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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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上位職、解放

「ちょっと待て」

 彼方はそういって、珍しく眉間に皺を寄せた。

「もう一度、いってくれ」

 そろそろ昼の休憩を終え、午後の作業を再開しようかな、とか思っているときのことだ。

『だからな』

 出先から連絡をくれた恭介が、先ほどと同じ内容を伝えてくれる。

『いろいろあって、ジョブ固有スキルの教授法ってのが判明して、それを試してみたら、上位職のジョブがアンロックされた』

「……その文章だけで、すでにいくつか疑問が出るんだが」

 彼方は深呼吸してから応答した。

「順番に、詳しく説明して貰おうか。

 あ、ちょっと待って。

 込み入った内容みたいだから、メモの用意をする」

 彼方は急ぎマーケット画面を開き、適当にメモ帳とペンを購入し、メモ帳をテーブルの上に広げる。

「まず第一に、ジョブ固有スキルの教授法、ってのはなんだ?

 ジョブ固有スキル、ってのは、わかる。

 その教授法ってのは、どうすれば解放される?

 その条件を知りたい」

 何度か訊き返して確認したり、といった作業を繰り返し、彼方はメモを整理する。

「次。

 上位職のジョブ、か。

 その解放条件がわかった、ということだったな?

 それについて、詳しく教えてくれ」

 これについても、詳細を何度も確認しつつ、彼方はメモを整理する。

 最後に、整理したメモの内容を自分で復唱し、恭介に間違いがないか確認した。

「ようし、わかった」

 最後に彼方は、そういって恭介との通話を終える。

「この件については、おれから会長の方に伝えておく」


「ふう」

 テーブルの上に顔を伏せて盛大に息をついた。

「また、あの人がなにか見つけたんですか?」

 何事かと見守っていた魔法少女隊三名を代表して、仙崎が質問した。

「聞いての通り、ジョブ固有スキルの教授法と、上位職を解放する条件が判明した」

 彼方はどこか気の抜けた顔をして答える。

「まあ、判明しても条件がかなり厳しいそうなんで、誰にでも真似できるってわけではない。

 と、思う」


『……また、お前らかよ』

 生徒会に連絡を入れると、なんとも形容しがたい感情を滲ませた生徒会長に繋げてくれた。

 どうも生徒会では、トライデントからの連絡は、要件を告げずとも無条件で生徒会長に繋ぐようになっているらしい。

「また、ぼくたちです」

 彼方はいった。

「お気持ちはお察ししますが、そちらの耳に入れていた方がいい事実が判明したので、こうして連絡を入れてます」

『で、今度は何事だ?』

「恭介が、ジョブ固有スキルの教授法と、上位職を解放する条件を発見しました」

『……すまん。

 今、なんて?』

「ジョブ固有スキルの教授法と、上位職を解放する条件、です。

 ジョブ固有スキル、って単語の意味は、わかりますか?」

『まあ、うっすらと』

「通常の回復術とか魔法、結界術などのスキルは、PPを消費して購入することが可能です。

 それが出来ない、特定のジョブに最初から付属するジョブのことを、ジョブ固定スキルと呼びます」

 彼方はゆっくりとした口調で説明した。

「例をあげると、恭介のジョブ、狩人の場合は、最初から気配絶ちというスキルが使えて、これは、他のジョブの人がおぼえる術はありません。

 これまでは、ありません。

 でした」

『他のジョブでも、別のジョブの固有スキルをおぼえる方法が判明した、ということでいいのか?』

「その理解で正しいはずです」

 ここで小名木川会長は一度小さくため息をついた。

『よし、いいぞ。

 あ、一応、このやり取りは録音しているから、そのつもりで。

 こっちにもわかりやすく、その教授法とやらを説明してくれ』

「まず、スキルを教える側と教えられる側、その双方に、とっても仲良くなってもらいます」

『ん?』

「次に、非常に仲のいい二人が手を繋いで、ジョブ固定スキルのナニガシが欲しいと、明言?

 宣言、して貰います」

『んん?』

「すると、スキルナニガシの教授をおこないますか?

 といったメッセージが、二人の視界に表示されます。

 ここで、二人してYESと選択すると、ジョブ固有スキルの教授が可能になります」

『んんん?

 ちょっと待て。

 いや、なんというか一番最初の条件、おかしくはないか?

 いろいろと。

 その、とっても仲良く、ってのは具体的にどの程度になるんだ?

 基準がなんとも曖昧に思えるんだが』

「おっしゃりたいことは、よーくわかります」

 彼方は深々と頷いた。

「ぶっちゃけ、ぼくも同じ気持ちです。

 ですがその辺のことはぼくらからはなんともいえないので、システムにでもお訊ねください」

『いや、そうかも知れんけど』

 小名木川会長は困惑しているようだった。

『あー、ちなみに、だな。

 その教授を成功した二人は、どれくらい仲がいいんだ?』

「一言でいうと、共依存バカップルです」

『は?』

「共依存バカップルです」

 彼方は律儀に同じ単語を復唱した。

「あの二人の関係は、そう表現するのが一番しっくりきます」

『……ぅおぅ』

 小名木川会長はなんともいえないうめき声を伝えたあと、何秒か絶句した。


『いやでもそれ、再現性とか、確認するの滅茶大変じゃないか?』

「大変、ですよねえ」

 彼方は、頷く。

「別に恋人でなくても、同性同士でも、ある程度仲がよくて気心が知れた間柄であれば、成功するのかも知れませんが」

 ゲームでいえば、「好感度マックス!」とか「絆システム最高潮!」的なノリになるんだろうな。

 と、彼方は思う。

 だが、リアルでそんな関係になっている二人を見つけるのは、とても苦労しそうな気がした。

『いや。

 それにしたって、なあ』

 小名木川会長は、なにやら意味のない単語を呟いている。

『ああ、わかった。

 こちらではどうにもならなそうだが、この件についてはわかった、ということにする。

 で、もうひとつの方だが』

「はい。

 上位職の件ですね」

 彼方は続ける。

「こちらは簡単です。

 そうして、他のジョブ固有スキルを身につけると、上級職への転職が可能になるようです。

 解放される職種は、おそらく、身につけたスキルによって変わってきます。

 今回の馬酔木恭介の場合は、狙撃手と野戦士の二種、うちの姉の場合は、忍者とくノ一が解放されました。

 ただ、それ以外のも、一定以上のレベルにならないと転職不能な場合もあるようです。

 うちの姉は、ジョブを変えるための選択肢が増えましたが、今の時点では実行出来ないといっていました」

『転職する可能性は得たが、資格条件のすべてはまだ満たしていない、ということか?』

「おそらくは、レベルがネックになっているのかな、と。

 今、うちの姉は十四、いや、十五になったとか、いっていましたか。

 だから、レベル二十か三十か、とにかくもっとレベルアップしたら、上位職への転職が可能になるかと予測しています」

『こちらはまあ、わかりやすいな』

 小名木川会長はいった。

『それで、馬酔木恭介は、もう上級職に転職したのか?』

「あ、はい。

 先ほど連絡した時は、まだ少し悩んでいたようでしたが」

 彼方は答えた。

「あいつは多分、狙撃手の方を選択すると思います」

『そう予測する根拠は?』

「狙撃手は、レベルアップ際に、器用さと運のパラメータがあがりやすいジョブです」

 彼方は根拠を述べる。

「野戦士も結構使い勝手がよさそうなんですが、運のパラメータが成長可能なジョブは、今のところ、狙撃手だけなんですよね。

 ぼくも詳細を知らない未知のジョブが、どこかにあるかも知れませんが」

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