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召喚3日目2:勝ち筋

「さて、逃げるか、立ち向かうか……」


 この状況で逃げのびるのは至難の業。この悩ましい状況でメイが妙なことを言い出した。


「致し方ありません、非常事態です。セーフティロックを解除します。」


「はい?」


「デストロイモード移行、対象を抹殺します」


 緑色の目が赤く輝き、両腕がガトリング砲に変形。背中がパカット開き、中から4本のアームがジェットパックとミサイルランチャーを装備して出現した。物理法則を無視しているレベルの変形だが、細かいことは気にしてはいけない。


「え、何?何だよそれ……」


「ああ、直太様はご存じなかったですか?メイドは世を忍ぶ仮の姿。もともと私は、テロ組織が世界各国から盗んだテクノロジーをもとに開発された対特殊部隊抹殺兵器。」


「あ~なるほど……」


 よく考えてみれば、伏線はいくらでもあった。ビームガンを使いこなし、ダイナマイトやガトリングを装備していたメイ。どう考えても、メイド用アンドロイドには不要な装備である。


「いやいや、何でそんな危険なアンドロイドがメイドなんてやっているの?」


「一度千穂様と交戦し鹵獲されたことで、メイド用アンドロイドとして再調整されたのです。」


「はあああ、聞いてないよお!千穂もお前もそんな重要な事今日まで隠してたの?マジで?」


「いえ、単に説明し忘れていただけです。」


「その言い訳でごまかされるレベルの真実じゃねえだろ!」


 冷静に考えれば、メイは、あの変人である千穂が連れていたアンドロイド。まともな代物なわけがない。


「さあ、ここからが勝負で……」


 首が吹っ飛んだ。


「この野郎、決め台詞言っている最中に攻撃するの反則だろうが!」


「律儀に貴様らのくだらないおしゃべりに付き合う必要がどこにある。」


「……うん、それもそうだね。」


 ノクシエルに正論にはぐうの音もでない。


「まあ、いいか、うちにデータのコピーは取ってあるし。本体も買い直しは聞くだろう。」


「その女、ゴーレム?しかし、それにしてはあまりに精巧すぎる。」


「まあ、似たようなもんだよ。」


「そうか、貴様一人を殺せば、魔王様に良いものを献上できそうだ。」


「ふざけんな!アンドロイド高いんだよ。簡単に渡せるもんか。」


 進太郎、ガルドさん、メイ。仲間は誰もいない。俺一人だ。だが、不思議と恐怖はなかった。なぜって?簡単だ。


「一人なら絶対、俺の出番がなくなることはないからな。」


 用意していたキツネの面で、顔を隠す。視界が狭まるが、むしろ集中しやすくなった。


 俺は、ノクシエルに向けて再びビームガンを向ける。


「その武器で我は倒せないのだろう。」


「どうかな、行ける気がする。1人になって、後に引けなくなったら、むしろ覚悟が決まって、自信がつく。」


「ほう?面白いことを言う。」


「さあ、お待ちかね。ここから先は俺の出番だ。」


 俺は駆けだした。


 向かってくる俺に、ノクシエルは手をかざす。魔術によって3つのブーメランを生成。


 それぞれが、ひとりでに動き出した。動きは速い。だが焦る必要はない。


「ブーメラン、面白い攻撃手段だよな。」


 俺は口角を上げた。同時に、3方向にビームを乱射。うち二つを撃ち落とした。


 だが、残り一つが目前に迫る。


「おっと!」


 咄嗟に体を横に倒しこれを回避。倒れた衝撃を分散させるため、体を転がらせる。


 ノクシエルが指を鳴らした。それと同時に、新たに3つのブーメランを生成。今度は前後左右4方向から狙ってきた。


「なるほど。なら、やることは一つ」


 俺は敢えて、その場から動かず留まった。敢えて待つのだ。軌道が変えられない距離まで近づいた、その時まで。


「今だ!」


 俺は、正面のブーメランに集中砲火を浴びせる。正面のブーメランは粉々に砕け散った。


「逃げ道ゲット!」


 俺はすぐさま、前方に跳躍!そして、次の瞬間、先ほどまでいた場所に3つのブーメランが激突。勢いを失い、その場に落ちた。


「うまくいったみたいだな。」


 ここまでの動き、ゲームと大きな差はない。邪魔してくる雑魚モンスターがいないなど、細かな差異はある。ただ、ゲームと違い、今は俺一人のため、数が不要と判断されたのだろう。




「面白い、ここまで私の攻撃に対応するとは。私が直々に相手しよう。」


 ノクシエルは腕をクロスさせた。すると、体に紫色のオーラをまとい、体中の血管が浮き上がる。両手が巨大化、爪は鋭利に変化。背中からはコウモリの如き翼が生えた。


「第2形態か。」


 これもゲームの流れ通り。ブーメランでの攻撃では倒せないと判断すると、姿を変えて直接攻撃してくる。ならば、ノクシエルを攻略することは可能だ。


「勝ち筋、見えたかもしれないな。」


 俺は、不敵な笑みを浮かべた。


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