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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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交友

 生徒会執務室が入っている建物の裏手にある、「フリーランサーズの女子寮」とやらでシャワーを借り、マーケットで買った下着とジャージに着替えて出ると、筑地副会長とばったり会った。

 なんの偶然か、周辺には他に人影が見えない。

 なら、確かめてみるかなあ。

 と、遥は思う。

「お疲れーっす!」

 まずは、挨拶。

「お疲れ様でございます」

 筑地副会長は相変わらず真面目な表情を崩さないまま、挨拶を返してくる。

「先ほどは、ご活躍で」

「いえいえ。

 他の人たちもみんな、頑張っていましたし」

 遥は、そう続けて、本題を切り出した。

「ところで筑地副会長は、三年生、でしたよね?」

「はい」

 筑地副会長は、頷く。

「つまり、元の世界では、ということですが」

「わたしも三年生で、結構顔が広い方なんですけど。

 でも、筑地副会長のような方、見覚えないんですよね」

「見覚え、ですか?」

 はじめて、筑地副会長が動揺した様子を見せる。

「それは、どういう意味……いえ、待ってください。

 おかしい、ですよね。

 ぼく……元の世界での記憶が、ない。

 です。

 両親のことも級友のことも、学校での様子も。

 きれいに、欠落しています。

 まるで、ついこの間、五日前に突然生じた存在であるかのように。

 宙野さん。

 ぼくは……何者、なのでしょうか?」

「副会長は、副会長でしょ」

 遥は、軽い口調で続けた。

「真面目で、冗談が通じなさそうで。

 でも、生徒会の仕事は黙々とこなす。

 副会長が副会長でないとしたら、なんなんですか?」

「つまりぼくは、そのように規定、いえ、設定された存在、ということなのですね」

 筑地副会長は、そういって大きく息を吸った。

「なんにせよ、存在理由が明確だと助かります。

 アイデンティティの崩壊に怯えずにすみますし」

「それ、副会長流の冗談?」

「そういうことに、しておいてください。

 宙野遥さん。

 本当のことを、ありがとうございます」

「惚れるなよ。

 これでも、彼氏持ちなんだから」

 そういって、二人は、別れて進む。

 何事も、なかったかのように。


「で、今、どういう状況なん?」

 中央広場に戻った遥は、弟の彼方に説明を求める。

「なんかね。

 みんな、集まってきた」

 彼方はそういって、両手を広げる。

「いろいろ不安定だからさ。

 みんな、まともな見識がある人のところに集まってくるんだよ。

 きっと」

 小名木川会長と恭介が、テーブルについてながながと話し込んでいた。

 内容は、ようするに、現時点で推測が可能な告知文の解釈について、だ。

 そのテーブルの周囲にちょっとした人だかりが出来て、二人のやり取りを神妙な表情で聞いている。

「この手の理屈をこねさせると、キョウちゃんが一番なんだなあ」

「まあ、いつものことだよね」

 宙野姉弟の恭介に対する評価は、そんなものである。

「で、集まってるの、誰?」

「主要なパーティのリーダー、かな。

 その他にも目聡い人が何人か、来ているみたいだけど」

「あ、本当だ。

 新城ちゃんが居る」

 遥は人だかりの中に顔見知りをみつけ、そこまで近寄る。

「新城ちゃん、ひさしぶり!

 だいぶ活躍しているようだね!」

「あ、宙野先輩、おひさしぶりです」

 パーティ風紀委員のリーダー、新城志摩はそういって遥に一礼する。

「先輩こそ、ご活躍のようで。

 姿なき首狩り娘って、あれ、先輩のことですよね?」

「な、なんのことかなあ」

 遥はとぼけた。

「きっと、なにかの勘違いだよははは」

「生徒会長と話し込んでいる人、トライデントの人ですよね?」

「そうだよ!

 うちの自慢のリーダー!」

「なんか、凄いですよね、あの人。

 あの告知文から、これだけの推測を展開するって。

 わたしなんか、そういう頭がないから、感心するばかりです」

「実際たいした者だからね、うちのキョウちゃんは!」

「あと、先輩。

 ランキング、もう確認しています?」

「え?

 いや、まだだけど」

 そもそも遥は、ランキング的な情報にあまり関心を持っていない。

「なにかあった?」

「一位が聖女様なのは変わらず、ですが。

 それに続く三人が、トライデントの三人で独占。

 三人ともレベル八十代後半なんで、カンストに手が届きそうですね」

「あー」

 遥は視線をさまよわせた。

「そうなの?」

「そうなんです」

 新城は真面目な顔をして、頷く。

「今回のオーバーフロー、全般に取得ポイントが多いんですけど。

 それでもレベル九十に届きそうなのは、トライデントの方々くらいですね」

 遥は思い返す。

 自分は、無数のモンスターの首を落としてきた。

 それこそ、数え切れないほどの。

 恭介は、ワイバーンをはじめとして、倒しにくいモンスターを多数、倒している。

 彼方は、彼方自身の功績はともかく、リーダーとして二十人からの人間をまとめあげてバフをかけるなど、長時間にわたる支援活動もおこなっている。

 そうか。

 と、遥は、今さらながらに思い当たった。

 こういうの全部、ポイントになっちゃうのか。

「ははははは」

 遥は乾いた笑い声をあげ、誤魔化すことにする。

「まあ、まぐれってやつじゃあないかなあ。

 たまたま、っていうか」

「いえ、先輩がそれでいいんなら、特になにもいうことはないんですけど」

 新城はそういってから、遥の耳元に口を寄せ、小声で続ける。

「ただ、気をつけた方がいいですよ。

 先輩方は、かなり目立つ存在になっていますから。

 今後、なにかとうるさくなると思います」

「うるさくなるって、なにが?」

「他のパーティやプレイヤーから、支援の無心とかされたり」

 わあ。

 と、遥は内心で愕然とする。

 そういう面倒が、増えていくのか。

 聖女結城紬という別格はあるにせよ。

 それを除けば、トライデントはダントツで一位のパーティ、ということになる。

 特に今回は、どさくさまぎれの初日以上に、ある意味では目立ってしまった。

「おとーとよ」

 遥は彼方の方を振り返る。

「こういう時の正しい対処法、いず、なに?」

「時の過ぎゆくままに」

 彼方は澄ました顔をして答える。

「放っておけば、すぐに沈静化するよ。

 こういうの、長続きするもんじゃないから」

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