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外に出てしばらく歩くと、一樹が礼似に追いついてきた。
「この間の娘の話だが」一樹は歩きながら話しかけた。
「香の事?」
「前言撤回だ。しばらく一緒に行動する。お前も油断できないが、その娘も安全とは言えない」
「そうね。まさか、会長がこんなこと考えていたなんて思わなかった」
「俺に声をかけた時点で、ある程度は考えていたんだろうな。派閥の力関係に頼るから無理が生じるのなら、そこに頼らない人選を思い切って考えてみようと思ったのかもしれない」
「あの時、会長は言ってた。私を組に帰属させるのに、私のしがらみを使うって。あの時点でもう、私は目をつけられていたんだわ」
「不満か?」
「ううん。そうでもない。私、今のしがらみが気に入ってるから。縛られるのも、悪くない」
一樹は礼似を見て、軽く笑った。
「やっぱりお前も変わったんだな。昨日の電話じゃ、相変わらずのお前だと思ったが。あの怖い物知らずが、守りに入ったか」
「違うわ。守る物があるから、攻めることができるのよ。失う恐怖より、守りたい思いの方が強くなるから」
「それだけ大事なしがらみ、妹分か。分かった。必ずその娘は守りきるよ」
「妹分じゃないわ。もう、妹よ。一樹が今でも妹さんを守りたい気持ちと、一緒よ」
礼似も一樹に笑い返した。
「こりゃ、手出ししたりすれば、お前に殺されるな」
「勿論よ。あんたには父親の様なピュアな気持ちで、香を守ってもらうわよ」
「おい、お前は姉で、俺は親父なのか? 随分だな」
「だって、あんたはロリコンじゃないんでしょ? でも、多少はお芝居もしてもらうわよ。巧くハルオを煽らないと」
「なんだよ。ボディーガードだけじゃないのか? その手の事に他人が首を突っ込むもんじゃないぞ。それに俺を巻き込まないでくれよ」
「いいじゃない、ついでよ。それに、あの娘、ホントに根はいい娘なんだから一肌脱いでやってよ。まあ、手くせが悪いのはたまに傷だけどね」
やれやれ。人使いが荒くなったな。何でも一人でやりたがる、あの頃よりはマシかもしれないが。
「そうそう、組長候補の件ね。香にはまだ知られないようにしてね。余計な危険は避けたいし、私、受ける気になれるか分からないんだから」
面倒な条件付き。かなり人使いが荒くなった。
「分かってるだろうが、お前自身も身の周りには十分注意しろよ。油断できる状態じゃなくなるぞ」
「それは大丈夫。私はハルオの様子をうかがいたいし、ハルオが絡めば、じっとしてられないのが一人、くっついてくるからね」
礼似はくすりと笑う。




