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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
チュートリアル篇

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生徒会のミーティング(二)

 三日目、AM8:00。


 生徒会の招集により、パーティの代表者がだだっ広いスペースに招集された。

 生徒会執務室が入っている建物の一階部分、往事は倉庫だったのではないか、といわれるスペースだった。

 広いだけではなく天井も高く、そこに折りたたみ椅子、折りたたみ机、照明、ホワイトボードなどが設置され、五十名を超えるパーティ代表者がそこに座っている。

 五十余名。

 生徒会が取得できる情報によると現在稼働中のパーティ数は八十を超えていて、そのすべての代表者宛に招集の連絡を入れたのだが、実際にここに現れたのはこの人数だった。

 招集の連絡はトライデントと魔法少女隊にも届けられていたが、「今日やることがあるんで」、「遠いからパス」との理由により両者とも欠席している。

 急な呼びかけに応じてこれだけの人数が集まった、ということをまずは喜ぶべきだろうな。

 と、小名木川会長は思う。


「朝早くから急な招集に応じて貰い、ありがたく思います」

 マイクをオンにして、小名木川会長はその場に居る全員に呼びかけた。

「生徒会を代表する小名木川といいます。

 生徒会とは、全プレイヤーの生命を守ることを目的としたパーティであると思ってください。

 自分の意思ではなく、システム側から指名された人員で構成されています」

 一応、システム内にあるヘルプ情報に記載されている情報なのだが、口頭でも伝えておく。

 あの手の情報は、チェックしない人はとことんチェックしない。

 知らない人は、知らない。

 そういう前提で進める方が、なにかと手間が省けるのだった。

「生徒会は現在、すべてのプレイヤーに対して、いくつかの危機感を抱いています。

 本日は、その危機感をいくつか軽減するための施策についてご説明申しあげるため、この場にお集まりいただきました。

 なお、この場のやり取りはすべて公開されており、録画動画もシステムを通して参照出来るようになる予定です。

 皆さん、そのつもりでご発言ください」

 そういって小名木川会長は頭上を飛んでいるドローンのひとつを指さした。


「本題に入る前に、昨日、あるパーティが神格、まあ、神様かそれに準じた何者か、ですね。

 その神格と、接触しました。

 なんとか無事に切り抜けたそうですが、そうした存在は扱いが難しいとのことで、いくつかの注意事項を伝えておきたいと思います」

 この話題になった途端、それまで私語がなかった場が急にざわめきはじめた。

「えー、静かに。

 神格遭遇事例については、別紙資料により詳細を報告しています。

 また、神格と認定したのは、遭遇した当事者のみならず、システムも、ですので。

 その点についてのご質問はお控えください。

 当生徒会としましては、もしも皆様がそうした神格と遭遇した場合、最悪の事態になるための注意事項を伝えるのみとさせていただきます。

 ひとつ、敬意を持って接すること。

 タメ口など厳禁です。

 ひとつ、そうした存在とは可能な限り距離を置くこと。

 触らぬ神に祟りなし、といいますね。

 ひとつ、そうした存在からなにかを乞われたとしても、それに応じないこと。

 こちらか一方的にお供えを渡すことについては、問題ないそうです。

 以上、三点になります。

 今後、誰かがこうした神格と接触し、なんらかのトラブルに見舞われたとしても当生徒会ではなんの手助け出来ませんので、ご注意ください。

 ここでの行動は、だいたい自己責任です。

 なにかしでかしても、尻拭いしてくれる人はいません」

「質問、よろしいか?」

 男子生徒が、片手をあげて発言した。

『坂又どすこいズ代表の坂又氏です』

 イヤホン越しに、書記の小橋が相手の素性を教えてくれる。

「どうそ」

「その、神格に合ったとかいう当事者の名は、公表しないのですか?

 また、その存在は本当に神様なのですか?」

「個人情報に該当すると判断し、当事者の氏名はあえて公表していません」

 小名木川はいった。

「また、神格と認定したのは当事者自身の主観だけではなく、システムも、ですので。

 当生徒会としましては、システム以上に公正な判定者はいないと、そう判断しています」

 完全に納得した風ではなかったが、その坂又という生徒はそれ以上の追求はして来ない。

 そのままパイプ椅子に着席する。

「この件について、他になにか質問がある方はいらっしゃいますか?」

 小名木川会長は呼びかけた。

「それでは、次に今回の本題に移ります」

 ここで小名木川会長は、一度深呼吸した。

「当生徒会は、簡易トイレ、簡易シャワー、プレハブ小屋などを、希望するパーティに、無償で提供します」

 会場内が、どよめいた。

「質問! 質問!」

『女子寮チーム(仮)代表の樋口氏です』

「どうぞ」

 小名木川会長は、大きな声で叫びつつ挙手した女子生徒を指名する。

「あ、あの!

 本当に、無償で、なんですか!

 それと、なんで今になって!」

「福利厚生の一環であると考えてください」

 小名木川会長は、あえて静かな声を出した。

「正直なこといっちゃいますと、困るんですよね。

 昨日のような武力衝突未遂が今後もあるようだと。

 当生徒会の目的は、全プレイヤーの安全を確保すること、です。

 それなのに、そのプレイヤー同士で勝手にぶつかり合って死傷する。

 なんて事態を、歓迎出来るわけないでしょ」

 小名木川会長が淡々とした口調で続けると、女子寮チーム(仮)代表の樋口はだんだんとうつむいてくる。

「それに、プレイヤー全体の衛生状態を保つことも、長期的に見れば当生徒会の目的に適います。

 だって、誰だって嫌だと思いますが。

 そこいらを歩いている人が、普通にノミやシラミにたかられている状態、ってのは。

 これまで、そこまで気を配る余裕はなかったのかも知れませんが、今後は定期的に体を洗い、全プレイヤーが衛生状態を保つことを当生徒会は望んでいます」

「だったら、なんで!」

 樋口は叫んだ。

「なんで今なのよ!」

「当生徒会の誰も、これまでそのことに気がつかなかった、からです」

 小名木川会長は答える。

「だって、まだ今日で三日目ですよ。

 今、三日目の朝。

 いきなり生徒会員と指名されて右も左もわからない中、ここまでやって来た。

 配慮がいき届かないところは、他にもいっぱいあると思います。

 他にもなにか気づいたことがあったら、当生徒会までご一報ください。

 当生徒会により優先順位をつけて、順番に対処させていただきます」

「あー、いいかな?」

『酔狂連の三和氏です』

「どうぞ」

 小名木川は、その目が細い、細身体形の男子生徒を指名する。

「そうした設備は、なんでパーティ単位での提供なんでしょうか?

 特にシャワーは、女子寮の人たちがやっているような風呂を無制限に提供するとか、出来ないものなんでしょうか?」

「公衆浴場、まあ、銭湯ですね。

 そうした施設の設置は、当生徒会でも真っ先に検討しました。

 しかし、いくつかの問題点が見つかり、それを解決する目処が立たなかったため、今回は見送らせていただきました」

「その問題点とは?」

「排水、ですね」

 小名木川は説明する。

「この市街の、現存している部分は、主に石造りであり、あまり排水事情がよくありません。

 道の端に溝が切ってある場所も見受けられますが、そのほとんどが石や砂利、その他のゴミに埋もれていて、排水溝として機能していません。

 それで当生徒会としましては、まずは簡易シャワーを配布して、その排水を各パーティが適切に処理出来るものか、様子を見ることにしました。

 簡易トイレと合わせて、当生徒会は設備は無償で提供しますが、その管理や維持については実際に使用するパーティに委ねる予定です。

 先行して風呂場を設置したあるパーティは、排水のことを考慮せず街路の一部を水浸しにしているようです。

 当生徒会としましては、これまではともかく、今後はこうした事態を看過することはありません。

 自分らで使用した設備の後始末は、自分たちでしてください。

 それが出来ないようであれば、最悪、該当施設の使用を禁止させていただくこともあり得ます」

「なるほど」

 三和は頷いた。

「設備の管理は自己責任で、と。

 あと、排水の問題が大きいということですね?」

 この生徒は、いつの間にかメモ帳を取り出してそれになにやら書き込みをしている。

「排水は、どうにか解決可能だと思うんですよ。

 土魔法とかで溝を掘って、排水経路を作るとか。

 ただ、トイレの汚水の処理は、今後どうするつもりでしょうか?」

「まず前提として、各パーティに無償で提供したトイレについては、各パーティで解決してください」

 小名木川会長は答えた。

「その程度のことが出来ないパーティには、そうした設備を提供することが出来ません。

 次に、一般論として、その手の汚水は一度倉庫の中に入れて運び、適当な場所、たとえば、森の中まで出て、そこに穴を掘って埋める、などの処理が可能かと思います。

 それ以外に、下水処理用の浄化槽というのが、マーケット内において販売しているようです。

 現在当生徒会が各所に設置し、無条件に使用可能なトイレについては、今後も当生徒会が後処理を担当します。

 システムによると、この世界に転移させられたプレイヤーは百五十名。

 その人数分の下水を集中的に管理する設備を作り、維持することは、少なくとも当生徒会では無理です。

 基本的には、自分たちで出した分は自分たちでどうにかしてください」

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ヒス女は上から黙らせるに限る、古事記にもそう書いてある
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