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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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乱戦(二)

 五日目、AM11:01。


「君たち、無事?」

 声だけが、聞こえた。

 女の声だ。

「不用意に近寄ると、危ないよ。

 あれでもあそこ、激戦区だから」

 石像に教われかけた連中は、揃って無言のまま首を縦に振った。

「あれ、ガーゴイルと呼ばれているみたいだけど、ともかくあれの性質は、見た目の通り硬くて壊しにくい。

 動くと意外に素早い。

 空を飛ぶ。

 プレイヤーを見つけると襲ってくる。

 魔法はあまり効果がない。

 物理攻撃は効果がある。

 ただし、あの硬さに対抗可能な威力は最低限必要。

 今伝えられるのは、それくらいかな」

 女の声は、明瞭な発声で、情報を伝えてくれた。

「それじゃあ、死なない程度に頑張ってね。

 わたしは、先にいくから」

 女の声は、そこで途切れる。

 そして、少し間をおいて、ひしめく石像、いや、ガーゴイルの首が、次々に落ちはじめた。


「プレイヤー、なんだよな?」

「だろうな」

「ステルス性能は狩人のものだけど」

「狩人の動きじゃないだろ、あれ。

 一発で首狩りって」

「おそらくだが、噂に聞く上位職の成功例じゃないか?

 ベースは剣士か斥候と見た」

「ベース剣士か斥候で、狩人の固有スキルを合わせた感じか」

「それならば、確かに。

 あれくらいの芸当は、出来そうだな」

「いずれにせよ、かなりの高レベルプレイヤーだな、あれは」

「さっきいってた、閉鎖地域のやつも」

「多分、あの首狩り娘の仕業だ」

「首狩り娘、か」


「あ、どうも」

 自分に「首狩り娘」などという異名がついたことなどつゆ知らず、ガーゴイルの群れに突入した遥は、ガーゴイルの首を落としながら、そこに居た結城紬に挨拶をする。

「精が出ますねえ、結城さん」

「これはこれは。

 宙野さん家のお姉さんでしたか」

 結城紬の方も、ゆったりとした口調で挨拶を返す。

「それにしても、全部一撃、ですか。

 凄いですね。

 首を狙うにしても、この子たち、かなり硬いでしょ?」

「なんか、クリティカル補正がついているみたいで、だいぶ助かってます」

「それに、遥さん。

 あなた、バリヤーも張ってないの?

 危なくない?」

「あれ、基本的に、場所につけるものらしくて。

 自分の周囲につけることは出来ても、激しく動くとバリヤーだけ置いてけぼりにしちゃうんですよ。

 わたしのスタイルには、ちょっと合わないかなあ」

「それで、回避だけで全部やっているの?

 凄いわねえ。

 わたしなんて不器用だから、闇雲に武器を振り回すばかりで」

「いやいや。

 当たる端からガーゴイル粉砕しているんですから、そっちの方がよほど凄いですよ」

 そんな会話をのんびり続けながらも、二人とも、手は止めていない。

 余人の理解が追いつかない、カンストユニークジョブとこの時点ではレアな上位職との会話だった。

「で、これ。

 なんとかする目処、ついているんですか?

 なんか、叩いても叩いても出て来る感じなんですけど」

「根本的な対策は、まだみたいですね。

 皆さん、頑張っていらっしゃるのですけど」

「減らしても、それ以上に出て来る感じですかぁ。

 考えようによっては、ポイント稼ぎにはいい場所なんでしょうけど」

「それにしても、この硬さを克服出来ないとどうにもしようがありませんし。

 いずれ、生徒会の方あたりがなんらかの方策を見つけるとは思いますが。

 あ、とりあえず、手の空いているプレイヤーさんたちは、この広場に向かわせているそうですよ」

「人海戦術でいくかあ。

 うちの子たちにも相談してみます」


「おう、やってるやってる」

 生徒会の招集に真っ先に応じて中央広場に到着したのは、パーティ坂又どすこいズ率いる一団だった。

「これがガーゴイルというやつか。

 なるほど、うじゃうじゃいるな」

 この一団は、なんといってもノリがポジティブだった。

 これまで苦戦した経験がないことも手伝って、全体の雰囲気も明るい。

「こいつらがやたらに出現してくるってことと、それに、硬くて倒しにくいのがネックになっているらしい」

 中央広場から少し離れた場所に留まって、坂又は広く意見を求める。

「基本、ヒトが近づいたら襲ってくるなど、反射的な反応は見せるが頭はそれほどよくない。

 というより、知性があるのかどうか、かなり怪しい。

 数の多さとタフさが、やつらの強みだ。

 それを潰す案、誰かないか?」

「銃器の使用は?」

「すでにやっているそうだ。

 おれはミリタリー方面に明るくないのだが、アンチなんとかライフルかいうので、対応しているらしい」

「それはおそらく、アンチマテリアルライフルのことかと。

 戦車や装甲車など、分厚い装甲をぶち抜くためのライフルですね。

 そうか。

 あれを使うくらいには、硬い相手か」

「宇田くん、といったか。

 そっち方面には詳しいのかな?」

「詳しいというほどではないですけど、ほどほどには」

「リアルには、あんなガーゴイルなどいないわけだが、あれにリアルの武器を使うとしたら、君ならばなにを使用する」

「核ですね」

 宇田は即答する。

「ただしこれは、後先を考えず、あくまであれを叩くことを最優先にした返答になりますが」

「後先考えて、つまり、周囲の建物や人に被害を与えずに、という条件ならば。

 あるのか?」

 坂又は首を傾げる。

「戦車用のライフルでも潰しきれない相手に」

「この場合、問題になるのは破壊力ではなくて、回転数になるわけで」

 宇田は説明した。

「マシンガン、それも、対人想定のものではなく、ガトリングガンなどであれば十分な成果が出せるかと」

「ガトリングガンか。

 名前だけは、聞いたことがあるな」

 坂又は頷いた。

「それなら、あれを潰せるのか?」

「おそらくは。

 ただし、問題もいくつかあります」

 宇田はいった。

「まず、そんな大量破壊兵器がマーケットにあるのかどうか、まだ確認していないこと。

 次に、必要とされるポイントの問題。

 本体もさておき、消費する弾薬の数量が半端ではありません。

 あと、機構が複雑になる分、物によっては頻繁に不具合で止まることがあります」

「必要経費なら心配するな。

 うちのパーティが出すし、それでも足らなかったら生徒会に相談する。

 宇田くん、すぐにマーケット検索してよさそうなものの選定にかかってくれ」


「……との、ことだそうですが」

 生徒会執務室で、坂又から相談を受けた小橋書記は、そっくりそのまま小名木川会長に内容を伝えた。

「そんなこといわれても、わかんないよ」

 小名木川会長は、軽く顔をしかめる。

「その、ガトリング、だっけ?

 要するに、機関銃の凄いやつ版、なんだろ?

 まあ、やらせてみるか。

 あ、実際に撃つ前に、中央広場から人払いはしておけよ。

 同士討ちなんて洒落にならん」

「では、そのように伝えます。

 あ、あと……」

「費用のことなら心配するな。

 今回のオーバーフローだけでも、とんでもないポイントが入って来ている。

 使い道に困るほどだ」

 ここいらで浪費しても、罰は当たらないだろうな。

 と、小名木川会長は思う。

 今回のオーバーフローで発生したモンスターの討伐報酬は、全般的にこれまでとは比較にならないほど多かった。

 単価が大きいのだから、総額だって多くなる。

 よほどのことがない限り、生徒会が困窮することはなかった。

「それでは、ガトリング作戦に認可を与えておきます。

 横島さん、中央広場から人払いをお願いします」

「はいはい」

 小橋書記がプレイヤー全般からへの広報、ならびに相談受付。

 横島会計が特定のプレイヤーからへの広報と相談受付。

 と、今回のオーバーフローに限り、担当を分担させていた。

 つまりは、トライデントなど、頻繁に連絡があるパーティやプレイヤーについては、横島会計が担当する、という分担にしている。

 それだけ、その一部のプレイヤーとは密な連絡があり、独立した担当者をつけておいた方が生徒会としても都合がよかった。


「まさか、本当に売っていたとは」

 実物を前にして、宇田は狼狽えている。

「これが買えるんなら、探せば核兵器くらい扱っているんじゃないか?」

「あるかも知れないが、今は関係ない」

 坂又は、そう答える。

「生徒会から、GOサインが来た。

 準備が出来次第、決行だ」

 巨大なガトリングガンと膨大な弾薬を一度倉庫に収納して、全員で、中央広場付近へと移動する。

 そこで結界術のバリヤーを幾重にも張り、ガトリングガンのセッティングをおこなった。

「中央広場からの人払いは終わっているそうだ」

 坂又がいった。

「存分にやれ」

「本当に自分でいいんですか?」

 宇田が、確認する。

「発案者が責任を取るのは、当然のことだろう」

 坂又は、鷹揚に頷いた。

「ポイントを適当に分配したいんで、気が済むまでやったら、別の者にも交代して欲しいが」

「それでは、いかせていただきます」

 そういって、宇田は引き金を引く。

 凄まじい轟音が辺りに鳴り響き、こちらに殺到して来たガーゴイルから順番に、銃弾の奔流がたいらげていった。

「凄いな、こいつは」

 坂又は、呑気な声を出した。

「これが現代兵器の威力ってやつか」

「次の人、どうぞ」

 宇田が引き金を引いていたのは、一分を少し超えるくらいのごく短い間だけだった。

「もういいのか?」

「正直にいいますと、すぐに怖くなりました」

 石で出来ているというガーゴイルたちは、銃弾の雨に晒されると紙のように吹き飛んでいった。

 あるいは、宇田のように恐怖をおぼえるのは、正常な感覚なのかも知れない。

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