死んだ!?
地震直後、何かに押しつぶされるような感じがした後からの記憶、感覚などがない。
白い靄に光が当たったような感じの空間。
地震があったときは部室にいた……
でも、いまこうして何かを考える事が出来るという事は、まだ死んではいないという事ではないのか。
そう思って声を出そうとするが、一向に音にならない。
喉がつぶれているのか、音のない世界なのか、精神世界か……
そんなことを考えているとき、足音のような何かが聞こえてきた。
その音は少しずつ遠くなっていく感じがして、勘で音の鳴る方を決めて走って追いかける。
しかし、音に近づいても物の形は何も見えず、他と違う所と言えば風のようなものを感じるくらいだ。
その風の吹く方へ歩くにつれ強くなっていき、周囲に立ち込めていた靄も少し流れるように動いている。
強くなった風は台風の時のような強さとなり僕を吹き飛ばそうとする。
掴む物もなく体を傾けてゆっくり進むのが精いっぱい、そうやって進んでいた時、明るいこの空間とは全く違う感じがする暗い部分が見えてきた。
近づいて行くにつれ強くなる風と、かすかに聞こえてくるようになった草木の擦れる音。
何もないこの空間に居続ける理由もないと気を強く持って歩き続けた。
結果、何もないあの空間からは出られはしたが、出てから感じたのは背中の圧迫感。
そう、仰向けになって転がっていたのだ。
立って歩いてここに出たはずなのに、仰向けに転がっていた。
それはつまり、死んでいた?
もし、あの空間から出られなかったら僕は死んでいたのか?
と考えたが、今生きてるだけでいいという事で落ち着いた。
しかし、木々に光を遮られているこの森林。
木々は大きく成長しているが、地面にはキノコ以外は基本何も生えていない。
ほぼ全ての光が遮られたここでは当然なのかもしれないが。
食べられるものがあるのは嬉しい。
これから先サバイバル生活をしなければならないのかと少しネガティブな考えが脳内を埋め尽くしているけれど、食べる事の出来るものが一切見当たらずに雑草などを食べるよりははるかにましだ。
ただし、食べても大丈夫なものかどうかは一切不明なので、それなりの覚悟が必要なわけだが……
結局、勇気が出ずに結局食べることができなかったキノコを地面に置いたまま木に寄りかかって睡眠をとった。