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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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未来予測

「身近な問題が片付いたところで、もうひとつ」

 築地副会長がいった。

「あまり楽しくはない予測になりますが」

「とりあえず、いってみて」

 小名木川会長が促す。

「本日、はじめてヒト型のモンスターが出現しました」

 築地副会長は続けた。

「知能があり、戦略や戦術について意識している相手が、です。

 これが、今回だけの例外であるとは限りません」

「そうだな」

 小名木川会長が頷く。

「もしも今回だけだったら、そっちの方が驚きだ」

「さらにいうと、今回、結城嬢は単身での全滅、という快挙をおこないました。

 あくまで、相手とジョブの相性によっておこった結果、ではありますが。

 それでも、システムがそう判断するとは限りません」

「難易度をぐっとあげて来る可能性がある、ってこと?」

 横島会計が顔をしかめる。

「確かに、あんまり愉快な想像ではないかも」

「仮に、おれたちにこちらの結城さんのような聖女職がいなかったとして」

 常陸庶務がいう。

「そしたら、今日のもどうなったことか」

「いや、どうにもならないでしょう」

 小橋書記が意見を述べる。

「少しは、あの軍団にダメージを与えられたかも知れない。

 だけど、ほとんど無傷のまま、あの軍団はそのまま市街にまで進軍していったんじゃない?」

「おそらくは、そうなったかと」

 築地副会長がいった。

「今日に限らず、オーバーフローで出現したモンスターは、われわれプレイヤーには目もくれず、外部へ移動するという性質があります。

 あくまで、われわれの方から攻撃をしなければ、ですが」

「こっちから攻撃したら、たいてい反撃してきますね」

 横島会計が、これまでの事例を思い返しながら、いう。

「その性質が、今後も変わらない保証はどこにもないわけですが」

「難易度が、あがる可能性、かあ」

 小名木川会長はため息をついた。

「勝てば勝ったで、より面倒なことになるんだな」

「仮に敵が強くなるとしても」

 小橋書記がいった。

「そういう予測があれば、準備をすることも出来ますから」

「全プレイヤーに、装備品の整備、出来ればアップグレードを今日中に済ませておくよう、通達しておくか」

 小名木川会長がいった。

「それと、上位パーティにも改めて協力要請出しておいて。

 特に、遠くでスローライフはじめたナンバーワン、ツーのパーティに」

「はい」

 小橋書記が頷く。

「明日の朝まで、こちらに駆けつけられるような体勢にしておいてくれ、と頼んでみますね」

「あと、なにか明日の朝までに出来そうなこと、あるかな?」

 小名木川会長が、そういって、その場に居た全員の顔を見渡した。

「あの、ひとついいですか?」

 結城紬が遠慮がちに片手をあげる。

「モンスターの頭がよくなる、ってことですよね?

 それでしたら、今のうちに主要な施設の防備を固めておいた方がいいと思います。

 攻撃されたくない場所の前に、土塁を積みあげておく、とか」

「いい案だと思います」

 築地副会長がいった。

「今後も、モンスターがこちらの都合よく、プレイヤーを無視して外に向かってくれるという保証はないのですから」

「どんどん面倒なことになるな」

 小名木川会長は軽く顔をしかめた。

「じゃあ、結城さん。

 フリーランサーズも思うように使って、好きなように準備しておいて」


「はぁ、なるほど」

 彼方が生徒会からの連絡を受けたのは、十時の休憩を取っている時だった。

「こっちのみんなとも相談してみますが、明日までには出撃出来るように準備を進めておきます」

「なんだって?」

 射撃練習が一段落し、こちらに合流して休憩を取っていた恭介が、通話を終えた彼方に内容を確認する。

「明日以降、モンスターの攻撃が激化する可能性が高いって」

 彼方は答えた。

「それで、明日のオーバーフローまでに、あっちに合流してくれって、お願いされた」

「明日の朝まで、かあ」

 赤瀬がいった。

「それ、強制ではないんでしょ?」

「強制ではないけど、あっちが全滅したらぼくたちだけ生き延びてあんまり意味がない気がする」

 彼方は、そんな答え方をする。

「後悔しないためにも、いっておいた方がいいかも」

「準備」

 緑川が立ちあがった。

「今の作業は一時中断。

 空飛ぶ箒の開発を続行する」

「それ、明日の朝までに間に合いそうなの?」

「いくつかボトルネックが存在するが、それさえ全部クリアすれば可能」

 間に合いそうにないな、と、恭介は内心で思う。

「魔術師って、なにか準備するとかないの?」

 恭介は、話題を変えた。

「ない、ですかねえ」

 仙崎が、上の方に顔を向け、そう答える。

「魔石はたっぷりありますし、現地調達も出来るはずですし」

 なら、空飛ぶ箒の開発に時間を割いてもいいのか。

 ひょっとしたら、恭介の予想を裏切って、実用段階まで完成するかも知れないし。

「恭介の方はどうなの?」

「さっきも説明したけど、狙撃手、ちょっと強すぎるくらいなんだよね」

 彼方から問われて、恭介が返答する。

「あとは慣れ、かなあ。

 これかもうちょっと、いや、今日いっぱい、いろいろ試したり練習したりしておくよ」

「こっちを出るのは明日の朝でいいかな?」

「いいんじゃないか?

 どうせ、はじまるのは十時だろ」

 それまで、あちらに到着すればいいはずだ。


 などというやり取りをしていると、トライデント宛てに通話呼び出しがあった。

「パーティ宛ての呼び出し、珍しいね」

「これまで、生徒会くらいしか来てなかったけど。

 これのパーティははじめてだな」

「相手、誰?」

「酔狂連ってパーティ。

 誰か知っている?」

 その場に居た全員が首を横に振る。

「とりあえず、出たら?」

「おれが?」

「パーティリーダー、恭介だし」

「それもそうか」

 頷いて、恭介はその通話を受ける。

「はい。

 こちら、トライデント」

『はじめましてトライデントの諸君!』

 通話相手のテンションがちょっとおかしかった。

『明日以降、モンスターの攻撃が激化する可能性がある、という件は、すでにご存じかね?』

「生徒会経由で、聞いています」

 恭介は冷静な口調で答えた。

「こちらは、トライデントの馬酔木恭介。

 失礼ながら、はじめまして、ですよね。

 あなたのことは、なんとお呼びすれば?」

『酔狂連の三和だ。

 だがそんなことはどうでもいい』

 相手は、早口にまくし立てる。

『わが酔狂連は生産職ばかりが集まったパーティでな。

 明日以降に備え、これまでに開発してきた装備の数々を無償で提供したい。

 試作品ゆえ、多少の不具合がみつかるかも知れないが、それも逐一報告して貰いたい。

 そちらのパーティは狩人、斥候、罠師の三名で間違いはないな』

「今は、斥候、狙撃手、罠師の三名で、このうち斥候は近いうちに忍者になると思う」

 恭介は情報を更新した。

「それと、魔術師ばかり四人のパーティも同行している」

『ああ。

 例の上位職、もう試したのか。

 流石に動きがはやい』

 酔狂連の三和はいった。

 上位職に転職する方法は、広く公開されている。

 しかし、その方法を発見したのが恭介たちだと知っている者は、身内と生徒会くらいだろう。

『それに、魔術師だと?

 いいともいいとも。

 そちら四人の分も、まとめて用意しよう。

 それくらい、お安いご用だ』

「師匠」

 緑川が、片手をあげた。

「生産職の人なら、相談したいことがある」

「三和さん、もう一件、いいですか?

 こちらの魔術師のひとりが、そちらになにやら相談したいことがあるようで」

『相談?

 もちろんいっこうに構わんよ。

 その人に変わってくれ』

 恭介は緑川に向かって頷き、酔狂連からの通話を緑川の個人画面に転送、中継する。

 緑川は、案の定、空飛ぶ箒についての技術的な詳細を、三和に対して質問しはじめる。

 途中からメモを取りながら、かなり長い時間に渡って問答していた。

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