表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
籠の中の月  作者: 四つ葉
4/10

太陽

「おい、さっきから呼んでんだろ。おい、桂城碧」

図書室で、こんな大声を出して良いのだろうか?という大声と同時に、

黒崎裕真が碧の肩を叩いた。


碧は驚いた様子で、本を置きながら振り返った。


「たく、何でこんなところにいんだよ。今日おまえ日直だろうが」

裕真は日誌を本の上に置き、碧の隣に座った。


「なんだよ、言うことあんだろうが」

言い方はきついが声のトーンは優しかった。

「・・・・ありがとう」


「おぉ」

裕真は嬉しそうにわらった。


碧は下に置いていた鞄から筆入れを取り出し日誌を書き出した。裕真はじっと書くのを待っていた。

「なんで、隣に座ってるの?」

碧が書きながら訊いてきた

「ん?なんとなくかなぁ、生徒会とかめんどいしさぁ」


黒崎裕真は生徒会副会長をしていた。

仕事はきちんとしているらしい・・・・・のだが


碧は書き終わると立ち上がった。

「あぁ、俺が出してきてやるよ。本読んでんだろ?」

碧は座りながら、ペンをしまった。

「なぁ、今日何時くらいに帰んの?

一緒に帰んないか?」

碧は裕真の顔を見た。

「いいだろ?あ、いつも下校時刻までいるよな?待ってるよ」


「待ってなくていいよ。なんで裕真と一緒に帰らないといけないの?」


碧は、また本を開いて読み始めた。

裕真はしばらく何も言わなかったが、何かを決意したかのように、


「俺が碧と一緒に帰りたいからだ。お前この頃元気ないっていうかさぁ、なんかおかしいから。気になってな」


碧は、本を閉じ裕真を見た。


「・・・・・・ 」


裕真は困った顔をして頭をかいた。


「黙んなよ。照れんだろ」


碧は席を立ち上がった。


「おい、・・・・」

裕真が声をかけたが、碧は止まらず、本棚の奥に行ってしまった。


「どうしたんだよ、嫌ならイヤで・・・」


裕真が後を追うと、碧が本をもう一冊手に持っていた。



「もう、今日はもう帰る・・・から、これ借りてく・・・・」


碧がさっき読んでいた本の続きだった。

「なんだよ、それならそうと・・・」

ため息混じりで言いながら、


「ああ゛、日誌置いてくっからちょっと待ってろ」


慌てて図書室から走り出していった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ