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第四話

——誰かと目が合った。


その人は、すぐに目を逸らさなかった。


人の流れの中で、

一人だけ立ち止まっている。


こっちを見ている。


数秒。


時間が、伸びたように感じる。


足が動かない。


その人の視線が、

ゆっくりと、

僕の後ろへ流れた。


つられるように振り返る。


歩道橋の階段の方。


途中に立っている人。


その頭の上に、


「消えたい」


息が、詰まる。


もう一度、その人を見る。


目が合う。


——見えている。


僕だけじゃない。


この人にも、見えている。


その瞬間。


僕は、一歩だけ前に出た。


「……あの」


声が、かすれる。


その人は、何も言わない。


ただ、僕を見ている。


何か言わなきゃいけない。


そう思うのに、

言葉が、出てこない。


数秒。


その人は、

ゆっくりと目を伏せた。


それで、

終わった。


僕も、

それ以上は何もできなかった。


階段の途中のその人は、

やがて何事もなかったみたいに歩き出す。


人の流れに紛れて、

見えなくなる。


隣を見る。


さっきの人も、

もう歩き出していた。


何もなかったみたいに。


目を逸らす。


何も言わない。


見て見ぬフリが上手い僕ら。

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