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2話 序章 8回の跳躍

いや、まずは落ち着け、DRAGONSLAYERの世界に来たというのは間違いないだろう。

これがゲームの途中で寝落ちしてみている夢だとか、何らかの事故で頭を強打して病院のベッドの上で見ている夢だとかそういう類のものでなければ。


兎も角、今問題なのはそんなことじゃない、この世界での俺の能力だ。

ありきたりなファンタジー小説とかならゲームのキャラそのままの能力を持っていたりするが、もし持っていなかったらかなり悲惨だ。

何せこの世界は剣と魔法と鈍器と銃器と怪物共が蔓延るファンタジー世界だ。

そんなところにゲーマーがなんの能力もなく放り出されたら即死待ったなしだろう。

ましてやここは魔王城、ゲームでのラスボスが居るだけあって周辺エリアのモンスターも他のエリアより凶悪だったりする。


まぁ取り敢えず試してみればわかるか、出来る限り高レベルの物で効果がはっきりとわかるスキルが良いな。

穏便なスキルであればなお良い。


数秒ほど考えて思いついたのが【エアステップ】というスキル。

名前の通り空中でも跳躍や回避が可能になるという便利スキルでレベルが上がるごとに空中で跳躍できる回数が増えるのだ。

最大レベルは7でレベル7を取得できるのは魔王を倒す少し手前ぐらいだったはずなのでレベル的にもそこそこ高いスキルだろう。


けどスキルってどうやって発動するんだ?

取り敢えず跳んでみればいいか。


その場で出来るだけ高く跳ぶ。

思ったより体が軽くふわりと3m以上は飛び上がる。

これだけで体力的にはゲーム内のキャラの性能そのままだということは分かったがスキルはどうだろうか。

空中で更に地面を蹴るように足を動かすと、何もないところに白く輝く魔法陣の様なものが出現して仮の足場となり更に体を高く跳び上がらせる。

更に空中で跳躍する。

合計8回の跳躍、その高さは大体30mぐらいだろうか。

いくら広いラスボス戦フィールドである魔王城の王室と言えど後1回跳躍すれば天井に届きそうだ。

一瞬の浮遊感、そして落下。


俺はここで後の事を考えていなかったことに気付く。

流石にこの高さから落ちたらゲーム内のキャラの身体能力でも死ねるんじゃないだろうか?


考えている間にも景色は流れていく、あ、これ死んだわ、と思った瞬間に轟音が響き鼓膜を震わせる。

思わず瞑った目をゆっくりと開くと自分を中心に周囲の地面はひび割れ土煙の中見事な着地をきめている自分がいた。


ゲームでのスキルも有効だと確かめたばかりなのにそれが頭から飛んでいた。

まぁ、それだけ焦っていたのだが……。

自分の間抜けさに多少嫌気がさすがとりあえず全てのスキルが有効なのかはまだ分からないので、一応確認できたスキルは覚えておくようにしよう。

さっきのは【エアステップ】と【落下ダメージ無効】それに【フォールブラスト】。


ただ周りの惨状を見る限り【フォールブラスト】が有効なのは間違いないが【落下ダメージ無効】は少し怪しい。

ゲームキャラの身体能力や防具類のステータス等でそもそもダメージが発生してない可能性がある。

まぁダメージという概念があるのかどうかも微妙だが、ゲームの時とこの世界とでの違いというのもあるだろう。


どうにか一気に確認する手段はない物か。

それにゲーム内で所持していたアイテムや購入した各地の拠点もどうなっているのか気になる。


もういろんなことが気になりすぎて見たこともない花が咲きそうなレベルだ。


『お困りですか?我が主よ』

一人で悶々と考えているとどこからともなく声が響く。


いやどこからともなくというか頭の中に?

『訳の分からないことを言っていないで早く私の質問に答えやが……コホン、お答えください我が主よ』

なんか無駄に口悪いな……いやまぁ困ってるというか、お前のせいで混乱の極みだよ俺は。

『人のせいにしないで下さい、我が主よ』


あ、すいません、それであんた誰。

『え?私ですよ私、ほら、分かりません?あ、ちょっとこの前風邪ひいてから声が変わっちゃったのかな?』

いや、そんなオレオレ詐欺みたいな言い方されても分かんねぇから早く名乗れよ。

『人工精霊コード153名称クラウ・ソラス、これで納得いただけますか?我が主よ』

いや、誰だよ……。

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