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高校生150名が異世界廃墟に集団転移したようです。みんなは戸惑っているようですが、おれたち三人は好きにやらせて貰います。  作者: (=`ω´=)
ダンジョン篇

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130/401

施工

 恭介たち三人が何日か卯のダンジョンにかまけている間に、拠点内ではいくつかの変化があった。

 一番大きいのは、人形と家屋が増えたこと。

 とはいえ、こうした家屋は住居用ではなく、物品を置くための実質物置といえた。

 一番大きいものは、木材を乾燥させるための小屋になるが、これは、これまでに伐採した生木や拾ってきた枯れ木などをとりあえず置いておく場所となる。

 サイズこそ大きいが、柱と屋根しかない吹きさらしの、粗末な建物だった。

 生木は、完全に乾燥させるとなると半年とか一年以上、平気で必要となる。

 その間、まったく雨が降らないわけもないので、屋根もあった方がいい。

 この世界は、日本と比べると空気も乾燥していて、雨の方も、転移してきてからこれまでに一度も降っていない有様であったが、用心に越したことはなかった。

 なにしろ、この世界、この場所の、年間降雨量を知る資料など、どこにも用意されていないのだ。

 同時に、森の中から拾ってきた、倒壊した木などの中には、十分に乾いているものなどもあり、こうした乾燥した木材は、別の小屋に分けて保管された上、順番に選任の人形たち数体によって薪にされている。

 三十センチ前後にのこぎりなどを使って分断する人形、分断された木を鉈で割る人形、出来た薪を所定の場所まで運んで積み上げる人形など。

 単純作業をする人形をそれぞれの部署に配置し、好きなペースで仕事をさせていた。

 こうした仕事は別に急ぐわけでもなく、長いスパンで成果さえ出せればいいわけで、単純作業しか出来ない人形に任せるのには適していた。

 森などに自生している木々は曲がりくねっていて節も多く、おおよそ建材には向かない。

 薪になるか、スキルによって人形の部材にするくらいしか、活用方法がなかった。

 いや、生産職である酔狂連の連中であれば、他にいくらでも利用法があるのかも知れないが、トライデントの三人はそこまで生産系のスキルを取っても習熟してもいない。

 結局、薪にして燃やす。

 という用途が、一番確実なのだった。


 その他に、魔法少女隊と酔狂連の住居に関しても、それなりのペースで進んでいるようだ。

 もっとも、後者の酔狂連に関しては、実際に足を運んで確かめたわけではなく、夕食の時などに聞こえてくる情報でそう判断しているだけ、なのだが。

 酔狂連はどうやら、自分たちの住居よりも人形たちが活動するための作業所を優先的に作っているらしい。

 こうした作業所は、住居よりは居住性は優先されていないが、雨露を凌ぐ程度の性能はあり、なにより、倉庫も兼ねていたので広めに作られていた。

 酔狂連は現在使用している作業の他に、もっと大きな作業所兼倉庫兼住居、といった態の建物の建築も計画しているようだったが、こちらにいついてはまだ実物は姿を現していない。

 用地の整備も含めて、もっと時間をかけてじっくりと取り組むつもりのようだった。


 魔法処女隊の方は、ぼちぼち形になりはじめている。

 型枠で壁や床の部分を囲ってコンクリートを流し込む、生コン打ち放し工法に挑戦しているようだった。

 工程が複雑で、それだけに素人が挑戦する方法ではないと、彼方が最初に除外した工法だったが、一階部分が完成している今の時点で、魔法少女隊の努力は報われている。

 ちゃんと鉄筋も組んでいたし、今のところ、外から見て、そうとわかる瑕疵は見当たらない。

 生コンを練ったり型枠に流し込んだりする作業に、例によって大量の人形が動員されていた。

 船の中に入れたセメントと水、土砂をこねるだけ、こねたセメントをネコと呼ばれる一輪車に乗せるだけ、ネコを手で押して型枠の中に中身を入れるだけ。

 と、いうように、作業を細分化した上で、人形に任せていた。

 魔法少女隊の四人は、そうした作業分隊を決めて具体的な指示をしたり、材料を用意したりする役割を担当する。

 今は出来あがった型枠にセメントを流し込む作業をしているが、鉄筋や型枠を組む工程にも人形を活用している、ということだった。

 こちらはこちらで、合理的にやるべき仕事を進めていた。


 恭介たちトライデントの住居はといえば、ここのところ遅々としか進んでいなかったが、それでも遅いなりに進んでは居る。

 彼方は自分たちの住居を作る工法として、最初にH形鋼で骨組みを組み、その後に床材や壁材を骨組みに貼りつけることを選んだ。

 壁や床の材料として、断熱性その他に優れた素材が開発されていることもあったし、投入可能な人力に限りがあったから、自然にそうした工法を選んだ形だ。

 H形鋼による骨組みはすでにほぼ完成しており、あとは床材や壁材などを固定する工程が残っている。

「なあ、本当にこれ、屋根にするのか?」

「大きさといい、材質といい、ちょうどよかったんだよ」

 足場代わりの結界に乗って、恭介と彼方はそんな会話をしている。

「防水性も十分だし」

「それはいいんだが、格好がなあ」

 恭介としては、気が進まなかった。

「ぐだぐだいってないで、さっさと終わらせよう!」

 少し離れた場所から、遥がいった。

「とりあえず、今日は乗せるだけなんだよね?」

「うん。

 固定する作業は、明日以降」

 彼方は答える。

「これ、見た目よりも重量があるから、置いているだけでもしばらくは問題ない」

 しばらくして、彼方は倉庫からある物体を取り出して、家の骨組みの上に載せる。

 一応は、四隅を恭介たち三人と、人形数体で支えていたが、倉庫から出してそのまま落下させるだけだったので、設置作業自体はあっという間に終わる。

「これを屋根に、ねえ」

 結界から飛び降りて、置いたばかりの屋根材を見あげ、恭介は複雑な表情になる。

 初日に倒した大イグアナの甲羅が、そこに、でん、と乗っていた。


 そのあとは、壁材や床材の配置や固定作業をおこなった。

 マーケットで買った材料を並べたり、専用の接着剤で固定したりする作業で、あらかじめ詳細な打ち合わせさえしていれば、さほど専門性がある作業でもない。

 外に直接面している部分には、防水性のある石膏ボードを設置し、壁の内側には厚めの石膏ボードを貼りつけ、外と内の石膏ボードの間にグラスウールの断熱材を埋め込む。

 窓の部分に、二重になったアルミサッシを固定し、換気扇なども設置する。

 見る間に、幹出しの骨組みが住居らしい姿になっていった。

 恭介と遥が、そうした比較的大雑把な作業をしている間に、彼方はキッチンやバス周りの設備を設置している。

 排水関係は以前の作業でほとんど終わっていたが、シンクやバスタブなどの設置作業は残っていた。

 数体の人形に手伝わせて、彼方は手早くそれらの作業を進めていく。

 基本となる健在などは、ほとんどマーケット経由で仕入れたものであり、彼方としては、自分で用意した図面通りの場所にそうした健在を置いて固定していくだけの作業だった。

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