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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
接触篇

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移動と見通し

「とりあえず、システムのヘルプさんに口頭で質問してみて、それでもわからなかったら、こっちに訊いてね」

 ひとつの質問に答え終わる度に、遥はそう締めくくった。

 システムのつき合い方も、システムと関わるようになってからまだ日が浅い、向こうの人たちのにとっては「まだよくわからない」事柄に含まれるのだろう。

 思いついたことを片っ端から試してみる年少組の方が、システムを使いこなせているように見えた。

 その年少組はといえば、外が寒いからか、どうもプレハブに籠もってマーケットで勝手に購入した菓子パンやらジュースやらを暴食して、仲間うちで騒いでいるようだった。

 まだ、昨日の興奮が冷め切っていない様子で、総じてテンションが高い。

 一度、プレハブまで様子を見にいった恭介は、

「あと少しすると仕事がはじまるから、騒ぐのもそれに差し支えがない程度にしておけよ」

 と忠告しておく。

 その言葉がどこまで届いているのか、定かではなかったが、一応、

「はーい」

 と、こうした際の決まり切った返答があった。

 この子たちにしてみれば、昨日の出来事はおそらく生涯初ともいえる成功体験だったはずだ。

 多少、浮かれるのも仕方がないか。

 などと、恭介は思う。

 ただ、食べ過ぎなどが原因で、肝心の時に体調を崩すのだけは勘弁して欲しかった。


「今日明日中には、向こうのチュートリアル、終わりそうなんだろ」

 途中、酔狂連の八尾が、連絡してきた。

「すまないな。

 やはり、小さな子たちの装備は、間に合いそうにない」

「時間はかかると聞いていましたから、お気になさらず」

 恭介はそう答える。

「それよりも、チュートリアルが終わったあとのことなんですが。

 何名か、そちらで引き取って雇って貰えそうですか?」

「ああ、誰でもってわけにはいかないが。

 こちらとしても、人手はほしいからな」

 八尾は、そう答えた。

「手先が器用なのとか、頭がよく回るのとか。

 そういう人材がいれば、よろこんで引き取るよ」

「そうした資質を見極められるほど、つき合いが深いわけでもないですねえ」

 恭介は、そう答えておく。

「ただ、どうも今の様子だと、大半はそのままこちらで働きたい様子なんで。

 今回の件が落ち着いたら、一度希望者と面接とかした上で、そちらでも働けそうな人は遠慮なく引き抜いてください」

 恭介たちとしても、面倒を見る人数が減るのはありがたかった。

「面接して、な」

 八尾は、そう応じる。

「あと、その時に簡単なテストなんかもするかも知れない」

「ペーパーテストは、あまり意味がないかも」

 恭介は、そう答えておく。

「あの人たち、読み書きが出来る人がほとんどいないようだし。

 日本語となると、まったく理解出来ないと思ってください」

「そうか。

 そうなんだろうな」

 八尾はいった。

「こちらが求めているのは、もっと本質的な意味での頭のよさなんだが。

 思考の平明さというか、偏りのなさというか。

 まあ、ペーパーテスト以外で試す方法を、今から考えておくわ。

 言葉やなんかは、実際に働くようになってから、時間を掛けておぼえて貰えばいいだけだし」

 どうやら、しゃべり言葉でコミュニケーションが可能なら、どうにか従事可能な仕事を用意するつもりのようだった。

「最初のうちは、特定のスキルだけ使いこなせれば十分だろう」

 というのが、八尾の意見であるらしい。

 酔狂連で長く働くためにはそれなりの資質が必要なようだったが、初歩の段階からはそこまで高度なことは求めない。

 と、いうことらしかった。


「ああ、欲しいね、人手」

 ついでに、生徒会にも打診してみると、小名木川会長はそう即答した。

「まず思いつくのが、土木とか建築とか。

 こっちの百五十名から見繕うだけでは、明らかにマンパワーが足りなくなる。

 そういうのに慣れている人材、募集すれば来るかな?」

「実際に募集してみないことには、なんとも」

 恭介としては、そういうしかなかった。

「結局は、待遇次第って気もしますし」

「ポイントだけなら、結構払えるぞ。

 うち、今ポイントが余っている状態だし」

 小名木川会長が、そう答える。

「昨日も、おそらくはセッデス勢に協力したせいだと思うんだが、一日でかなり生徒会のCPが増えていた。

 どうやら、あちらのチュートリアルに協力することも、CP発生の対象になるらしい」

 CP、コミュニティポイント。

 今では実質的には、「システム上でやり取りできる貨幣」的な扱いになっているが、どうもこのCPは、社会資本の充実度を数値化したものなのではないか。

 などと、恭介は思いはじめている。

 その「コミュニティ」とは、恭介たち百五十名のみに限定されるわけではなく、セッデス勢やフラナなど、プレイヤー全体の包括した概念であるようだ。

 昨日一日でCPが増えた、ということは、つまりは、システムがそう判断している、ということなのだろうな。

 と、恭介は思う。

「無事に今回のチュートリアルが終わったら」

 恭介は、そう続けた。

「うちの拠点内でも来ると思います。

 建築ラッシュ」

「だよなあ」

 小名木川会長は、ため息をついた。

「これまでは、百五十名しかいない中で、小さな社会としてどうにか機能する、最低限のインフラ整備しかしてこなかったんだ。

 余力がそんなになかった、ってこともある。

 今でもプレイヤーの半分以上は、プレハブ住まいだ。

 それがいきなり、こっちに来る人数が大幅に増えちまって。

 受け入れ体制も、その他のなにもかもが間に合っていない。

 一応、今日、そちらを通過してセッデス勢の城塞になだれ込んでいったフラナのことも報告が入っているんだが、あれ、下手するとうちらの百五十名を上回る人数が動いているぞ。

 詳しい名簿とか、整備する人も居ないようだから、あえて確認していないが」

 あの移動はあくまで、フラナのセッデス勢との間で交わされた協力体制であり、こちらの生徒会側では関与しない。

 というのが、生徒会の方針であるらしい。

 ま、下手に手を出しても、余計な手間や仕事が増えるだけだろうしな。

 と、恭介も思う。

 あくまで拠点内にある転移魔法陣を利用しての移動は、

「便宜上、通過しただけ」

 であり、こちらの百五十名のプレイヤーとフラナとは、まだ直接的な交渉や取り決めなどは正式におこなっていない。

 という体裁を、保っておきたいらしい。

「土木と建築だけではなく、人が増えるとどうしても煩雑な仕事が増えるはずですから」

 恭介は、一応、意見をいっておいた。

「ハローワーク的な、求人する側と仕事を探す人を結ぶ仕組みは、早めに整備しておいた方がいいと思います。

 そういうのは、おそらくは生徒会の管轄になるんだろうし」

「そうだよなあ」

 小名木川会長は、情けない声を出した。

「面倒だからって放っておいたら、ブラックな労働環境とか出まくるだろうし。

 こちらの事情に合わせた最低賃金とか労働環境とかも、こちらで提示する必要があるだろうし。

 ああ、検討することが多くて、頭が痒くなる」


 そうこうするうちに、恭介たちもセッデス勢の城塞に移動する時間となった。

 集合時間に遅れたり欠員が出来たりすることもなく、昨日と同じメンバーが揃ってプレハブ群前の広場に集まる。

 昨日は中央広場からセッデスの城塞に出たが、今日はここから直接城塞まで移動する形だった。

「ええと」

 出発前に、恭介は全員に向かっていった。

「いろいろあって、昨日よりもかなり全体の参加人数は増えましたが、われわれがやること自体は昨日とまったく変わりません。

 あ、おれたちトライデントの四人は、状況によっては途中で救護活動から抜けるかも知れませんが。

 昨日も同じような感じだったので、特に問題はないかと思います。

 くれぐれも無理なことはせず、自分自身の安全を第一に考えて、行動してください」

 恭介たちトライデントが率いるこの人たちは、あくまで負傷者を手当てするための人員であり、実働戦力には含まれていない。

 その、はずだった。

 向こうに着いたら、そのこともセッデス勢司令部にもう一度、確認しておこう。

 と、恭介は思った。

 そして、恭介たち三十名もセッデス勢の城塞に移動する。

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>ああ、検討することが多くて、頭が痒くなる 痛くなるんじゃなくて、痒くなるんかw
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