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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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ジョブ固有スキルと武器

 少し時間が経ち、森に出ていた遥が帰ってくる。

「進捗、どう?」

「ほんのちょっと、コツがわかってきた」

 問われて、恭介が答える。

「ただ、まだまだ掴み切れていない感じ、かなあ」

「そんじゃあ、相手をしましょうか」

 そういって遥は、倉庫の中から適当な木の枝を二つ、取り出す。

「相手が居ないと、稽古にもならないでしょ」

 そのうちの一本を、恭介に投げてよこした。

「怪我、しないかな」

 木の枝を受け取りながら、恭介がいう。

「大丈夫でしょ。

 いざとなればよけるし」

 遥は、気軽な口調で返す。

「これでも、全プレイヤーの中でも最速だと思うよ」

 だろうなあ。

 と、恭介も思う。

 少なくとも接近戦では、遥に敵う気がしない。

「それでは、遠慮なく」

 二人は、それぞれ枝を構えて対峙する。

「いくよ」

 次の瞬間、恭介の枝を、遥の枝が受け止めていた。

「お」

 遥はいった。

「今のはちょっと、驚いた。

 剣士のスキル?」

「足運び、って名前らしい」

 一度、遥から距離を置いて、恭介が答える。

「なるほど。

 実戦で使うと、こうなるのか。

 これは、確かに剣士のスキルだな」

 相手の懐に飛び込み、あるいは、逆に相手の攻撃範囲から逃れる。

 それが出来ないことには、そもそも戦いにもならない。

 ジョブ固有スキルなだけあって、もの凄く基本的な動作だった。

 地味、ではあるのだが。

「このスキル、おそらく、だけど。

 誤解されているか、過小評価されていると思うんだよなあ」

 恭介はいった。

「剣士のジョブで伸びた人って、また聞いたことないし。

 このスキルを軽視して、使いこなせていない人が多いんだと思う」

「剣士って名前だと、どうしても斬ったはったが本分だと思い込むだろうしね」

 遥も、その言葉に頷く。

「それは、間違いではないんだけど。

 でも、そこまで持っていくのにも、技術スキルは必要、と」

「特にこちらでは、対人戦ばかりではないし。

 敵の大きさや速度も毎回のように違うんだから、フットワークは大事だよな」

 恭介は、続けた。

「戦うにせよ、逃げるにせよ」

 ダンジョン内部のような環境だと、「逃げる」という選択も、重要になる。

「このスキルは、おぼえて使いこなせる方がいいな」

 と、恭介は結論した。


『寅のダンジョンが攻略されました』


 彼方と合流して、三人で自宅に入って、昼食を摂っていると、そんなアナウンスが脳裏に響く。

「お」

「あ」

 三人は、顔を見合わせる。

「あの四人が、成功したか」

「これで四つ目、だね。

 いや、三つ目に、なるのかな?」

 遥がそういったのは、最初に倒した戌のダンジョンマスターの分は、はたしてダンジョンを攻略したと見なされるのか、いまひとつ自信が持てないから、だった。

「やっぱあのダンジョン群、レベル八十後半以上推奨なんじゃない?」

「マスター戦は、九十以上は欲しいな」

「相性も、あるんだろうねえ。

 昨日のも、こっちに近接戦に特化したジョブがいたら、全然様相が違っていたかも知れないし」

「そう思うと、あの四人はよくやったよな。

 全員、魔術師で」

「たまたま、相性がよかったのかな?」

「かもね。

 ま、帰って来てからの報告を楽しみにしていよう」

 三人ともあえて口には出していないが、他のプレイヤーたちもレベルがあがれば、自然にダンジョン攻略に成功するものと予測していた。

 ここまで、身内の二パーティが成功して来たのは、たまたまレベルが高かったからだ。

 と、この三人は認識している。

 ランキングによると、レベル八十を超えたプレイヤーはぼちぼち増え始めているのだが、その後半からレベル九十に届くプレイヤーは、今に至るまで、なかなか増えない。

 モンスターを倒して得られるポイントと、レベルアップに必要なポイントが、そのあたりでミスマッチを起こしているのだろう。

 と、恭介は予想している。

 それくらい高いレベルになると、かなり大量のモンスターを倒さないと、なかなかレベルアップ出来なくなるのだ。

 その点、恭介たち三人は、節目節目でちょうどよい強さの相手が出てくれて、かなり順調にレベルアップして来た形になる。

 昨日のように、きわどい局面もあったが、基本的には運がよかったのだろう。

「そういえば、彼方。

 あんた、今、レベルいくつ?」

「昨夜、確認したら、九十七だった」

 遥が訊ねると、彼方は即答した。

「マスター戦ともなると、九十代後半くらいは、欲しいのかもなあ」

 恭介が、呟く。

「それくらいあった方が、余裕が出来る、というか」

「安全マージン、ね」

 遥も、頷く。

「それは、わたしも思った」

「レベルがカンストに近くならないと倒せないとか。

 難易度調整が、ちょっとおかしいよね」

「あるいは、このダンジョン攻略も通過点に過ぎず。

 レベルのカンストが最低条件になるような試練が、この先に用意されているとか」

「勘弁して欲しいね、それ」

「元の世界が理想郷だったとはいわないけど、こっちはこっちで足りないものが多過ぎるからなあ」

「まともな医療設備が欲しいって、前からいっているよね」

「文字通り、命取りだろ。

 モンスターの相手だけではなく、事故や病気もあるんだから」

「死んだら復活させて貰えるよ」

「だからといって、軽はずみに死んだり殺したりはしたくないよ、おれ」


「おお、居た居た」

 食事を終わった頃、岸見が訊ねて来た。

「昨日頼まれていた品、思って来たよ。

 剣と、打撃武器」

「いつも早いな」

 恭介がいった。

「こっちは助かるけど」

「なに、在庫に少し細工をしただけだしね」

 岸見は、そう応じる。

「手間としては、そんなに。

 どっちも、構造自体は単純だし。

 あ、あと、彼方くん。

 例の盾、見せて貰えない?

 ぼちぼち傷んでないかと思って」

「ああ、はい」

 彼方は倉庫から、デーモン族の大盾を取り出して岸見に預ける。

 岸見は受け取った大盾をいろいろな角度から検分しはじめた。

「室内で見ると、随分大きく感じるな、あの盾」

「全身を隠すような盾だから、もともと大きいよ」

 恭介の呟きに、遥が応じる。

「普段は、もっと開けた場所で使うことが多いのと、それに、大きさなんて気にしている余裕がないだけじゃない」

「違いない」

 恭介は、頷く。

「あの盾を出す時って、つまりは使う時だもんな」

 ほとんど戦闘時に限られているため、大きさなどに注意を向けているほど悠長な気分ではない。

「うーん。

 手入れを必要とするほどには、痛んではないみたいだねえ」

 しばらくして、岸見はそう結論し、盾を彼方に返す。

「今回は、かなりの激戦って聞いてたけど」

「彼方がほとんどの攻撃を受け止めていたな」

 恭介が、そう教える。

「タンクとしての役割をまっとうしていて、感心した」

「他人事のように」

 彼方は、盾を倉庫にしまいながら苦笑いを浮かべている。

「二人がステルスモードだったから、他にしようがないじゃないか」

「で、仕上がった武器を渡したいんだが」

 岸見が、続ける。

「使い勝手も、確認して貰いたいんだよね。

 重量バランスとか。

 室内で振り回すのもなんだから、外に出て貰えないかな」

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― 新着の感想 ―
ごめんなさい。寅のダンジョンでダンジョン6つめ(または5つめ)のほうが正しいです。
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