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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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彼方の決闘

「本当に、この人数でいいのか?」

 坂又どすこいズのリーダー、坂又が、彼方に確認する。

「総勢で、十名になるんだが」

「こっちは、一応、上位職なんで」

 彼方は、平然とした態度を崩さすに返す。

「試したいこともあるし、むしろこの戦力差で、ちょうどいいくらいです」

「手加減をするつもりは、ないぞ」

「それでお願いします」

 彼方は、そういって頷く。

 今回、彼方が決闘の対戦相手として選んだのは、坂又どすこいズとSソードマンの二パーティになる。

 申し込みが多かったこともあり、一度の対戦でこの二パーティ分を消化しようとしていた。

 決闘デュエルシステムには、人数制限がない。

 システム的には、一対百四十九という無茶な人数比の対決も、可能ではあった。

 坂又どすこいズとSソードマンの二パーティは、どちらも構成員のレベルは軒並み九十を超えており、すでに複数のダンジョン攻略を完了している。

 つまり、トライデントには及ばないものの、それに追随する上級パーティである、と、プレイヤー間でも認識されていた。

 どちらも、決して弱いパーティではないのである。

 二パーティ十名と彼方は、中央広場の端と端に分かれて、そこで待機する。


「開始していいですか?」

「ああ、頼む」

 彼方が確認して、坂又が答える。

 次の瞬間、周囲の景色が一瞬ブレたような気がして、十一人のプレイヤーは、仮想空間の存在となる。

 決闘システムが、起動したのだった。

 どちらも、すでに完全武装した姿だった。

 坂又どすこいズの六人は、左右に散開して、それぞれの倉庫から重火器を取り出し、彼方に銃口を向ける。

「さすが」

 Sソードマンのゆずりは夜が、パーティリーダーの奥村にいった。

「対応が、素早いねえ。

 こっちは、どうすんの?」

「しばらく様子見だ」

 奥村は即答する。

「あれも、この程度でどうにかなるタマでもないだろう。

 おれたちの出番は、このあとだ」

 その辺の判断は、意外に冷静なんだな。

 と、楪は思う。

 坂又どすこいズが、一斉に発砲する。

 得物は、ライフル、マシンガン、無反動砲など、様々であった。

 が。

「わ、すごい」

 Sソードマンの内海が、感嘆の声をあげる。

「あの盾で、全部受けきっている」

「おまけに、びくともしてないし」

 美濃も、そう続けた。

「あいつは、辰のダンジョンマスターのブレスを、まともに受けても無事だったそうだ」

 奥村がいった。

「この程度では、どうにもならんだろう」

「あの、ひたすらデカいドラゴンか」

 美濃は、なにごとか考え込む表情になる。

「だったら確かに、戦力比十対一でちょうどいいかも。

 いや、こっちが、劣勢なくらいかも」

 辰のダンジョンマスターは、その首が、一時期この中央広場に公開されていた。

 そのため、すべてのプレイヤーが、その偉容を知るところとなっている。

 当時から、

「これほどのモンスターを、たった三人で仕留めるとは」

 と、呆れ半分に感心されてはいた。

「あのトライデントの一角だもんね」

 内海が、誰にともなく、そう呟く。

「十人でまとめて、全力で向かっても、勝てるかどうか」

 坂又どすこいズもそうだろうが、このSソードマンも、決して彼方というプレイヤーを過小評価はしていなかった。


「いくぞ、お前ら!」

 坂又が、吠える。

「打ち合わせ通りだ!

 囲め!」

「おう!」

 坂又どすこいズの六人が、彼方の方に、一斉には駆け出す。

 彼方はといえば、その場に立ったまま、悠然と構えていた。

「余裕ありすぎて、ムカつく」

 その様子を見た内海が、不機嫌そうな声を出す。

「あいつら、支援する?」

 美濃が、他のメンバーに確認する。

「もう少し、待っておけ」

 すかさず、奥村がいった。

「すぐに、やつらに欠員が出る。

 おれたちは、そこに入ればいい」

 その言葉が終わらないうちに、彼方を囲んだ坂又どすこいズのうちの一人が、空高く打ちあげられている。

「ええ!」

 楪が、大きな声をあげた。

「今、盾で殴ったの!

 それであんな、吹っ飛ぶの?」

 彼方は、両手に別の盾を持って、自分を取り囲む坂又どすこいズの面々を、一人一人順番に、盾で殴り返している。

 坂又どすこいズは、武道経験者が集まったパーティであると、普段から自称していた。

 事実、彼方を相手にしている坂又どすこいズの動きは、他のプレイヤーたちよりは、よほどキレがよく、様になっている。

 しかし、その上で。

 たった一人で相手にしている彼方は、一人一人の攻撃が当たる瞬間に合わせてカウンター気味に盾をつきだし、攻撃者を弾き飛ばしていた。

 打点によって、空に浮いたり、横一直線に長距離を飛ばされたりと、実際の様相は様々であったが。

 いずれにせよ、彼方が、それぞれの攻撃が来るタイミングを把握した上で、盾で迎撃し続けていることは間違いがない。

「いや、あれ、いろいろおかしいだろ!」

 内海が、そう叫んでいる。

「防御力がある、硬いっていうんならまだわかるよ!

 そういうジョブだって納得が出来る!

 でもあれ、そういう次元じゃないし!」

「あのトライデントの一人だぞ!

 弱いわけがあるか!」

 奥村が叫び返す。

「やつらの戦歴を見てみろ!

 そのうちどれかひとつとっても、ひたすらおかしいんだよ!」

 恭介との決闘を経験しているから、というわけでもないのだが。

  奥村は、決して、トライデントの三人を過小評価していなかった。

「でも、マジかー。

 って、感じ」

 内海が、ぼやく。

「坂又たち、少なくとも対人戦に関しては、プレイヤー内でも随一って評判だったのに」

「見た感じ、いいように弄ばれているね」

 楪は、頷く。

「で、リーダー。

 うちらは、あの化け物に、どういうアプローチすんの?」

「決まっている」

 奥村は、自分の剣を鞘から抜いていった。

「正面から、真っ向勝負だ」

「マジかー」

 内海が、またぼやいた。


 坂又どすこいズが、一人、また一人と姿を消していく。

 彼方による直接的なダメージ、ではなく、何度も吹き飛ばされ、地面に叩きつけられたダメージが累積して、死亡判定が出たようだ。

 坂又どすこいズのメンバーは受け身が取れる者が多かったが、それも、五メートルとか十メートル以上吹き飛ばされた末、地面に叩きつけられることまでは想定していない。

 いくら高レベルのプレイヤーがタフであるとはいっても、その耐久性にも限界はあった。

「打撃系は避けられるか弾かれるかするものだと予想していたが」

 坂又はいった。

「まさか、組みつくことさえ、出来ないとはなあ」

「いや、盾が使えれば、こうするでしょ」

 彼方は、平然と答える。

「武道とか格闘経験者と、まともに接近戦をするはずがない。

 怖いし」

「怖いとか、君がいうなよ」

 坂又は、そう答える。

「どちらかというと、君、いや、君たちの方が、恐怖の対象だ」

「まあ、そうでしょうね」

 彼方は、頷く。

「客観的に見れば、そうなると思います」

 一応、自覚はあるらしい。

「と。

 Sソードマンが動いたか」

 坂又は、背後を振り返って、そういう。

「しばらく、お手並み拝見といこうかな」

 軽く片手を振って合図をすると、残っていた坂又どすこいズがすっと彼方から距離を取る。

 なんだかんだいって、余裕があるじゃないか。

 その様子を見ていた彼方は、そう思った。

 多分、だが。

 この二つのパーティが即席で連携するほど仲がよいとも思わないので、お互いに足を引っ張って、邪魔をしないようにとの配慮から、だろうけど。

 彼方には、そんなことよりも、この場ですぐに指示を徹底出来る、坂又の統率力の方に感心している。

 一方、Sソードマンに注意を向けると、やはり、真っ先に突っ込んでくるのは、リーダーの奥村だった。

 そのこと自体は、意外でもないのだが。

 あー、ステルスモード、出来る人が、居るのかあ。

 こちらにも、彼方は関心をする。

 むしろ、馬鹿正直に突っ込んでくる奥村を陽動として、他の面子が勝手に動いている感じだろう。

 これは、これで。

 練習には、なりそうかな。

 と、彼方は思う。

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