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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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事後策と対策

「あら、まあ」

 その件の直後、結城紬は、そう反応したという。

「思ったよりも大変なことになってしまいましたねぇ」

 なにしろ当時の一階には、フリーランサーズの面々が相当数、居合わせている。

 その証言が一致している以上、彼女のこの反応に、間違いはないのだろう。


『ちょっといいかな?』

 その直後、結城紬の元に小名木川会長から連絡が来た。

『相談したいことがあるんで、悪いけどちょっと上にあがって来てくれない?』

「あ、はい」

 結城紬は即答した。

「すぐにお伺いしますね」

 いつもと同じ、のんびりした口調だった。

 と、いうか。

 あれほどのことをしでかした直後だというのに、この人の態度は平素のそれと、まったく違わなかった。

 そのことを、

「かえって空恐ろしく感じた」

 という証言も、多い。


「やってしまったことは、いい」

 小名木川会長は、そう切り出した。

「別に、悪いことをしたわけではないし。

 ただその、今回は、ちょっとスケールが大きすぎるんでな。

 後始末とかいろいろ、今のうちに相談しておこうかと思ってな」

「そうなんですね」

 結城紬は、他人事のようにいって、頷く。

「それで具体的には、なにを?

 あ、なんか、とってもいっぱいCPを頂いたんですけど、それ、生徒会の方で使いますか?」

「いや、CPはいいかな」

 小名木川会長は、そう応じる。

「生徒会の方も、全然困っていないし」

 全プレイヤーがなにかしらの活動をすれば、自動的に生徒会のCPも増えるシステムなのである。

 よほどの無駄遣いでもしない限り、生徒会の活動資金が欠乏することはない。

「それよりも、そうだな」

 小名木川会長は、思案顔でいった。

「いろいろあるんだが、まずは、今回の件で取得したドロップ品とか装備類について、生徒会で買い取らせてくれないか?」

「無料で差し上げあげますよう、そのくらい」

 結城紬はぶんぶんと顔を横に振る。

「わたしが持っていても、活用できない品々になりますし。

 今ここで、お渡ししますか?」

 小名木川会長は横に顔を向けて、副会長の反応を伺う。

「よろしいのではないでしょうか」

 副会長はそういって、小さく頷いた。

「それでは、出しますね。

 ……って、思ったよりも、数が多いですね」

「生徒会の倉庫に直接移送してください」

 横島会計が助言する。

「結城さんも生徒会の一員ですので、生徒会の共有倉庫が扱えます」

「ああ、そうなんですね。

 ええと、これ、でいいんですか」

 結城紬は慣れない所作で空中に指先を走らせる。

 本人しか見えない画面上で、アイコンをドラッグ&ドロップしているのだろう。

「セプルクルム・レギオンの長槍、セプルクルム・レギオンの大盾、セプルクルム・レギオンの兜、セプルクルム・レギオンの具足。

 セプルクルム・レギオンって、どういう意味なんでしょうね?」

「ラテン語で、セプルクルムは墓地、レギオンは軍団、集団、集合などの意味になります」

 築地副会長が教えてくれた。

「合わせると、墓場の集団、というほどの意味になりますか。

 おそらくは、あの集団の名称ではないかと」

「ああ、そうなんですね!」

 結城紬は大きく頷く。

「わたし、そういうことにとても疎くて」

「そんな知識がある高校生の方が、珍しいと思うぞ」

 ぼそりと、小声で常陸庶務が呟いた。

「ええと。

 あとは、十人長の装備一式、百人長の装備一式、千人長の装備一式」

「そのあたりは、将校とか幹部連中の分だな」

 常陸庶務が、説明をつけ加える。

「セプルクルム・レギオンの隊旗、スケルトン・ジェネラルの佩刀、スケルトン・ アウグストゥスの兜」

「……アウグストゥス」

 築地副会長が珍しく狼狽した様子で、首を横に振っている。

「あの中に、皇帝まで含まれていたんですか」

「皇帝?」

 小名木川副会長が訊き返すと、築地副会長が教えてくれる。

「アウグストゥスとは、ローマ皇帝を示す称号です」

「……そりゃあ」

 しばらく絶句してから、小名木川会長はいった。

「そんなお偉いさんまでまとめて始末したら、カンストくらいするわな」


「頂いた装備類は、こちらで活用させていただきます」

 アイテムの移送が終わってから、横島会計は結城紬に説明する。

「といっても、大半は武具でしたので、そのまま無償でみんなに配ってしまおうかと思っています。

 まだ、装備品が足りてないプレイヤーも多いですし」

「それがいいですね」

 結城紬も頷く。

「どこかにしまい込んでおくよりも、誰かに使って貰う方がいいと思います」

「あとで、この建物の前に置いて、ご自由にお持ちくださいという立て札でも立てておきましょう」

「いいのかよ、そんなぞんざいな扱いで」

 常陸常務が疑問を口にした。

「なにしろ、各装備が一万近くありますからね」

 横島会計は説明する。

「将校や皇帝用のよりよい装備は保管しておくにしても、数が多すぎます。

 こちらは、総数でもたった百五十人なんですよ。

 各人が予備をいくつか持っていったとしても、余裕で余る計算になります」

「いわれてみれば、そうだな」

 常陸庶務も、その説明に頷く。

 性能面はともかく、これだけ数が多いと、希少性はほとんどない。

「何百個か、酔狂連のやつらに渡しておくか」

 小名木川会長が提案した。

「連中、いつも研究用の素材を集めているし」

「それもいいですね」

 横島会計も頷いた。


「で、ここまではいいとして」

 アイテムの受け渡し作業が終わると、小名木川会長は次の議題に移った。

「まず、結城さん。

 あなた、今後、注目の的になるしなにかと騒がれると思う。

 余計なトラブルに巻き込まれたくなかったら、なるべくこの建物から出ない方がいいと思う。

 それから、この建物の中でも、出来れば数名、フリーランサーズの連中でも配置しておいてくれ」

「はあ」

 結城紬は要領を得ない表情で頷いた。

「それは別に構いませんが。

 その、なんで、ですか?」

「結城さんは今、全プレイヤー中ダントツで一位の、高位プレイヤーだ」

 小名木川会長はいった。

「これだけレベル差があると、仮になにかあってもどうにもならないと思うけど。

 それでも、警戒しておくに越したことはないと思う」

「具体的に、なにを警戒していらっしゃるのですか?」

「PK。

 プレイヤーキラーだよ」

 小名木川会長は、結城紬の問いに答えた。

「これまで前例がないんでなんともいえないが、高レベルの存在を害すればそれだけ大量のポイントが手に入る。

 そんなことを考える馬鹿が、今後出て来ないとも限らない。

 仮にその置きがあったとしても、レベル九十九の結城さんが傷つくことはまずないと、そう思うけど」

「ああ、なるほど」

 結城紬は、ぱん、と両手を合わせた。

「会長の危惧は理解しました。

 しばらく警戒を強くする、のはいいんですけど。

 それ以外に、もっと単純な解決法もありますよ」

「腹案があるんなら、聞こうか」

「簡単です。

 しばらく、時間を定めて、わたしが誰からの決闘でも受けると、そう通達すればいいんです」

 結城紬は、あっさりとそういい放つ。

「何名かの方と対戦すれば、それ以上こちらを狙う人はいなくなるか、と」

「わからせる、わけか」

 常陸庶務も、そういって頷く。

「案外、いい方法かもな。

 他人の目がある場所で徹底的に何人かぶちのめせば、逆らうやつもいなくなるだろうし」

「それと、ですね」

 結城紬が立ちあがり、応接セットのそばに、倉庫の中からある物体を取り出して、置いた。

「さっきのが終わった時、こんなのが出て来たんですけど。

 これ、なにかわかります?」

「ユニークジョブ聖女カンスト記念品、だそうです」

 鑑定スキルを持つ横島会計がその物体を一瞥して、説明する。

「鍵もかかっていないし、罠もないようです。

 そのままあけて中身を確認してみては?」

「わぁ」

 大きな宝箱をあけた結城紬は、感嘆の声をあげる。

「こんな風になっているのですね。

 服と、帽子みたいなの。

 それに、杖と上着、ですか」

「聖女専用装備一式、のようですね」

 横島会計が鑑定結果をざっくり伝える。

「華美になりすぎずシックなデザインも魅力ですが、それ以上に性能がちょっとヤバいです。

 すべてのパラメータに最低でも二桁以上のプラス補正がついています。

 今の結城さんがこの装備をすべて身につけたら、全プレイヤーが束になってかかっても傷ひとつつけられないでしょう」

「なにしろガイコツ一万体撃破した人だし、今さらたった百五十名のプレイヤーでどうにか出来るってことは、ないよな」

 常陸庶務も、その言葉に頷く。

「いっそのこと、これ着た状態で決闘したら?」

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