10/10
闇
「母さん、碧大丈夫か?」
「平気よ。もう寝ちゃったわ」
母さんは手にマグカップを2つ持っていた。
「なぁ、母さん。俺は、碧に守ってやるって言ったんだ。でも守ってやれなかった・・・・・」
手に持っていたコーヒーは、もうとっくに冷めていた。
「裕真は、私と尚彦さんの子供なのよ。大丈夫よ。裕真、絶対に碧ちゃんを守るのよ」
母さんは、少し寂しそうな顔をした。
「あぁ・・・・・・父さん今日帰ってくるって言ってなかったか?」
「そうねぇ・・・・」
人は、必ず大きな何かを背負って生きている。
他人には、大したことじゃない、些細なことで人生が狂うことがある。
外は、闇が広がっていた。太陽がいない時間。