白の翼、黒の道
空がこんなに青いなんて知らなかった。
手を伸ばせば雲だって掴めそうだった。
だけど僕は知っている本当の雲は霧や霞のようで触る事なんて出来やしない。
僕には翼があるからいつだって空の青さや雲の触り心地を確かめる事が出来たはずだ。なのにそうしなかったのは僕の怠慢。
スペースシャトルなんて目じゃない。
本当の空はこんなにも青くて広いんだ。本物を知った僕は誰よりも先にこの感動を君と分かち合いたかったんだ。
ああ時よ、止まれ。
ああ時よ、もう一度あの瞬間に戻ってくれ。
何度叫んでも時は戻らない。僕と君との関係性が修復される事も無い。
こんなに心と身体が苦しくなるのを知っていあたら僕らはもっと慎重になっていただろうか。
許せ、僕の無二の友よ。
君という存在が軟弱なボクヲここまで連れて来てくれたというのに、僕は君に何も返せてはいない。
せめてこの翼で自由に飛べたらすぐにでも君のところに行ってあげられたのに。
一体どうして僕は自由落下しているんだ?
答えてくれ、偉大な人よ。
誰にも負けないと思っていた。
これは自惚れではない自分こそが世界で一番強い人間だと勘違いしていた。
本当の俺は弱く、頼りない存在で一人で歩く事なんて出来やしない。いつも誰かに手を繋いでもらっていた。
友達から借りていたカセットテープ、まだ聞いていないから返していない。
友達と一緒に歩いた鳥取砂丘、本当に砂漠に行ったのかと勘違いした。
あいつとはいつかプールに行ったけ。人魚と疑うほどに水泳が上手いやつで、俺だけが取り残されるんじゃないかと心配してた。
そういえばあの友達と一緒に行った登山は本当に楽しかった。普段は何を考えているかわからないヤツだったけど。山に入った途端に頼れる男になっていた。いつもそういう感じで頼むぜ。
見た目は軟派だけど中身はしっかりと芯の通った縁の下の力持ちのあいつ。たまに熱くなりすぎて怪我をしちまうけどそこが何ともあいつらしいや。
最後は俺たちの不動のリーダー。何かとツンツンしているが相手を認める度量とリーダーシップでは誰にも負けない。お前と一緒の時間を過ごせる瞬間が俺の誇りだ。今は別の友達と一緒にいるようだけど、俺は構わない。けどいつか一緒にバカをやる時はまた笑い合おうぜ。
例え離れ離れになったとしても同じ時を過ごした記憶だけは変わる事がない。
光届かぬ暗黒の海の中でも俺ははっきりと思い出せる。お前前たちとの友情を、お前たちの熱い魂を。それが俺を窮地から奮い立たせてくれるんだ。
今は雁字搦めに固められているけど、その気になればいつだってこんな状況から抜け出せる。
だって俺は誇り高き七人の男なのだから。
そして巡り巡って俺たちは真実を知る。
身体は朽ち果てても心は一つ。
大切なのはそう結果じゃない。その時間をどう過ごせたか、だ。
なあ、そうだろ?ペンタゴン…(吐血)。
ブラックホール…(吐血)。
その光景を見たモンゴルマンは思わず口走る。
「馬鹿な…。キン肉バスターとキン肉ドライバーが合体だと⁉…物理的に可能なのか‼」