表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第一話

関わらなければ、傷つかない。

何もしなければ、責任もない。


そう思っていた。


――あの日までは。



駅のホームで、また見えた。


あの人の頭の上に浮かぶ言葉。


「消えたい」



最初に見えたときは、驚いた。

でも今は、もう慣れた。


別に珍しくもない。


誰だって、一度くらいは思うだろうし。



――だから、無視する。



関わったって、いいことなんてない。

助けられる保証もない。

むしろ、余計に面倒になるだけだ。



電車が来る。



隣に立っている女の子。

同じように、「消えたい」が浮かんでいる。



視線を逸らす。


スマホを取り出す。


何も見ていないフリをする。



――そのとき。



ふと、昔のことを思い出した。



あのときも、同じだった。


見えていた。

でも、何もしなかった。



「まあ、大丈夫だろ」って、

勝手にそう決めつけて。



結果だけが、あとから追いついてきた。



……やめよう。



考えても意味ない。


目の前のことに集中するだけだ。



電車が、もうすぐ来る。



女の子が、一歩前に出る。



僕は――



そのまま、通り過ぎた。



夜。



テレビのニュースが流れている。



「本日夕方、○○駅で――」



聞き覚えのある駅名。



リモコンを持つ手が止まる。



画面に映る、さっきのホーム。


担架。

ざわつく人。

誰かが泣いている。



――チャンネルを変えた。



スマホを握る。



理由もなく、画面を開く。

閉じる。

また開く。



何もしていないのに、

どうしてか、手が震えていた。



あのとき、


何もしなかった自分だけが残った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ