶対イタズラだって」


「ちょっと俺にも見せてみろ」


父さんは手紙を受け取ると、紙に目を通していく。

最後まで読んだところで、ハッと目を見開く。


「これ……みろよ」


父さんが指さしたそれを見て、僕も驚嘆する。

見覚えのある──それは、


「間違いない。王家の実印だ」


「うそだろぉぉおおお──!なんで僕が⁉︎ ぜんぜん意味がわからないんだけど」


超平民、ましてや王都に行ったことすらない僕に手紙が届く理由がどれだけ探しても見つからない。

だけど、父さんはがははと笑いながら、茶化してくる。


「行ってこいよ。お前昔、僕は王様になるなんて言ってたじゃねえか」


「それは──幼い少年の戯言たわごとだって。それに僕が呼ばれた理由はお世話係なんだけど」


実際、小さい頃僕はよく「──僕は王様になる」なんて言ってた。

けど、数年経った今は、なんでそんなことを言ってたのかよく分からない。

小さい頃の記憶は所々曖昧になってるし……。


「まあ、行ってこいよ。当分戻ることはないんだろ?向こうでしっかり頑張ってこいよ」


「選択権なんてないよ。行かざるを得ない。はぁ〜なんでこんなことになったんだろ」


王国からの、突然の手紙。

謎が多すぎるのだが、おとなしく王国に行くしかない。

とりあえず、この日はしっかりと休んで、明日のために体調を整えることにした。

なんで父さんがあそこまで後押しをしてきたのかは謎だったが、そんなことなんかよりも、初めての王国、王城に、胸が張り裂けそうなくらいに緊張している。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ