侵入!!
狐に話しかける形で、呟きを繰り返し歩くこと歩くこと。
所々低木が目立ち始め明かりが差し込み始め。
今までの地面は土とコケ、薄暗くじめじめして気が重くなるような嫌な空間を抜け、やっと暖かく明るい場所に出られたと内心喜んだ。
明るい場所の方が食材になりそうなものとか、集落とかがある可能性が高いはず。
そう希望を持ち直して、歩いていくと、木が生えていなさそうな空間が見えてきた。
ここら辺はまだ背の高い木が疎らに生えているのに、その一角だけ背の高い木が生えていない。
つまり、誰かが伐採したと言いうことになる。
伐採したという事はそこに集落か何かがある、なかったとしても伐採した後どこかに運んだはずだから伐採した者たちが通った後くらいは残っているはずだ。
疲れていたが、希望が湧いてきたことで足の回転が速くなり、目的の場所へ迫っていく。
ちなみに、狐は暗い方の森から出る少し前から僕の首に死んだようにかかって寝ている。
木が生えていない場所へ着く前に、道を見つけた。
小さな丘を掘って作ったであろう道。
しかしその道は最近使われていないのか雑草がたくさん生えていてどちらかというと獣道的な感じだ。
旧街道かもしれないしあまり気にせず目的地に歩く。
歩いても歩歩いても人の姿は見えず、どちらかというと森の奥に向かっている気もする現状、このまま歩いて行った先にあるのは村や街なのだろうかと不安になってくる。
その不安が消えることはなく、目の前に大きな壁が現れた。
先ほどまであった不安は半分当たり半分はずれという感じで、街はあったが、既に人がいなくなって数年は経っているような雰囲気だった。
高い壁にはびっしり緑ゴケがつき、ツタが張っている。
更に、鉄の門だったであろう物はかなり錆びていて蹴ると崩壊しそうだ。
門に触れると崩れそうで危険だからと他の入り口がないかと壁に沿って歩く。
こういう街では東西南北に一つずつ門があるはずだと。
日が傾き始めてきたときにようやく二つ目の門へ着いた。
ほぼ水平な壁を見て予想はしていたけど相当大きな街だな。
しかし、さっき見た門よりも大きいし、門の横には警備の人が待機する警備室みたいな場所がある。
そこからなら入れると思い、扉を開けていざ侵入!!!
次話は週末に。