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イダ。

誤字脱字などあると思いますが、そんな時は貴方様の広い心で笑い飛ばしてやって下さい。


なんちゃって。笑

『フレイヤ、起きて。そろそろ行くよ。』


朝の日課。


眠れる姫様を起こすこと。


『ふぁ〜〜あ。ぁと5分〜。』



ズルズル


『ひっぱるなょ〜。レディになんてことを。』


ズルズルズル


『観念して早く準備しな。』


『ゎかったよ、もぅ。』



既に日は登りきり、柔らかい陽射しがほのかに暖かかった。



『準備出来たょ。移動は馬だよね?』


フレイヤは短パンにTシャツのいつものお出かけルック。



『ああ、連れてきた。後ろに乗ってくれ。』


『ぉ馬さ〜ん、頼りにならない飼い主の代わりに頼りにしてるょ〜?』


『はいはい。乗った乗った。』


2時間ほど馬を走らすとイダに着いた。


道は平坦で、フレイヤにもそんなに負担ではなかったようだ。


『フレイヤ、王様のお兄様はどこにいるんだい?』


『ぇ、父上はトールに伝えとくって言ってたょ?』


『王様はフレイヤが知ってるって。王様の勘違いかな。でもこれからどうしようか。』


城に戻る?


いや、夜中に呼び出したんだ。緊急を要したはず。


ならば帰るべきではない。




町の人に聞くか?


だが兄だと言うのにイダに住んでることを考えると王族であることを隠してるに違いない。


私達が知っているのは王様の兄であることだけ。



すると、向こうから白髪の男性が歩いてくる。


なんだ?


隙が全くない。


この人かなり出来るな。


『トールにフレイヤ、よく来たな。私は王の兄のオーディンだ。弟から話は聞いている。ここじゃ、なんだから家で話をしよう。』


『オーディン様、わざわざ迎えに来て下さり、お心使い感謝致します。』



『トールよ。私は王ではないのだ。お前が仕えるのは私ではなかろう?もっと気楽に接してはくれまいか?』



近付いて分かった。

つばの広い帽子を被っていて遠目には見えなかったが片目は潰れていた。


『しかし……』


私が口篭っていると、フレイヤは隣で煩わしそうにしていたようだ。


『トール、オーディンの言うことが聞けないの?いぃって言ってるんだからいいんだょ。ね〜、オーディン?』


『ふふ、もちろんだよ。トールも頼むよ。』


なぜだろう。


オーディンとは他人の気がしない。まるで旧友に会ったような感じがした。


『……はい。』



オーディンの家は、綺麗な石造りであった。

大きくはないが小さくもない。




家に入ると居間には槍が架けてあった。


銀色の槍の先はこの上なく尖っており、柄は木で出来ていた。

穂先にはなにかが彫られていた。


古代の文字だろうか。

残念ながら書かれていることは私には分からなかった。


『その槍は昔、私が使ってたものだ。名をグングニルという。』


『ぐ、グングニル?では、あなた様がガグンラーズ?』


『ガグンラーズか、そう呼ばれたこともあったな。』


『トール、そのガグンなんたらってなに?』


『ああ、昔、城に勤めていた伝説の騎士のあだ名さ。強すぎることでガグンラーズ、つまり勝利を決めるものと呼ばれていたんだ。』


『大袈裟だよな。今じゃ只の老人だってのに。ともかく、これからについて話をしようじゃないか。』



『はぃ。』



私とフレイヤの声が重なる。



『今、世界は深い闇に包まれようとしておる。』


『闇ですか?』


『そうだ。その闇を照らすため、そなた達には旅に出てもらう。』


『オーディン、なら私一人で行けばいいのでは?フレイヤを危険に巻き込む必要はない。』


『うむ。だがそれは、フレイヤには心当たりがあろう?』


『……はぃ。』


フレイヤは消えてしまいそうな声で答えた。


心当たり?



王様でもオーディンでもなくフレイヤが必要とされている。


女性であることか?



それなら女騎士だっていい。力だってフレイヤよりは強いだろう。



私が考え込んでいるのを見ていたフレイヤ。


『トールは考えなくていぃの。最期には全て分かるから。それに詮索はなしだょ〜?』


微笑んでいるフレイヤにひと安心した私は、それ以上の思考をやめた。

『トール、フレイヤ、今晩は家に泊まって行きなさい。詳しくは明日の朝にでも話そう。』




そして、私達が眠りにつく頃。町の外には闇に佇む男が一人。


腕には烏が止まっている。



『ミョルニルの反応を確認。近くに魔族がいますが、殺してでも奪い取ってみせます。見てて下さい、ユミル様。』


『頼りにしておるぞ、ロキ。』


その深く、透き通るような声と同時に烏は消えた。


『ふう、この通信魔法は以外と魔力を使うな。まあいい、ミョルニルの持ち主は小僧と聞く。他愛ないな。』


そう言うと、ロキは高々と笑っていた。

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